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イノベーションの歴史 13 (携帯電話)

携帯電話の歴史

最初の携帯電話「DynaTAC」
  1. 1973年:最初の携帯電話の発明

    • モトローラのマーティン・クーパーが最初の携帯電話「DynaTAC」のプロトタイプを発明しました。この携帯電話は、大きくて重く、非常に高価でしたが、持ち運び可能な通信手段として画期的でした。

  2. 1980年代:1G(第一世代)携帯電話の登場

    • 1980年代には、アナログ技術を使用した第一世代(1G)携帯電話が登場しました。これらの携帯電話は、音声通話を提供するだけでしたが、持ち運び可能なコミュニケーション手段として人気を博しました。

  3. 1990年代:2G(第二世代)携帯電話の登場

    • 1990年代には、デジタル技術を使用した第二世代(2G)携帯電話が登場しました。2Gは、データ通信や短文メッセージサービス(SMS)など、より高度な機能を提供しました。この時代には、ノキアやモトローラなどの企業が多くの携帯電話モデルを開発しました。

  4. 2000年代初頭:3G(第三世代)携帯電話の登場

    • 2000年代初頭には、第三世代(3G)携帯電話が登場しました。3Gは、インターネット接続や動画再生などの機能を提供し、携帯電話の用途が大幅に拡大しました。この時期には、カメラ付き携帯電話や音楽プレーヤー機能を備えた携帯電話も登場しました。

  5. 2007年:スマートフォンの登場

    • 2007年には、AppleがiPhoneを発表し、スマートフォンの時代が始まりました。スマートフォンは、タッチスクリーンディスプレイやアプリストアなどの革新的な機能を提供し、携帯電話の利用方法を根本的に変えました。iPhoneの成功を受けて、Android OSを搭載したスマートフォンも登場し、サムスンやHTCなどの企業が競争を繰り広げました。

  6. 2010年代:4G(第四世代)携帯電話の登場

    • 2010年代には、第四世代(4G)携帯電話が登場しました。4Gは、高速なインターネット接続や高品質な動画ストリーミングなどの機能を提供し、スマートフォンの普及をさらに加速させました。この時代には、スマートフォンの性能やデザインが大幅に向上し、大画面や薄型デザインの携帯電話が登場しました。

  7. 2019年:5G(第五世代)携帯電話の登場

    • 2019年には、第五世代(5G)携帯電話が登場しました。5Gは、超高速なインターネット接続や低遅延、高いデータ容量などを提供し、IoT(インターネット・オブ・シングス)、VR/AR(仮想現実/拡張現実)、自動運転車などの新たな技術の普及に寄与しています。5Gは、携帯電話の利用シーンをさらに広げることが期待されています。

携帯電話の将来性を見誤ったAT&T

1980年代初頭、AT&Tは携帯電話の将来市場規模についてマッキンゼー・アンド・カンパニーに調査を依頼しました。当時、携帯電話は非常に高価で、通話品質も良くなく、大きくて重いものでした。これらの理由から、マッキンゼーは携帯電話の市場規模について極めて懐疑的な見積もりを行いました。彼らは2000年までにアメリカでの携帯電話の利用者数は90万人程度に達するだろうと予測していました。
それを受けたAT&Tは携帯電話事業を売却しました。
しかし、実際には携帯電話は急速に技術革新が進み、価格も低下し、通話品質が向上しました。結果として、2000年までにアメリカでの携帯電話の利用者数は1億人を超えました。

スマホの将来性を見誤ったノキア

ノキアはかつて携帯電話市場で圧倒的なシェアを持っていましたが、スマートフォンの登場により市場シェアを大幅に失いました。

Nokia Communicator(1996年)

Nokia Communicatorは、スマートフォンの先駆けとも言える携帯電話で、電子メールやインターネットブラウジングなどの機能を提供していました。しかし、その頃のインターネット接続速度が遅く、ユーザーインターフェースやアプリケーションの選択肢が限られていたため、市場での成功を収めることができませんでした。その後、スマートフォン市場はAppleのiPhoneやGoogleのAndroid OSを搭載した機種によって急速に発展しました。

Nokia 9210 Communicator

ノキアがスマホの将来性を見誤った理由

  1. 慢心と組織的な無駄:ノキアは2000年代初頭までの携帯電話市場で非常に成功していたため、その地位に安住し、新しい技術への適応が遅れました。また、ノキアの組織は大企業特有の縦割りや無駄な競争があり、効率的な意思決定やイノベーションが妨げられたとされています。

  2. ソフトウェアの重要性を見誤った:ノキアはハードウェア中心の企業であり、スマートフォン市場で成功を収めるために重要なソフトウェアやアプリケーションの開発に十分な投資や取り組みが行われませんでした。

  3. OS選択の失敗:ノキアはSymbian OSを開発していましたが、そのOSはスマートフォン向けに最適化されておらず、アプリ開発者にとっても魅力が薄かったため、競合他社に取り残されました。また、2011年にマイクロソフトと提携してWindows Phoneを採用しましたが、その時点で既にiOSとAndroidが市場を席巻していたため、Windows Phoneは十分なシェアを獲得できませんでした。

  4. iPhoneとAndroidの台頭:AppleがiPhoneを発表し、その後GoogleがAndroidをリリースしたことで、スマートフォン市場は急速に変化しました。これらのプラットフォームは革新的なUIやアプリケーションを提供し、ノキアが開発したSymbianやWindows Phoneと比較して明らかに優れていました。

スマホの将来性を見誤ったNTTドコモ

NTTドコモは日本の携帯電話市場で長年トップの地位を維持していましたが、スマートフォンの登場により競合他社にシェアを奪われることがありました。ドコモがスマホの将来性を見誤った理由はいくつか考えられます。

  1. 独自のサービスへの強いこだわり:ドコモはiモードという独自のインターネットサービスを展開しており、そのサービスが成功していたため、独自のサービスへの依存が強く、スマートフォンが提供する新しいアプリやサービスへの対応が遅れました。

  2. iPhone導入の遅れ:ドコモは当初、iPhoneを取り扱わない方針をとっていました。これに対して、競合他社のソフトバンク(当時)が積極的にiPhoneを取り扱い、シェアを急速に伸ばしました。ドコモは後にiPhoneを取り扱うようになりましたが、すでに多くの顧客が競合他社に移っていました。

  3. ガラパゴス化:日本の携帯電話市場は、独自の技術やサービスが多く、国際市場とは異なる形で発展していました。そのため、iPhoneやAndroidの登場により、グローバルなスマートフォンの潮流に迅速に対応できなかったとされています。

  4. スマートフォン市場への適応力不足:ドコモはAndroid携帯電話をいち早く取り扱いましたが、多機能な端末が増える中で顧客ニーズに合わせた製品やサービス展開が不十分であったといえます。

これらの理由から、NTTドコモは一時的にスマートフォン市場で競争力を失い、市場シェアを減らすこととなりました。

スマホはあらゆるものを統合した

スマホは電話だけではなく、いろいろな物を吸収し統合しました。
コンピューター、インターネットに続いて、ほとんどの産業にパラダイムチェンジを起こすインフラでした。
電話という名前のコンピューターだったため、モバイルの小型コンピューターとして機能しました。
時計、電卓、カメラ、ビデオ、ゲーム、メモ、音楽プレイヤー、録音機器、電子辞書、書籍など、様々な物を包含しました。


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