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ヴィゴツキーが一般人に遊びについて語らせるとこんな感じだろうか。

一般人:遊びってなんの役に立つの?ただ楽しんでるだけじゃん。

ヴィゴツキー:遊びはただ楽しんでるだけじゃないよ。遊びは子どもの発達にとって重要な役割を果たすんだ。

一般人:え?どういうこと?

ヴィゴツキー:遊びの中で、子どもは自分の能力を超えた課題に挑戦することがあるでしょ?例えば、おままごとをするときに、お母さんやお父さんの真似をしたり、お店屋さんごっこをするときにお金の計算をしたりすることがあるよね。

一般人:うん、そうかも。

ヴィゴツキー:そのとき、子どもは一人ではできないことでも、周囲の人や道具を利用してそれを解決することができるんだ。例えば、お母さんやお父さんの真似をするときには、大人の言葉やしぐさを観察したり、お金の計算をするときには、電卓や紙に書いたりすることがあるよね。

一般人:うん、そうだね。

ヴィゴツキー:そのようにして、子どもは認知的な発達を促進するんだ。自分の能力を超えた課題に取り組むことで、新しい知識やスキルを身につけることができるんだよ。

一般人:へえ、そうなんだ。でも、どうして子どもは自分の能力を超えた課題に挑戦するの?

ヴィゴツキー:それは、発達の最近接領域という概念が関係しているんだ。発達の最近接領域というのは、子どもが一人ではできないが、他者の助けや指示があればできるようになる課題の範囲を指すんだ。この領域にある課題は、子どもにとってちょうどいい難しさであり、興味や動機づけを引き出すんだ。遊びは、発達の最近接領域にある課題を提供する場であり、子どもは遊びの中で自分の役割やルールを理解し、想像力や創造力を発揮することができるんだ。

一般人:なるほど。でも、言葉って遊びに何か関係あるの?

ヴィゴツキー:もちろんあるよ。言葉は外言と内言という2種類があるんだ。外言は音声として発せられる言葉で、コミュニケーションのツールとして用いられる言葉だ。内言は思考の道具として用いられ、音声化されない言葉だ。子どもは最初は外言を使って遊びの中で自分や他者と対話するんだ。例えば、おままごとをするときに「お母さん、ご飯はまだ?」とか「お父さん、今日は何を買ってきたの?」とか言うでしょ。これは外言だね。

一般人:うん、そうだね。

ヴィゴツキー:でも、次第に子どもは外言を自分の思考や感情を表現するために使うようになるんだ。例えば、お店屋さんごっこをするときに「これは高いなあ」とか「これは安いなあ」とか言うでしょ。これは外言だけど、自分の考えや気持ちを伝えるために使っているんだ。

一般人:へえ、そうなんだ。

ヴィゴツキー:そして、さらに子どもは外言を内言に変換していくんだ。内言は音声化されないから、他人には聞こえないけど、子どもの頭の中では言葉が響いているんだ。例えば、絵本を見ているときに「これは何だろう?」とか「これはどういう意味だろう?」とか考えるでしょ。これは内言だね。

一般人:なるほど。でも、内言って何の役に立つの?

ヴィゴツキー:内言は思考の道具として役に立つんだ。内言を使うことで、子どもは自分の考えや気持ちを整理したり、問題を解決したり、計画を立てたりすることができるようになるんだ。内言は自己調整や自己制御にも必要なスキルなんだよ。

一般人:へえ、すごいね。遊びって本当に大切なんだね。

ヴィゴツキー:そうだよ。遊びは子どもの発達を支援する重要な活動であり、子どもが自分らしく生きるために必要なスキルや知識を身につける場でもあるんだよ。

一般人:遊びの中で内言が使われる例をもっと教えて

ヴィゴツキー:いいよ。例えば、レゴで何かを作るときに、子どもは自分の頭の中で「これをここにつけて、これをここにつけて…」とか「これはどうやって作ろうかな?」とか考えるでしょ。これは内言だね。内言を使うことで、子どもは自分の目標や手順を明確にしたり、困難に直面したときに解決策を探したりすることができるんだ。

一般人:へえ、そうなんだ。内言が発達するとどんなメリットがあるの?

