「ドイツは4月15日、原発を全て停止した。」

  ドイツは2011年3月の福島第一原発事故の悲惨さを見て、当時のメルケル首相が、原発推進から180度方針転換をして、原発廃止を掲げるようになった。その後、ドイツは再生可能エネルギーの拡大を進め、昨年の総発電量に占める割合は約46%にまでなった。そしてさらに、2030年までに電力消費の8割を賄う方針だという。
 一方、日本は、あわや「東日本壊滅」かという苛烈な原発事故を、文字通り奇跡的な偶然の連鎖に助けられてなんとか切り抜けてきた。それでも、地域住民の犠牲は今も続いている。
そのような状況で、政府は、当初原発は増設はせず、将来は原発に依存しないという方針を執っていた。が、昨年突如、岸田首相は、原発の新規増設をも認める原発推進に大きく舵を切ったのだ。このドイツと日本の政策の差は一体何なんだと思わざるを得ない。
 日本の場合は、いわゆる原発ムラと言われる利権集団が政権中枢に深く結びついた結果だろうし、ドイツでは、環境保護運動が政府を動かしたということであろう。特に環境保護を掲げる緑の党はいまや政権中枢にいるのだ。
 ドイツでは、完全に廃炉作業が終わるのが15年後としている。しかし、そのドイツでさえ、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定は進まず、将来の課題となっているのだ。日本も同様の状態だが、その事実は見ぬふりをして、原発推進にひた走っている。しかも、高レベル放射性廃棄物の巨大な塊である福島原発の解体作業が一向に進展していないのだ。事故後10年以上経っても、いまだに1グラムのデブリさえ排出できていない廃炉作業だが、その最終目標は2040~50年という。ほぼ実現不可能の目標といえよう。ただ現時点での関係者はその時点では、ほぼこの世にいないので、今さえ言い訳で凌げればいいのだろう。
 来月のG7でもこのことが話題になることだろう。環境問題では“化石”国と称されている日本がどのように言い逃れをすることだろう。世界の趨勢からますます遅れていく!
 

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