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ボクたちがQuotomyを創ったワケ

こんにちは、大谷隼一(おおやじゅんいち)です。
Quotomy(クオトミー)という、医師と医学知見との新しい出会いを提供するサイトを運営しています。

最近あまり珍しくもない医師起業家ですが、医師15年目でそんなことやってる人はなかなかいないので、どうしてQuotomyを創ろうと考えたのか書いてみようと思います。

医療現場の課題を感じていて悶々としている方や、ヘルスケアスタートアップに興味のある方、勤務医と開業以外の道を模索している医師の方にとって何かの参考になると嬉しいです。

(追記)皆様のおかげでファイナルに進めました!結果は残念でしたが、投票してくださった皆様に感謝です!!ありがとうございました!!!

※突然ですが、11月11日までのお願いです!
12月に開催されるHealthtech/SUM2020という大きなイベントがあるのですが、そこでのスタートアップピッチコンテストまでの予選(の一部)がオンラインで行われることになってます!
皆様の投票で、会場でのファイナルに進めるか決まります!
記事を読んでみて、もし「応援してやってもよい」と感じた方は是非no.55 Quotomyに清き一票をお願いします🙇‍♂️
👇
https://www.healthtechsum.jp/startup.html

ふつうに論文書いたり留学したり、してました。

僕は論文を書くのが好きです。

特に臨床医学分野の論文を作る際の、臨床現場で感じる仮説をもとに研究をデザインして真実を探究する過程が好きです。
論文が自分のアウトプットとして世に残ることも、BIOGRAPHYを作っているみたいで面白いです。
また、論文はコミュニケーションの手段だったり、キャリア形成の通行手形的な要素もあると思います。

自分が出した結果を他の誰かが読んで追試してくれたり発展させることで、「この論文が臨床現場で役にたつかも」と思うとワクワクします!!
もちろん医師になりたてのころは論文を書くことはおろか、読むことも大嫌いでした。
今のような考えに至ったのは、東大整形外科医局の先生方や東大臨床疫学経済学の康永秀生先生、臨床研究デザイン塾で衝撃をうけた福原俊一先生の影響です。ありがとうございます!
論文好きが高じて、世界最大の医学論文産出国アメリカの環境を体験したいというモチベーションをもち、2015年に留学しました。

※留学準備中に本書いてました。準備しながら書いたので割と熱量高め。

たった1年でしたが、自分なりに日米の医学研究を取り巻く環境の違いを感じました。
いろいろありますが簡単にいいますと、「アメリカは医学研究に関わるマンパワーや資金が潤沢で共同研究も上手」なのに対して、「日本は個人の努力に頼りがち」と感じました。

アメリカの空気を吸って、かなりモチベーション高く帰国した僕でしたが、臨床現場の多忙さにライフスタイルの変化が加わり、その後は全く論文が書けなくなっていました、、、。

日本の臨床医が医学知見をキャッチアップするのは難しい


おそらく僕だけでなく、日本へ帰国したドクターたちの多くが、日本の環境に対して違和感を感じるといった経験をするのではないでしょうか。
理由としてはまず、医師として勤務しながらサポートの少ない環境で論文を制作するには、日本の臨床現場が多忙すぎる。
そして、多大な努力の末に論文を書いてもアメリカの医師ほど評価されず、結局は経済的にも大成功するとは言えないとわかってしまった。
これらによるモチベーション低下が違和感の原因かと推測しています。

こんな話をすると臨床医学は誰もやらない斜陽な領域のように聞こえますが、そうではありません。
論文や統計に関する医学書は出版されればランキング上位に入りますし、公衆衛生学の修士(MPH)を取りにいく医師も増えています。
なにより、日本の臨床医は学会参加が大好きです!
経済産業省のデータをみると、盛り上がりを心配するどころか、臨床医学分野は衰退する日本の科学力を支えている数少ない科学分野だとわかります。

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※文部科学省「科学研究のベンチマーキング2019」より拝借。臨床医学は10年前より日本の論文数が伸びている数少ない科学分野。

徐々にですが、日本における医学研究に関する環境も改善しています。
科学研究費の重要性も認知されてきていますし、各学会や関連企業が臨床研究に繋がるデータベースを作ろうとしてます。
実際の医療的・予防的な介入を評価することは医療政策にも繋がる非常に重要なことだと理解が深まっていると感じます。

けれども、論文としてアウトプットする制作工程の出だし、「臨床的疑問をもつ」や「問いを作る」部分は、やはり現場の臨床医の思考に委ねられているのです。
実際、1つ1つの症例を振り返れなかったり、文献的考察ができない程に臨床現場の医師が多忙だったりするわけです。
時間のない医師が疲弊してしまい、未来の医療につながる問いが生み出せなかったり、モチベーションが上がらない、という問題に対して何か解決策がないかと悶々としていました。

その課題、解決できるの?

