映画「碁盤斬り」を見て

      監督:白石和彌 主演:草なぎ剛 
 NHKの囲碁番組で紹介されていた。私の好きな棋士井山裕太や囲碁女流界切っての美人棋士藤沢里菜が出演すると知ったので、何十年ぶりかで邦画を見た。確かに囲碁を指す場面が多くあって、その盤面の囲碁も江戸時代の棋譜を再現しているという。また「石の下」という有名な手筋がストーリーの大きなきっかけになって場面が展開していく。ただ、井山も藤沢もほんの端役で里菜ちゃんに至っては、汚れ役になっていて不満ではあった。が、囲碁愛好者としては結構面白かった。逆に囲碁を知らない人が見ても面白いだろうか、と疑問を持ってしまった。ただ、主役が草なぎ剛なので、そのファンたちは興味深いのだろうか。
 邦画を本当に久し振りに見た感想を言えば、日本映画はここまで追い詰められているのかと言う思いだった。まず、江戸時代の街が背景なのだが、如何にも作り物という雰囲気が滲み出て興ざめだった。十分に金を掛けられないのだろうか。だから、なかなかストーリーに没入できなかった。さらに、私が邦画を見なくなった理由の一つに、出演する役者が、少し売れている歌手やコメディアンなどで、十分な修行もしない演技なので、見ていてサムイボが出るような学芸会を見ている状態だったからだった。それがこの映画では、脇役が渋い演技をして物語を盛り上げていた。主役の草なぎは決して演技は美味くない。しかし、必死の形相で極限状態を作り上げていたのはOKだった。が、邦画が世界に出ていくのはまだ大変なのだろうな、やはりアニメの世界を上回るのは無理なのだろうな、と言うのが私の印象だった。

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