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イノベーションの歴史 10(電子技術)

電気と電子はどう違う?

電子は、原子の周りを回る微小な粒子で、負の電荷を持っています。電子の移動や流れによって電気が生じます。
これにより、電気エネルギーが生成され、伝達され、利用されます。
電子は電気現象の基本要素であり、電子技術は電子の性質を利用した技術です。

電子技術とは

電子技術とは、電子の挙動や特性を利用して電気信号を操作する技術です。電子部品(真空管、半導体、トランジスタ、ダイオードなど)を使って、電気信号の増幅、スイッチング、整流、変換などの操作が行われます。

電子技術の歴史

1. 真空管(20世紀初頭 - 1940年代): 真空管は電子機器の重要なコンポーネントで、ラジオやテレビの受信機、初期のコンピュータなどに使用されました。しかし、真空管は大きく、消費電力が高く、寿命が短いという欠点がありました。
2. トランジスタ(1947年): トランジスタは、真空管の代替として半導体を利用することによって開発され、電子機器の歴史に革命をもたらしました。トランジスタは小型で低消費電力で、信頼性が高いため、電子機器の性能向上とコスト削減に大きく貢献しました。
3. 集積回路(IC)(1958年 - 1960年代): 集積回路は、複数のトランジスタや他の電子部品を1つのチップに統合したもので、電子機器の小型化、高性能化、低コスト化に大きく寄与しました。
4. マイクロプロセッサ(1971年): インテルが世界初のマイクロプロセッサを開発しました。これにより、コンピュータの処理能力が飛躍的に向上し、パーソナルコンピュータ(PC)の登場につながりました。

半導体素材

半導体は、導体(例:金属)と絶縁体(例:ガラス)の間にある電気伝導性の物質です。半導体の代表的な素材には、シリコンやゲルマニウムがあります。半導体の特徴は、温度や電圧、光などの外部条件によって電気伝導性が変化することです。この特性を利用して、トランジスタを初めてとして、さまざまな電子部品が作られています。
最初の半導体効果は、19世紀末にカール・フェルディナント・ブラウンによって発見されました。彼は鉛硫鉛鉱(ガレナ)という鉱石において整流効果(電流が一方向に流れる性質)を観察しました。その後、1901年にジョン・アンブローズ・フレミングが真空管整流器(ダイオード)を発明し、これが電子機器の発展のきっかけとなりました。
半導体素材の歴史は次の通りです。

  1. 初期の発見(19世紀末 - 20世紀初頭):半導体の特性は、19世紀末にカール・フェルディナント・ブラウンによって最初に発見されました。彼は鉛硫鉛鉱(ガレナ)という鉱石において整流効果(電流が一方向に流れる性質)を観察しました。その後、ゲルマニウムやシリコンなどの半導体素材が研究されるようになりました。

  2. ゲルマニウムの利用(1940年代 - 1950年代):第二次世界大戦後、ゲルマニウムがポイントコンタクト型トランジスタの製造に利用されました。ゲルマニウムは、高純度に精製されることが容易であり、当時の技術水準では優れた半導体素材でした。

  3. シリコンの登場(1950年代 - 1960年代):シリコンは、ゲルマニウムに代わる半導体素材として急速に普及しました。シリコンは、地殻中に豊富に存在し、高温に強く、ゲルマニウムよりも優れた電気特性を持っているため、半導体産業において主要な素材となりました。

  4. 化合物半導体(1960年代 - 現在):化合物半導体は、2つ以上の元素が結合した半導体素材で、特定の用途に適した特性を持っています。例えば、ガリウム砒素(GaAs)は、高周波特性に優れ、レーザーダイオードや太陽電池などに利用されています。また、窒化ガリウム(GaN)は、高出力・高周波の電力デバイスや白色LEDなどに利用されています。

ムーアの法則

ムーアの法則(Moore's Law)は、1965年にインテルの共同創設者であるゴードン・ムーアが提唱した、半導体技術の進歩に関する法則です。彼は、半導体チップ上のトランジスタ数が、1年半ごとに倍増すると予測しました。つまり、コンピュータの処理能力やメモリ容量は、2年ごとに倍になるということです。
ムーアの法則が提唱されてから現在までの約50年間で、トランジスタ数は実際に非常に大幅に増加しました。1965年当時、集積回路には数十個のトランジスタが搭載されていましたが、2020年には、最先端のチップには数十億個のトランジスタが搭載されています。

電子技術によって実現した製品

家電製品: 電子技術の進歩により、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電製品も高機能化・省エネ化が進んでいます。
コンピュータ: パーソナルコンピュータやノートパソコンは、情報処理やインターネット接続、ソフトウェア開発など、様々な用途で使用されています。
ゲーム機: 家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機は、高度なグラフィックスやインタラクティブなゲームプレイを提供し、エンターテイメントの一環として広く普及しています。
スマートフォン: 携帯電話は、通話やテキストメッセージの送受信だけでなく、インターネット閲覧、アプリケーションの利用、写真や動画の撮影・共有など、多機能なデバイスとして進化しました。


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