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クオトミー社のバリューについて

株式会社クオトミー代表取締役の大谷(オオヤ)です。
バックグラウンドは整形外科医で、医療者の課題を解決することで医療を支えたいとの想いで起業しています。
主に都内の急性期病院で手術を執刀するなど中堅の臨床医をしていましたが、2023年3月末をもってメスを置き、2017年12月より創業していたスタートアップ事業にフルコミットし、医療機関(主に病院)向けのプロダクトを開発・提供しております。
UCSF留学時の米国ベイエリア生活での経験から、デジタルを利用して生活が豊かになることに衝撃を受け、医療業界もデジタルで医療者を取り巻く労働環境をよくできるのでは!!と試行錯誤を繰り返し、現在はスマート手術台帳「オペワン」で、外科系医師の非医療業務効率化に取り組んでいます。
本Noteでは、2024年夏に策定したバリュー3つについて書いています。
※もし一緒に医療者のポテンシャルを最大化することに興味を持っていただいた方はご連絡ください!


バリュー(2024年夏ver.)の策定

2024年夏、クオトミー社はオペワンをプロダクトの軸に据えることを決め、事業として邁進すべく、チームの行動指針となるバリューを作りました。
以下の3つです。

・率先して巻き込まれよ Be the 1st call
・手触り感をもった変革者たれ Upend status quo
・常に胸に宣言を!! Declare it!!

クオトミー社3つのVALUE(行動指針)

バリューの意味

クオトミー社のバリューは「チームメンバーが意思決定の際に悩まずに自律的に行動するための指針」、「チームとして大事にしている価値観の認識あわせ」や「価値観に共感してくれる未来のチームメンバーへのメッセージ」として存在させたいと思っていましたが、候補を挙げていくと似たような意味合いの文が並んでしまい、シンプルかつ抜け漏れがないようにできないかと考えていました。
そこで、今回のバリュー策定にあたって参考にさせていただいたのは記事「組織の価値観は4つの視点でつくられる(株式会社インキュビット代表 北村尚紀さん著)」です。
こちらの記事には個人を中心にした組織/社会との関係性を「自分自身」「自分と仲間の関係性」「自分と組織の関係性」「組織と社会の関係性」の4要素に構造化するという内容がわかりやすく書かれています。

記事の中では例として、メルカリさんの有名な組織文化をこの4要素にあてはめた解説がなされており、下記のような構造的にきれいな関係になっていました(図は記事より一部改変、メルカリのミッション/バリューも現在とは少し異なります)

メルカリさんのミッション・バリュー
ミッション:新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る
バリュー:
Go bold 大胆にやろう
All for OneAll  すべては成功のために
Be Professional プロフェッショナルであれ


メルカリさんのミッション・バリューの四象限構造

医療従事者のポテンシャルを最大化して、健やかな医療をつくる

ー 組織と社会の関係:ミッション

組織と社会の関係(図の右下)にくるのがミッションです。
まずはクオトミー社のミッションである「医療従事者のポテンシャルを最大化して、健やかな医療をつくる」の説明をさせてください。

(創業当初は何をやりたいのかも言語化できていなかったのですが)、クオトミー社は「プロダクトで医療者のワークライフをより良いものにして、医療に貢献する」ために存在しています。

創業者の大谷が長く臨床現場にいたので「専門性を磨いている医師たちが提供する医療は既に本当に素晴らしい&どんどん発展していく」と思っていて、自分たちが新しい治療や診断方法を創り出すというよりも、医療者が活躍する場を整えることで医療はより良くできるという想いがありました。
さらにいうと、医療者の労働環境を良くすることで、医療機関にも収益的にサステナブルな変化を起こし、それが医療や社会に貢献することに繋がると考えています。

