「なぜ、日本では、政権党が批判されないの?」

   この30年間、日本人の平均給料はほぼ横ばいだ。それどころか、現在40代後半の大卒男性の平均実質年収は、10年上の世代が40代後半だった時よりも約150万円少ない。さらに世代が下に行けば実質年収はもっと低くなる傾向がある。
   また、米誌フォーチュンによる世界500社の売上高番付で、名を連ねる日本の企業は、95年の148社から2020年には53社に減った。日本の国内総生産が世界に占める割合は同じ期間に18%から6%に落ちた。他の先進国でも、これほど極端にシェアを落とす国はない。
   日本の政府債務残高は21年にGDP比で260%を超えた。約200%だった太平洋戦争末期の水準をすでに大きく上回る。世界最悪の状態で、世界中から最も危険視されている状態だ。
 
   英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションは6月1日、2022年のアジアの大学ランキングを発表した。日本勢でトップ100に入ったのは8大学だった。国別で最多だったのは中国で30大学、2位が韓国の11大学だった。日本は2年前には14大学が入っていたのだ。
   6月15日、スイスの有力ビジネススクールIMDが発表した2022年の世界競争力ランキングは、デンマークが初めて1位になった。日本は順位を3つ下げ、34位になった。調査対象は63か国・地域。アジアでは香港が5位、台湾7位と順位を上げた。中国は17位、韓国は27位だった。
 資源のない日本が、世界に伍して競争するには、優秀な人材を継続的に生み出さないといけない宿命がある。それをこれまでは愚直に日本は実施してきた。その結果が、多くの日本人ノーベル賞受賞者である。ところが、今の惨憺たる現状を観れば、今後そのような栄光は望むことはできないし、アジアの中でも、中程度の国に堕していくことは目に見えている。
 
   これが「失われた30年」と言われている現状ではないだろうか。その結果として、先進国で日本だけが強度の円安状態に陥り、インフレに一層拍車を掛けているのだ。
 
   明らかに、日本の指導層は、この30年間の国政の舵取りに失敗したのだ。このことに国民は怒りをもって権力者に向かわなければならないのだ。そのことで、この失政の原因を究明し、方向転換を図らないと、さらに沈みゆくだけなのだ。その機会が今始まっている参議院議員選挙だが、下馬評では与党優勢のまま選挙が終わりそうだ。
   いったい、日本の国民は何を考えているのだろうか。このまま、世界の三流国になり、暮らし向きもさらに低下させられることに満足しているのだろうか?日本が衰退していくことを是としているのだろうか?
 あるいは、もうすでに気の利いた人たちは日本を脱出して、生活を始めているだろうか。
 

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