見出し画像

へらへら笑ってろ(双極性障害の私)。<7>52歳の誕生日に思うこと。

たくさんの方々に支えられて、52歳の誕生日を迎えることができました。

年齢を重ねることに落ち込んだり、不安を感じたりしていた時期もありましたが、ここ数年は、誕生日が純粋に、単純に、嬉しく、楽しいです。みなさんのおかげです。本当にありがとうございます。

何度も体験した入院中に、誕生日を迎えたことも数回あります。そのたびに、そのとき知り合った患者さんやナースさんにお祝いの言葉をかけていただいたり、ケーキをご馳走になってお祝いしていただいたりしました。
これは長らく感じていることですが、どこにいても、どんな状況でも、私は人に恵まれています。

いちばん印象に残っているのは、45歳の誕生日です。そのときも入院中でした(過去最長の入院で、8カ月入院しました)。過去最高につらい誕生日でした。
亡くなった母のことを思い出して、つらくなったのです。
あまり多くは書かないつもりですが、当時の私は、母が亡くなったのは、私のせいだと思っていました。

4年間の東京での大学生活を終えて、岡山本社の企業の、その本社勤務が決まり、また私と暮らせることを楽しみにしていた母だったのに、私は母に無断で内定を辞退し、東京に残ることを決意しました。母に知らせたのは、彼女が私の大学の卒業式のために上京したときです。
あのときの、母の落胆と悲しみと怒りに満ちた表情は、おそらく生涯忘れられないと思います。

入院していたのは大学病院で、45歳の誕生日に、院内の講堂で大学の卒業式が開かれていました。同じフロアの売店で買い物をして出てきたとき、会場から出てきた晴れ姿の学生たちを見て、母の表情がフラッシュバックしました。
それから、どこでどうしていたのか、あまり覚えていません。たぶん、苦しかったことに対する、脳の忘却機能が働いているのだと思います。
とにかく、1時間以上院内のどこかを彷徨ってから、病棟に戻りました。

当時の私は、いったん回復傾向にあったのが、また酷い鬱に逆戻りしていて、行動制限を受けていました。約束の時間をはるかに過ぎても、病棟に戻ってこない私を探して、担当してくださっていたナースさんが院内を回ってくれていたことは、あとで知りました。

病棟に戻ってから、「気分が優れないので、ひとりになる部屋を貸してほしい」とほかのナースさんにお願いし、面談などに使われる小さな部屋をお借りしました。カーテンを閉め切って、その部屋にどのくらいの時間いたのかも、何を考えていたのかも、やっぱり覚えていません。
ただ、様子を見にきてくださったナースさんの前で、ひたすら泣いて、作業療法士さんや、担当のナースさんが、入れ替わり立ち代わり、話を聞いて落ち着かせようとしてくださったのに全然駄目で、泣いて泣いて、私が全部悪い、と言い続けていたことだけは覚えています。

その日は、主治医の先生は、別の病院勤務でいらっしゃらなかったのですが、ナースさんが先生に連絡してくださって、私はいつもより多めの安定剤を出され、ベッドのある病室に戻りました。お薬が効いて眠りにつくまで、まだ声を殺して泣いていたと思います。

翌日、その日の担当ナースさんが、「昨日はお誕生日でしたよね」と声をかけてくださいました。「Nさん(私の苗字)が生きていてくださって、私は嬉しいです」ともおっしゃってくださいました。
先生もいらして、私の話を聞いてくださいました。そして、その翌日から、私は保護室という部屋で日中過ごすことになりました。消灯時間になったら、自分のベッドに戻って寝る。それ以外は、ずっと保護室暮らしで、2カ月ほど続きました。
刺激を極力減らして休めるように、という精神科の部長と主治医の先生の配慮でした。

久しぶりに当時のことを思い出しました。

でも、不思議とつらくありません。
むしろ、当時のぼろぼろだった私を守ってくださって、生かしてくださった医療者のみなさんへの感謝の気持ちでいっぱいです。

あれから7年が経ちました。いろんなことがありましたが、それからも毎年、誕生日を迎えられて、ここ数年は症状も落ち着いて、元気でいられていることが、本当にありがたく、なんて自分は恵まれているのだろうと思います。

生かされていることに、いつか恩返しがしたい。そう思うことで、プレッシャーに感じていた時期もありました。それをあまり感じなくなった私は、図々しく、恩知らずかもしれません。

でも、まずは生きていること、健康でいることが、助けてくださった(いまも主治医の先生には助けられています)医療者の方々への恩返しだと思っています。
そして、私に関わってくださっている、支えてくださっている友人知人のみなさんに恩返しするためには、まず私自身が幸せになろう、そして誰かの幸せのために、いつでも動ける自分であろうと思っています。

読んでくださった方々、ありがとうございます。
noteという書く機会を与えられていることにも感謝です。

【今日の1枚】
去年、お店でシャンプーしていただいた直後の、愛犬まー。私の相棒であり、家族であり、親友であり。まーが元気でいてくれることも、最高のプレゼントです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?