残りの3象限に該当するものを、バリューとして策定しました。
図にすると以下のようになります。

クオトミー社のミッション・バリューの四象限構造

率先して巻き込まれよ Be the 1st call

ー 自分自身:メンバーに個人として大事にして欲しいこと

「自分が1st callやります」

1st callとは、医療現場(例えば救急外来)で診察に呼ばれる1番手の医師のことです。
1st callは業務が増えるので大変です。
いつ呼ばれるかわからず、ときには自分では経験したことのない難症例に対峙する必要があります。
それでも、この1st callを自らやりたいと言い出す医師がいます。
彼らは他人よりも多くの経験を積み、自らの臨床スキルを向上し、活き活き働いています。

いまクオトミー社は、医療機関の変革期に立ち向かうことができる貴重な機会を与えてもらっています。
日本には素晴らしい医療インフラである一方で、それを維持できるか課題が多いことはずっと言われてきていました。
それがいよいよ、内部環境的にも外部環境的にも、医療機関に変化のタイミングが訪れています。
また、テクノロジーの進歩により、これまでは技術的革新の恩恵を受けることができていなかった領域に機会が訪れています(クオトミー社では特に「外科系医療者の業務」という領域を選定しています)。
そして、創業者である大谷のUnfaired advantageが効いてアプローチできる課題や現場があると実感しています。

我々が選定した事業領域に、この挑戦をやったことがある人はほとんどいません。
そんな時に評論家Thinkerになっていては本当に勿体ない、、、。
1st callの医師のように、率先して行動者Doerになりましょう!
この変革期の最前線に立って、巻き込まれていきましょう!!

「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ。」
有名なリクルートの旧社訓でも同様のことを言っていると思います。
まずは自分で率先して汗をかいてやってみる。
与えられたロールからはみ出し、自ら成長する機会を得ることで、自律的に成長することができます。
創業フェーズのスタートアップで働くうえで、Be the 1st callの精神を持ちましょう!

手触り感をもった変革者たれ Upend status quo

ー 自分と組織の関係:仲間や顧客に向き合うときの態度

「現状維持は停滞だ!」

外科医としての師匠のお一人が大谷に良くおっしゃっていた言葉です。
思い返すと、他のお師匠さまも、また尊敬する外科系医師の先生たちも、現状に満足することなく、日々の臨床プラクティスから手術の工夫を凝らすことに長けていました。
実際にどうやって、手術の侵襲を少なくできるか、手術時間を短くできるか、、、常に自分たちのベストを更新し続けるために彼らは研鑽しているのです。
※調べてみると、現状打破!的な金言を残している偉人が多く驚きました。福沢諭吉、松下幸之助、ウォルト・ディズニーなど。

自分も含めてですが、人間はつい現状維持で仕事をしてしまうことがあります。
自分たちがスタートアップであることを自覚し、非連続的な成長をするために常に組織の中の現状を疑い変革することを称賛していきます。
そして、実際の手触り感をもって組織課題を捉えていることができているかが非常に重要です。
机上の組織論ではなく、自分たちならではの組織作りをしていきましょう。
注意したいのは、この手触り感とは、組織への勤続年数が長い人しか変革ができないという意味ではありません。
例えば、このフェーズのスタートアップを既に経験した人(=手触り感ある)から指摘をうけた課題があればどんどん変革していくべきです。

このバリューは矢印を個人→組織ではなく、個人→社会に向けたときにも活きてきます。

クオトミー社では顧客(医療機関など)に対峙したときの態度として、臨床現場の医師たちに劣らず、現状をなんとかしたいという強い想いを持って取り組むことを期待されています。
ただし、独りよがりな想いが先走り、現場の声を無視しないこと。(外から来た人に、こっちのやり方が良いから変えた方が良い!っていきなり言われるとムッとしますよね。)
まず、医療者でなくても、ディープダイブして手触り感をもって現場の課題を語れるようになること。
少なくとも医療DXの動きや医療情報セキュリティに関しては現場にいる臨床医の先生よりも詳しくなければならないですし、他の医療機関で行われているベストソリューションも提案できないといけません。
その上で、産業構造をディスラプトするのではなく、ソリューションを提案して既存構造にフィットするようにサポートしていきましょう!!