「アメリカ的な金銭的モチベーションを高めるように日本の環境を変えることは僕にはできない。それなら、個人の内的なモチベーションを高めるようなインターネットを使った仕組みがあると良いのでは、、、」と考えていた時に、ふと留学中に始めたランニングを思い出しました。

留学中は医師としての給料が入らないし、サンフランシスコの生活費が高いため、かなり質素な生活をしていました。
お金のかからない娯楽ということで、走るしかなかったのです 笑。
そこで目にしたのはNIKEストアやアプリ上に集まっていた、リアルまたはオンラインでのランニングコミュニティの存在でした。
自分ひとりでは苦しくて続けにくいことも、他の誰かを意識することで、継続性が高まるのかぁ、と。

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あとは、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授がよく話している両利きの経営にでてくる「探索」と「深化」にもヒントがありました。

※両利きの経営について簡単にいうと、「知の探索」と「知の深化」という相反する両面を、高い次元でバランスよく持っている「両利きの経営」ができている会社のほうがイノベーションを起こす確率が高い、って話です。

医学分野において、既存知識の深堀りである「深化」はpubmedに代表されるような検索サイトが発展しているのに対して、「探索」という軸が医師と医学知見との出会いには欠けている気がしてました。
検索からは予期せぬ出会いは生まれないと思っていて、これまでヒトと出会ったり学会に参加したりして得ていたセレンディピティの機会をオンラインでも探索的なアクションから得ることができると良いな、と。

両利きの経営

どうせやるなら実名参加のコミュニティで医師限定が面白い‼︎ 
僕はインターネットでの行動がリアルに反映されると良いと思っていて、良い発信をしているヒトたちは医療業界の中でも評価が高まると嬉しいです。
オープンなインターネット上では発信しにくい内容も、特定の業界に限定した方が投稿しやすいし、議論も盛り上がると思いました。
また、子宮頸がんワクチンなどに関するTwitterをみていると医学知見をオープンなSNSで議論することは本当に難しいと気づいたし、当時からSNSによる誹謗中傷など負の側面が悲しい事件とともに明るみになってきており、匿名ユーザーの発言には問題があるとも感じていました。

医学論文のVertical Social事業 

ということで、論文を介した医師向けのニッチなSNSというかメディアというか、そんなものを作りたい!と、周りにもブツブツ言い始めるようになり、、、。

2016年の遅めの夏季休暇は道玄坂のTECH::CAMPに缶詰状態となり、プログラミングの基礎を学びつつ、プログラミングで何ができるかを体験しました。(TECH::CAMP開始タイミングだけはKeisuke Hondaに勝ちました)

忙しい臨床の毎日の中でも、隙間時間でスマホからニュースアプリはチェックしていることに気付き、QuotomyのUI原案の参考にしました。
ニュースアプリの中でもお気に入りはNewsPicksだったので、「難解な専門性の高いコンテンツだとしても、複数のユーザーのコメントがあると多角的な視点で物事を見ることができる」と理解し、論文という難しいコンテンツを扱うQuotomyを創る励みにしていました。​

ブツブツ言い続けていると助けてくれるヒトが現れるもので、エンジニアリングを助けてくれるヒトや投資してくれる方も見つかり、なんとかプロダクトのプロトタイプを立ち上げ、知り合いの医師に使ってもらえるようにお願いしまくりました。
この時期に関わっていただいた方々には本当に感謝してもしきれません。

「最初のリリースが恥ずかしいものでなければローンチが遅すぎる」
というLinkedin創業者リード・ホフマンの言葉よろしく、どう考えても未熟なサイトだったのですけれど、初期から使い続けてくれているユーザーさんがいることが本当に心の救いでした。

そこから少し時間がかかってしまったのですが、神の救いのような出会いがありエンジニアリングがパワーアップしたことでQuotomyの開発は加速!!
ステルスでやっていたプロトタイプからオープンにしたのは2020年8月で、現在(2020年11月)は、なんとかMinimum Viable Product作れたか?というタイミングだと思っています。
ここからProduct Market Fit目指して暗中模索する、というフェーズだと覚悟を決め、行動あるのみ!!

医師ユーザーの皆さんにはもちろん、企業の方、出版社の方、医局・学会関係者の方々にとって良いサービスだなぁと感じてもらえるサイトを目指しています。
いろいろご意見ください → contact@quotomy.co.jp

文章だと難しいことを言っていると思われがちなので、上のようなコンセプトムービー作りました。
Quotomy、どんどん進化させますのでご期待ください!!!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

(追記)皆様のおかげでファイナルに進めました!結果は残念でしたが、投票してくださった皆様に感謝です!!ありがとうございました!!!               

※11月11日までのお願いです!
12月に開催されるHealthtech/SUM2020という大きなイベントがあるのですが、そこでのスタートアップピッチコンテストまでの予選(の一部)がオンラインで行われることになってます!
皆様の投票で、会場でのファイナルに進めるか決まります!
記事を読んで、もし「応援してやってもよい」と感じた方は是非no.55 Quotomyに清き一票をお願いします🙇‍♂️
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https://www.healthtechsum.jp/startup.html







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