「遠くへ行きたければ、みんなで行け」
高須さん(&関さん)から献本いただきました!わーい。
めちゃくちゃ面白かったです。
高須さんのイメージからソフトウェア開発的/OSSのコミュニティな話かな、と思いきや。全ての分野の「コミュニティ」に示唆に富む話でした。原題の「People Powered」というのもとても素敵な言葉だなと思います。
私自身は、政策起業家やその予備軍をエンパワーするPEP(政策起業家プラットフォーム)というコミュニティを立ち上げて3年目。どうやってエンゲージメントを高めればいいのか、どうやって広げていけばいいのか、どうやって認知を広げて共感して貰えばいいのか、試行錯誤して進めていました。そして、API自体も、シンクタンクの機能である「主宰力」とは、ある意味優良な知的コミュニティを形成するということだと思います。だから、かなり、自分ごととして、うなづき首がもげそうになりながら拝読しました。
グローバルにつながることができ、すぐ手に入るツールで交流することができ、幅広い情報・専門性の高い情報が共有される機会があり、さまざまな手法で有意義な共同作業をしたいという欲求の高まりがある。そういった背景をもとに、Salesforceやレゴ、P&Gなどの企業によって、数十万人から数千万人のコミュニティが形成されている。商品の使い方を共有したり、より良い内容を構築したり、ファン同士で議論したり。コミュニティの形も様々です。
しかし、そういったコミュニティに人を惹きつけて目的を達成していくためには、ビジョンの設定、参加のインセンティブ、ソーシャルキャピタルの蓄積や帰属意識の醸成、「自分のものと感じるか」のオーナーシップの醸成、文化の構築など様々な視点が必要になります。
本では、参加者がコアメンバーになっていくステップや、結構具体的な、「派手なローンチをする」とか、「カンファレンスの参加や講演の際の動き方」「コミュニティマネージャーなど必要な運営スタッフ」まで、詳細なヒントがありました。コミュニティの運営は、組織づくりでもありマーケティングでもあると感じました。
最後の解説で、尊敬するCode for Japanの関さんがCfJのことについても語っています。関さんの動きを見ていても、本当に「ともに考え、ともにつくる社会」というビジョンをもとに文化を作っていっているなと感じていました。その中でも、行動規範・原則を定めることの重要性や東京都のサイトの時のケースなど、勉強になりました。やっぱり、お金どうこう以上に、コミュニティとして「価値を生み出すこと」にみんな集って一所懸命になるんだよな、と共感。その意味でも、しっかりとしたビジョンと丁寧なリーダーシップが必要だと感じます。
もう一つ、直接的にコミュニティのノウハウ部分ではないのですが、自分的に、今後の日本を考える上で示唆的だなーと思ったのは、以下の部分。
この文章の趣旨としては、タスクをこなすような仕事だけではなくて仕事の空間が価値を提供しコミットしたくなるコミュニティとなるべき、という話だと思うのですが、これを読みながら、家族、企業という組織に対する属性を超えてコミュニティが拡大し帰属意識を持っていく時代が来るな・・と感じました。日本の従来型の働き方としては、むしろ会社=帰属意識の所在でありそれ自体が巨大な共感の主体、という考え方だったと思うのですが、今後、ジョブ型とかポートフォリオ的に仕事をする人が増える中で、会社だけではない(会社の中かもしれないけど)「コミュニティ」という軸は、様々なレイヤーでありえるようになって、働く人々にとっても非常に大きな位置を占めていくのだろうなと思いました。
一気にざざっと読んだのですが、最終章で「1. この本をもう一度読み直そう。真剣に」と言われたので(笑)、自分のPEPの運営にきちんと消化して役立てるためにも、もう一度読みたいと思います。
〆