常に胸に宣言を!! Declare it!!

ー 自分と仲間の関係:クオトミー社が大事にしている文化

医療業界には、ヘルシンキ宣言、ジュネーブ宣言、リスボン宣言・・・など、生命倫理学的な誓いが多く存在します。
組織文化的に何を優先すべきかという文脈で、以前の社内バリューに「倫理ファースト」を掲げていたことがあります。
ただ、「倫理ファースト」といわれても、メンバーにとって日常業務的にこのバリューを使う機会は限定的で、かなり形骸化してしまっていました。
この反省を活かして、よりメンバー全員にとって関わりのある内容にブラッシュアップし、以下のようにまとめました。

まず家族と自分の健康を第一に、
医療情報の秘匿性を遵守し、
医療者の自立と尊厳を追求することで、
医療に貢献している誇りを持つこと

まずは自分の健康を大切にしてほしい。
身体的な健康の不安だけではなく心理的な不安も、自分自身だけでなく家族含めて、健康は最優先事項です。
人生バロメーターの浮き沈みは誰にでも起こりえます。
そんな時は無理しないで、健康第一にすべきです。
自分はスタートアップを駅伝と捉えていますが、次のフェーズまで行ってもまた次のフェーズが出てくる長い道のりになるので、身体的にも心理的にも健康という資産が重要なのです。

弊社のメインプロダクトであるオペワンは、医療機関との契約を行う医療情報システムですので、要配慮個人情報である医療情報を扱います。そのような情報を扱うことに対して秘匿性やガイドラインを遵守することを誓うことは重要です。

創業してずっと医療者向けのプロダクトを作ってきました。
このプロダクトは、医療者を代替するものではなく、医療者が本当に医療行為に集中できるようにし、彼らのポテンシャルを最大化していくものです。
専門職である医療者の自立と尊厳を追求したプロダクトづくりを引き続き行っていきます。

誰しもが産まれた時は病院にいたと思います。また、どの国/どの地域にも存在します。このような社会の大きなインフラである医療に貢献できることに、メンバーには誇りを持ってほしいと思います。

バリューを進める

駅伝であるスタートアップの活動には、そのフェーズに合うバリューというものがありそうです。
例えば創業期であれば、クイックにプロダクトをリリースし、どこが正解なのか顧客と向き合いながら検証していくことが大事です。そのような「早さ」をバリューに入れていた会社は多いと思います。

例:
Facebook(現Meta)の「Move Fast」
SmartHRさんの「早いほうがカッコイイ」
など

いまのクオトミーは、メンバーの揃っていない野球チーム状態です。
個々が普通の守備範囲で守っていると、ポテンヒットで進塁されてしまい野球のゲームになりません。セカンドがライトフライを取りに行くような、役割を超越して落ちそうなボールを拾ってもらいたいフェーズです。
だからこそ今は「Be the 1st call」というバリューがあてはまりますが、パキッとした専門性を持った人が活躍する事業フェーズになったら、このバリューは合わなくなるかもしれません

バリューはフェーズによって進めていくものと認識し、多くを作りこまず、創業フェーズのいまは最小限の3つにしました。
次のバリュー更新時には、組織にどんな変化があり、どんなバリューを加えていくのか今から楽しみです。

さいごに

私たちと一緒にクオトミー社の事業フェーズを進めてくれる「ほぼ創業メンバー」を募集しています。
上記バリューにピンと感じてくださっていれば、医療機関で働いた経験はなくても大丈夫。2024年7月現在、医療従事者としての職務経験があるメンバーは2名と少数派です。
医療者のポテンシャルを最大化し、健やかな医療をともにつくりましょう!

上記のバリューやミッションにピンと来た方は弊社コーポレートサイトをぜひ覗いてください。
大谷のXアカウントへDMで御連絡いただいても大丈夫です。

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