本当の貧困

カンボジアには、「生活保護」制度や、「就学援助」制度が無い。

そのため、貧困家庭の子供達は、制服がおさがりで、ぼろぼろだったり、新しい靴が買えなかったりする。
もっと厳しい家庭では、
学校にも通えないことがある。

先日、カンビティー(式典)があった。

カンボジアにあるNGOを通じて、シンガポール人から
学校に寄付があり、

そのお金で、学校に通えているけど、新しい靴や服を買う余裕がない子供達約50人のために、新しい靴と、制服上下一式をプレゼントしていた。

シンガポールからも、寄付の代表の方が来カン(ボジア)。
児童とその保護者、先生達が「ありがとう」と挨拶するための
式典だった。

こんなことは日本ではまず無いことので、びっくり。。。
日本には、生活保護や、就学援助などの制度が整っているので、
こういったことは無い。
さらに言えば、学校では、こういった児童たちの家庭事情は一切子供たちに伝わらないように(個人情報の保護や、いじめ等につながるため)細心の注意を払っている。。。(例えば給食費など、現金を学校に持ってくるのでは無く、引き落とし等になっている。)

のに。。。
式典って。。。
しかも、椅子に座らせて。
一人一人、プレゼントも受け取って。。
写真とって、SNS、ニュースにもなる。

日本じゃ大炎上しそう・・・。

でも、カンボジアでは、トンマダー(普通)のこと。

しかも、そうだからと言って、別に他の子からいじめられたり、という問題もない。

「かわいそう」と思っているかもしれないが。。

家の一階に住むマムカフェのチャンター(現在37歳)は、中学校2年生ぐらいまでしか学校に行けていない。
母親は、日本で言うネグレクト状態で、母親がプノンペンに遊びに行ったまま、ずっと帰ってこず、自分で自分を養う必要があったからだ。父親は小さい頃に離婚、僧侶になっていた。
学校をやめてからは、ワニの養殖で生計を立てていたという。。

チャンターは4人兄弟の三番目。兄二人と妹一人。
休み時間は学校で兄弟でフルーツやノム(甘いもの)を売り、学費を稼いだという。。

彼女は淡々と「生きるために毎日大変だった、苦労した」と話す。
涙が出そうな程、かわいそうな話を何度も聞いた。

しかし、彼女を見ていると、
大変だな、と思うけれど、
「かわいそう」とはあまり感じない。
なぜなら、彼女は生き生きとしているからだ。
少なくとも、「生きる目的がはっきりとしている」

腰が悪く寝たきりの母親の看病(薬代がかなり高い)と、コロナで父親(チャンターにとっては兄)を亡くしたその子供(姪っ子)を支え、自分が生きていくために、毎日カフェで働いている。

仕入れから、仕込みから、店終いまで、彼女一人が中心になってやっている。
彼女は本当にたくましい。

そんな彼女を見ていると、「かわいそう」とは決して思えない。
むしろ家族を支えるために、ほぼ休みなしで働く姿を見て、
すごいなあ、えらいなあ。とただただ尊敬。

そんなチャンターに
日本では、中学校小学校の子供達毎年何千人かが、
不登校になったり、
自殺したりするよ
というと。。
かなり驚いた顔で、
どうして?
と言っていた。
日本では金銭的に余裕があっても、学校にいけない子もいる、
ということが、理解できないようだった。

お金が無くて、学校に行けない子がいるカンボジア。
お金があっても学校に行けない子がいる日本。

本当の貧困ってなんだろう。



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