ヴィゴツキー:内言が発達すると、子どもは自分の思考や感情をより深く理解したり、自分の行動や学習をより効果的に調整したりすることができるようになるんだ。例えば、テストの前に「この問題は苦手だから、もっと勉強しないと」とか「この問題は得意だから、自信を持って解こう」とか自分に言い聞かせることがあるでしょ。これは内言だね。内言を使うことで、子どもは自分の強みや弱みを把握したり、自分の気持ちや態度を調整したりすることができるんだ。

一般人:なるほど。大人も内言を使っているの?

ヴィゴツキー:もちろんだよ。大人も内言を使って思考や感情や行動を調整しているよ。例えば、仕事でプレゼンテーションをするときに「落ち着けば大丈夫」とか「相手の反応に注意しよう」とか自分に言い聞かせることがあるでしょ。これは内言だね。内言を使うことで、大人も自分の緊張や不安を和らげたり、自分のパフォーマンスを向上させたりすることができるんだ。

一般人:へえ、すごいね。遊び以外にも内言を促進する活動はあるの?

ヴィゴツキー:あるよ。遊び以外にも、読書や絵画や音楽などの芸術活動や、数学や科学などの論理的思考活動などが内言を促進する活動だよ。これらの活動は、子どもに新しい知識や視点や感性を提供し、それらを自分のものとして取り入れたり発展させたりするために内言を使わせるんだ。

一般人:へえ、そうなんだ。遊びの種類によって内言や外言の使い方が変わるの?

ヴィゴツキー:そうだよ。遊びの種類によって、子どもが必要とする言語能力や発達領域が異なるからね。例えば、:おままごとやお店屋さんごっこでは、子どもは社会的な言語能力や発達領域が必要になるよ。例えば、他者とのコミュニケーションや協調や交渉などのスキルを身につけるために外言を使ったり、自分の役割やルールや目的を理解するために内言を使ったりするんだ。

一般人:へえ、そうなんだ。レゴやパズルではどんな言語能力や発達領域が必要なの?

ヴィゴツキー:レゴやパズルでは、子どもは空間的な言語能力や発達領域が必要になるよ。例えば、形や色や大きさなどの概念を表現するために外言を使ったり、自分の作品や解法を計画するために内言を使ったりするんだ。

一般人:へえ、そうなんだ。読書や絵画や音楽ではどんな言語能力や発達領域が必要なの?

ヴィゴツキー:読書や絵画や音楽では、子どもは表現的な言語能力や発達領域が必要になるよ。例えば、物語や絵や音楽の意味や感想を伝えるために外言を使ったり、自分の想像力や創造力を発揮するために内言を使ったりするんだ。

一般人:へえ、そうなんだ。数学や科学ではどんな言語能力や発達領域が必要なの?

ヴィゴツキー:数学や科学では、子どもは論理的な言語能力や発達領域が必要になるよ。例えば、数式や法則や現象を理解するために外言を使ったり、自分の推論や仮説を検証するために内言を使ったりするんだ。

一般人:へえ、そうなんだ。遊びの種類によって内言や外言の使い方が変わるということは、子どもにとってどういう意味があるの?

ヴィゴツキー:それは、子どもにとって多様な遊びの経験が重要であるということだよ。多様な遊びの経験を通して、子どもはさまざまな言語能力や発達領域を育てることができるんだ。それぞれの遊びにはそれぞれの価値があり、それらをバランスよく取り入れることで、子どもは自分の可能性を広げることができるんだよ。

一般人:ありがとう。とてもわかりやかったよ。とりあえず、たくさん遊べる社会的環境をどう作るかに現代の課題がありそうなことに気付いたよ。

おしまい

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