「日本の人口減少を食い止めるためには」

 出生数最小75.8万人!
 厚生労働省が2月27日に発表した。2023年の出生数速報値が前年比5.1%減の75万8631人で過去最少を更新したという。8年連続で更新している。政府の将来推計では75万人台は2035年のはずだった。
 この減少傾向の経年変化を見てみると00年~16年では年平均1%、16~22年では年平均3.6%減だった。それが23年にガクっと減っているのだ。まさに加速度を付けている。
 先日、驚いた記事が掲載されていた。
 2035年に人口が2020年と比べて半減する近畿の自治体が274もあるという。
日本全体の96%の自治体で2050年の人口が2020年より減少し、6割の自治体では人口が30%以上減ると推計されている。
 現在の政府推計では、2100年には人口は今より半減し、6300万人程度になると見込んでいる。民間の有識者で作る「人口戦略会議」では2100年に人口を8000万人に安定させるよう提言をまとめ岸田首相に提出したという。中身に具体的な提言はほぼない。
 つまり、政府周辺では、この人口減は仕方がないことで食い止めることに注力せず、衰退する中で半ば自然にとどまるのを待つという感じにしか見えない。他人事の話のように進んでいる。
 
 しかし、G7各国では、移民を積極的に受け入れている。カナダの人口比22%を始めドイツ18%など全て10%を超えている。アメリカは人口が増え続けることで経済の好調を持続させているのだ。一方、日本はわずか2%に過ぎない。2020年の世界統計では、日本は人口当たりの移民の割合では133位のランキングだ。如何に排他的な国であったかを物語っている。
 カナダやドイツでは、政府が移民向けの語学学習プログラムを用意するなど共生して生きる施策を進めている。
 つまり、世界は人口減少という傾向に甘んじることなく積極的な対策を講じているのだ。
 
 今、GDPが日本はドイツに負けて世界で4位になったと騒いでいる。しかし、GDPというのは、人口に比例するものなのだ。だから、中国が2位でもうすぐ日本はインドに抜かれるというのもそれぞれの国の人口が日本の10倍以上だから当然なのだ。日本の場合は、一人当たりの生産性も落ちてきているので、事態はさらに深刻なのだ。
 
 日本政府は人口減に一向に有効な手立てを打とうとは考えていない。せいぜい少子化対策でお茶を濁すだけだ。
もっと大胆に移民を増やすなどの政策を一向に考える気配はない。
 亡命を希望する外国人には冷たいし、働く外国人に在留資格を与える施策も厳しいものだ。
 世界の難民認定率は、軒並み高い。2,022年の実績では、アメリカ45.7%、イギリス68.6%、ドイツ20.9%、カナダ59.2%だ。一方日本はわずか2%だ。
 良質な若い人を呼び寄せる方策を積極的に考えることこそが今求められる即効性のある少子化対策である。
 
 円安でしかも賃金が30年間上がらなかった日本を見限り、条件が日本より良い韓国や台湾などに流れる外国人労働者が増えていると言うことだ。今春から賃金が上がる傾向にある今こそ、外に目を向け人材を確保するチャンスと考えるべきだと思うが・・・。
 
 

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