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その先に光差し込むように<1>

これからの『奄美』の話をしよう

<世界の見え方は人によって異なる>
2019年11月11日あまみswitchまちおもいキャンプ移住定住編の第3回講師としてお声かけ頂きましてお話する機会をいただきました。昨年は受講生として参加させていただいたこの講座は、奄美のことが好きで、奄美の未来を自分たちの手で描いていきたいと思っている奄美在住者が集います。そして様々な背景を持つ人たちの中で、自分たちの課題を見つけ、チームを作り、共に取組んでいく、その方法を学んでいく講座。『魚を与えるのではなく、魚の取り方を教える』タイプの講座です。

この人たちとなら、今の奄美の状況に対して私が感じている不安感や危機感を共有して、その解決のために共に歩んでいける。そんな希望が持てる仲間たちとの出会いがここにはありました。そこで私は これからの『奄美』の話をしよう と題してお話をさせて頂きました。はい、そうです。マイケルサンデル著 これからの『正義』の話をしよう のパクリです。私の大好きな本です。


私は哲学者でもなんでもないので、この本の真に意図するところが理解できている自信は全くありません。しかし、大多数の幸せのために少数の犠牲が生じても仕方ない、という考え方。誰が何をしようとその個人の自由だ、周りの人は関係ないとする考え方。そのような考え方ではなく、自分が善と考える場合、自分の周囲の状況がその善の判断に影響を与えていることは避けられない。逆にいうと自分が善だと思うことは自分の周りにとっても善であるという可能性を模索する事ができる。それを問い続ける姿勢にとても共感が持てます。

自分たちが善だと思うもの。それを考える事。そしてそれが周りの人にも善だとしたらとても素晴らしい事だと思います。自分のことですら自分でもよくわからない時はたくさんあります。どんなに信頼している家族や親友でも言わなくても分かってほしいは通用しません。誰一人同じ考えの人はいません。同じ景色を見ても感じ方、見え方は人それぞれです。だから、お互いの考えを知り、まずは理解し、可能であれば共感し、さらに一歩進んで共に行動する事ができたら素敵だなと思っています。すべての人たちと共感できるなどということはあり得ませんので、その場合もまずは相手の考えを理解して受け止める事ができるだけで、自分の周りの世界は少し生きやすくなるのではないかとも思います。自分以外の多くことに否定的だった時期もある(今もそうかもしれないけど)自分への戒めも込めて。。。。

今まで、7回にわたり私の今まで辿ってきた道を紹介させて頂きました。今回は今、私がどんなことを感じているかをお話しし、それを聞いたみなさんがどう考え、これからどうしていきたいと思うか。そんなことを考えるきっかけになればと思っています。

<私の思い>
なぜ東京出身の私が、奄美に本籍もうつし、自宅も建て奄美で腰を据えて仕事をしようとしているのか。それは私が奄美で家族というかけがえのないものを手に入れたからです。私はまだそれに比べたら全然奄美に恩返しができていません。ただの自己満足かもしれませんが、私が家族の役に立てているという実感が欲しい。そして奄美の役に立てているという実感が欲しい。自分の今の行動の根本はそんな個人的な事にあるような気がします。でも、『それで地域の人にも喜んでもらえたら、もっと良いよね』。そんな気持ちで、自分の満足がみんなの満足にできるだけ繋がるような方法を探っていきたいというのが今の私の目標です。

そして、今、私が抱えている不安や疑問や課題を少しでも解決する事ができたら、少しは目標に近づくのではないかと感じています。

<奄美の今、そして、これから:人口減少の話>
奄美の医療のこれからを考える時、まず今の状態について知る事が大切です。本当は今までの経緯ももっと知らればならないのだと思っていますが、まだまだ勉強不足です。この文章を読まれた人生の先輩方から『それは違う。これまでの奄美の事が全然分かっていない!!』とお叱りを受けるようなこともあるかもしれません。その事についてはただただ私は自分の無知をお詫びするばかりです。ですが、まずは自分の立ち位置から見える奄美の医療を今私がどのように捉えているかを皆さんと共有できればと思います。

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このグラフはよく見る人口減少を示したグラフです。以下には数字で示したものもご提示します。私が以前目にしたものよりさらに人口減少の速度が加速しているように思います。そして、どの地方も同じかもしれませんが高齢者に比較して若年層の人口減少が顕著です。

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この情報は地域医療情報システムのweb site から引用したものです。

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そしてこちらは奄美市のデータという事になりますが、65歳未満死亡率です。この値は全国平均や鹿児島県平均と比較しても高く、市と県のデーターを比較するのが適切かは議論があるかと思いますが他都道府県の値と比較すると全国で3番目に高い値です。こちらは少し古いデータにはなりますが『健康あまみ21』中間報告からのデータです。2019年に終了する健康あまみ21の結果を踏まえた下記のような新聞記事も見つけました。

これらの状況を踏まえまして、今、奄美が人口減少局面を迎えている原因の主なものとして
1)島外への進学や就職に伴うもの
2)全国的な少子化に伴うもの
3)全国より早い年齢での死亡
この3点が挙げられると考えます。様々な理由で奄美の人口が減少していくことはある程度は避けられないものだと思います。無理に人口だけを目標に対策をすれば奄美の良さがなくなってしまう危険もあると思います。ですから、私は手放しに奄美の人口減少対策をするべき!!と主張するつもりはありません。でも、奄美で生まれ育っている私の子供たちが、もし大人になった時も奄美で暮らしたいと思った時、それが可能な島であって欲しいと思いますし、早く亡くなることで人口が減ってしまう、働ける人が少なくなってしまう。ということは住人としても、医療従事者としても改善させたいと感じています。

ここまでで、まず、奄美の人口減少についてのお話をさせていただきました。次回は続いて、奄美医療圏の今と今後について私なりの思いをお伝えさせていただきたいと思います。

<2>に続く

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