見出し画像

ジャズピアノを始める人へ

ジャズピアノを弾くためにどんなふうに勉強し、練習をしていけば良いのか。
これはその人がジャズピアノ、ジャズとこれまでどんな風に親しんで来たか、そしてピアノという楽器、ひいては音楽そのものとどの様に関わって来たのかといった様々な要素が関係する。

最も重要な要素はジャズ、ジャズピアノがとにかく好きであること。ジャズピアノへの取り組みが始まれば無論その好き、という言葉の意味合いや質感はそれまでよりずっと深まり変化して行くだろう。しかしまずはジャズ、ジャズピアノの演奏やCDなどを聴くことが日常的に重要な意味を持っていること。
必ずしもジャズの歴史、演奏家たち、名盤、名演に詳しいことがジャズピアノを始めるにあたり重要だとは思わない。
しかしながらこういった様々な知識への興味も
ジャズの勉強、練習を続ける内にある程度は自然に育まれると思う。
好きになればそれだけ新たな興味が湧いてくるものだ。

さて今回書いてみようと思うのは
一般的に多いかな、と思うタイプ、
ピアノ経験者でこれから初めてジャズを、という場合。
先に述べた通り少なくともジャズ、ジャズピアノが好きであれこれ聴いて日々楽しむとともに
自分も弾きたいという情熱に駆られている人。

ピアノ経験、というのは本当に人それぞれだから
あまり僕は気にしていない。
小中学以来、という人も多いし、
音楽大学でクラシックピアノを学んだ人もいる。
ピアノ演奏技術、読譜力、聴音などやはり長い時間かけ高められた能力は意味がある。しかし皆が小さな頃から専門の教育を受けて育つ訳ではなく大学でジャズに出会う人や社会人になってから始める人も沢山いる。早くから専門の訓練を受けた人とはもちろんスタートラインは違うが
必要な技術や知識を得るために遅いことなどない。

ジャズピアノを学ぶ過程では音楽理論というものはおそらく大抵の人の場合グッと身近になる。
まずコードがある。コードは和声の情報を記号化したものだからこれの構造を知ることはすなわち論理的な把握であり音楽理論の一片であることに違いはない。
僕が言いたいのは音楽理論、という単語にあまり翻弄されないで欲しいということ。
先入観で音楽理論=難解という考えは一旦忘れるべきだ。
理論だから完璧に、理解し把握してなければ、という必要もない。
理解は少しづつ、でも経験と共に必ず進む。
そして実は大抵の人が思っているよりごく僅かな事柄をしっかり把握することで出来ることはとても多い、ということ。
大体1日の内に練習出来ることは限られるもの。
学校や仕事、家庭のことをしながら時間は多く見つからない。だからこそ休みの日だけ5、6時間練習するより毎日30分でもその方がいい。始めたばかりは俄然そうして欲しい。

さて何から始めたらいいか。
大切なことは沢山あるが
僕の考えは何はともあれジャズピアノを弾いてしまうこと。
時代は常に変化する。ジャズに興味を持つきっかけとなる音楽も様々だとも思う。
しかしやはり初心者が自分で取り組むのに相応しい題材に真っ先に思いつくのは
"スタンダード"だろう。
これらの楽曲の多くは比較的シンプルで調性が明確な機能的和声により構成される。
こういった楽曲を通じてヴォイシングの基礎、そしてアドリブにおけるフレイジングの方法などを学ぶ。同時にイヤートレーニング、レパートリーも培われる。これらの楽曲を学ぶにあたりジャズの偉人たちの名演をリサーチして聴き時にコピー、トランスクライブなども行うことにも大きな意味があるだろう。Milesの吹く楽曲のテーマからでも充分チャレンジがある。
難しければ良い、という事でもない。
今の自分にとって「頑張れば出来る」こと。
モチベーションを保つことも大切だと思う。
そう、一歩づつ前に進むこと。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?