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ピースサインに想う

1980年 小学4年生だった頃
小学校で、ピースサインが流行りだした。
クラスの、にぎやかな男子が
写真を撮る時などに
両手でピースをして、前へ前へと出るような感じだった。

斜に構えた小学生だった当時の私は
そんな、一過性の流行りものに
手を出すことに対して
非常に大きな抵抗を覚え
「絶対、ピースをしたくない」と思っていた。

当時の私は

「ピースサインは流行ものだから
ピースして写真に映ったら
そのピースの写真は、そのうち恥ずかしい写真になるはずだ」

という思いに支配され
頑なに、ピースをしなかった。

いつか廃れゆく
ピースサインをしている写真を
後の世に残したくない、という私の思いは
時が経つと、さらに強まり

中学校、高校、大学となるにつれて
「ピースをする」という私のハードルが
どんどん上がっていった。

しかし、私の思いをよそに
ピースサインは、一向に廃れることなく
「裏ピース」や「ダブルピース」
顔や目の周りでのピースなどに進化しながら

1990年代、2000年代と
私の予想を大きく裏切って生き残り
2023年の今もなお
撮影時のポーズとして活躍している。

もし、これが株式投資だったら
長年にわたる、この見込み違いは
大きな損失を出してしまっているところだ。

そして、50歳を超えた今
グループで、写真を撮る時に
気づくと、ピースをしてしまっている私がいる。

写真を撮る時に
何であれ、ポーズがあるということは
格好がつくような、落ち着く気がして
ピースサインのありがたさを
今ごろになって、実感している。

45歳を過ぎて
重い腰を上げ、少し若ぶって
ようやく、ピースサインデビューした私ではあったが

「歳とってから、ピースしているのもイタイな…
あとで見た時、おばちゃんのピース写真なんて
恥ずかしくないかな…」

と、正直思っている。

私は、どうしても
「あと」のことが、気になってしまうようだ。

どこまでいっても
後々に来るかもしれない格好悪さが気になって
今を、満喫できない
私のようだ。

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