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セミナー感想 #5 今、スタートアップ投資家が考える戦略と注目企業 ~DX系投資をいかに考えるか~

この2カ月で変えたことをきいている。この内容で経営者を判断できる。

なぜセミナーに参加したか?

先日聴講したウェビナーで「Make、Buy、Use」という話がありました。コロナに対応するにあたり、人それぞれ立場が違う。スタートアップなら自分で必要なものを作ろう(Make)、大企業なら買収するもよし(Buy)、サービス利用するもよし(Use)。コロナに限らずDXでも同じだと思います。投資家はどのような視点でBuy, Useするのか知りたく参加しました。

セミナー概要

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5つのTopicについて上記の登壇者の前田さんと田島さんが話す形で進行されました。

1. 現在の投資環境の変化は?
2. DX系スタートアップの今後の成長は?
3. 大手ベンダーとスタートアップの競合は?
4. 注目している領域や企業は?
5. コロナを機に変わったことや、考えていることはあるか?

以下では、全員の発言をまとめて要約してます。

1. 現在の投資環境の変化は?

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2019年の投資資金は潤沢であった。コロナが起きてからも手元資金はある。しかし、ビジネスの価値観が変わり、戦略が変わってきている。

ベンチャーキャピタル(VC)も一時的に新規の投資には控え気味になっていた。その間、既存投資先やステークホルダーとコミュニケーションし、価値観の変化を把握し、新たな時代に対応するようにしている。

気を付けたほうがよい点を一つあげると、適切な情報を取得し判断すること。特に、メディアの情報はネガティブに見えるが実はそうではない。足元の目線ではなく、未来から考えることが重要である。起業家は資金がないと目線が足元に行きがちだが、従来からの未来志向を忘れないように。

コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)は当分控え気味になる可能性もある。ただ、CVCは短期的なゲインが目的ではなく、新規ビジネスやDX等中長期的な会社のミッションを成し遂げるための手段である。国内で4000億の資金がある中で、自社がなぜCVCをするのか明確になっていないなら、自分たちのミッションと持ち味を明確にした投資をしたほうがよい。長期的な戦略に変更がないなら、有望な会社には引き続き投資すべきであるし、ぜひ、してほしい。その結果、大きな産業を作ることにもなる。

2. DX系スタートアップの今後の成長は?

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DXを5つの型+OmOで考え、有望な会社を見極めている。

1. 1対1のコミュニケーションからN対Nへ
2. 情報爆発時代の必要な情報の取得 (情報集約型)
3. 多重取引構造の解消 (チャネルの低階層化)
4. ユーザーデータ集約型
5. 需要と供給のFlexible化
6. OmO

コロナにより物理的なサービス提供ができない企業がでており、オンラインシフトしていく。現在まではIT企業ではDXが進んでいたが、コロナを機に非IT企業にも進んでいく。特に、日本の大企業は自社で内製化ができないため、上記のような企業は今後より注目され、成長する。

3. 大手ベンダーとスタートアップでの競合は?

大企業とのつながりでは大手ベンダーに分があるだろう。スタートアップの強みはスピードと提案力である。

例えば、SmartHRは早くから事業をしているため、人事労務の知見が集約している。他にも業界特化型のSaaSがどんどん増えている。こうした会社には特定業界のノウハウが集約されることで、提案力が強くなる。満遍なく仕事をすると専門的なノウハウはたまりづらい。そのため、すみわけを行い、一気に拡大するのがスタートアップの戦略。細分化は今後もっと進む。

これに伴い、一社あたりの導入するSaaSの数が増加するという課題が生まれている。17個もSaaSを導入しているがどう連携したらよいのか?となる。各SaaSにコネクタも用意されるが、コネクタでは1対Nになる。SaaSをつなぐSaaSもでてくるだろう。 

ちなみに、初めての起業家は中小でPDCA回したのちにエンタープライズに行くが、一度起業している起業家(シリアルアントレプレナー)は最初から大企業案件を取得しに行く。結果として、売上構成的に一番大きくなるからである。コネクションを持つ起業家が多くなると、大手ベンダーは苦しくなる。

4. 注目している領域や企業は?

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①検索エンジンで探すのが難しい情報集約型が面白い。大手だとSPEEDAとか。Baseconnectは企業DBを100万社超抱えており、今後も伸びると思われる。

②産業を根幹からDXするようなところも応援したい。こうしたものは人が多いので、金額が動く。ROUTE06, ADNPAD, KARAKURIは応援したい。

③ボトムアップ的に導入ができるSaaSシステムが面白い。例えば、ZoomやSlackなどは多額の決済権がなくとも導入でき、ボトムアップ的に導入を拡大している。

④新しい需要に対応しているサービス提供は面白い。Zoomではブレストがしづらかったり、Zoom上でゲームすることは難しい。こうしたもどかしさに手を出す会社を応援したい。

5. コロナを機に変わったことや、考えていることはあるか?

考え方
アフターコロナの世界を解像度高く考え、バックキャスト思考で戦略を考えるかが重要、また、0,1の判断ではなく適宜最適解をとれるようグラデーション思考も重要と考えている。

適応能力
適応能力が今まで以上に求められる。今と2カ月前は全然違う、2か月後も違うだろう。スタートアップは戦略、プライシング、プロダクト、何かしらを絶対に変えている。そのため、この2カ月で変えたことをきいている。この内容で経営者を判断できる。

サービスの緊急性
コロナを機に退会率の高いサービスと低いサービスが明確になってきている。当然、緊急性や優先順位で判断されている。Withコロナ時代でも売れ続けるか?は重要である。

時代の要請
普遍的、かつ、不可逆だと時代はついていく。こうした流れにのっているかは重要。SDGsは時代の要請。一つの考えに役立つ。また、2Cプロダクト(Line, Mercari, クラシル)はお年寄りも使っている。こうしたスマホアプリがサービスへの抵抗を下げる。2Bプロダクトも2Cプロダクトのようなユーザー体験を作りこむことが重要。

セミナーで考えさせられたことは何か?

5つの型+OmOという考え方が一番役になった。どうしたサービスを事業会社として取り入れるべきかを考えるときの一つの軸としたい。

また、一社あたりのSaaS導入数はまさにこの通りで、すでに顕在化している。SaaSの連携がでるなら早く出てほしい。。。

おわりに

前回のForcasセミナーとは異なり、投資家とスタートアップ向けのセミナーであり、私にとっては少し面白みにかけた印象。ただ、Take awayもあり、最後まできいた価値はあった。Forcasのほうが対象者としてはあってそうなので、次参加するなら、また、Forcasかな。

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