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ビゾウロ・マンガンガはニンジャだ【カポエイラ史ニンジャ研究】

※この記事はニンジャ自由研究の投稿です。

メイアルーア・ジ・コンパッソ、マカーコ、アルマーダ・マテーロ……
ニンジャスレイヤーの物語はたくさんのカポエイラ・カラテに彩られている。

私はカポエイラに興味を持ち、youtubeで検索した。
屈強かつ研ぎ澄まされた肉体を持つ男たちがアクロバティックに蹴り、躱し、跳躍する……!

その流麗な技に魅了された私はカポエイラ・ドージョーの扉を叩いた。
そして、ニンジャ真実に出会った。

ビゾウロ・マンガンガはカブトムシになる

ニンジャスレイヤーがきっかけで知ったカポエイラだったが、ニンジャスレイヤーはフィクションで、カポエイラは実在の文化だ。ダンス的な要素が多分に含まれる独特な格闘技で、その技はストリートダンスなどにも取り入れられている。ニンジャは関係ない。アイサツはしないしカラテシャウトも叫ばない。そう私は考えていた。

しかし、1924年に亡くなった伝説的なカポエイリスタ、ビゾウロ・マンガンガ。
彼の残した逸話を知り、私は驚愕した。
言い伝えによると、彼は強大なカポエイラの使い手だっただけではなく、ある種の魔術を行使した。
例えば、大勢の敵に囲まれたときに彼はその姿をカブトムシに変え、飛び去ってその場を逃れたという。

カポエイラ・ドージョーで先生からその話を聞いた他の生徒たちは変な話だと笑っていた。昔の人間が逃げ足の速さを大げさに表現したのだと。

私だけが笑うことができなかった。

彼はカブトムシに姿を変えるジツの使い手だったのでは? ムカデ・ニンジャやヘンゲヨーカイ・ジツの使い手のように。

ビゾウロ・マンガンガとムテキ・アティチュード

カブトムシの話と並び立って有名な逸話が、肉体の頑強さについてのものである。彼の体は「閉じた体」と呼ばれ、どんな刃物や銃弾も彼の体に傷をつけることはできなかったという。

説明するまでもなく、これは彼がムテキ・アティチュードの使い手だったことを示している。濃密なカラテ粒子でその肉体を強化し、あらゆる外界の干渉からその身を閉ざす。閉じた体。

カポエイラ・カラテにカブトムシに変化するジツ、ムテキ・アティチュード。

もう認めるしかなかった。

ビゾウロ・マンガンガはニンジャだったのだ。

カイデン・ネームとアペリード(あだ名)

ビゾウロ・マンガンガは本名でなく、ビゾウロは「カブトムシ」を意味する。彼の逸話にちなんだあだ名というわけだ。
彼は他にも別名を持ち、彼が金の帯を身に着けていたことから、ポルトガル語で「金の帯」を意味するコルダォン・ジ・オウロというあだ名で呼ばれることもある。 

あだ名のことはポルトガル語ではアペリードと呼ぶ。
アペリードはカポエイラにおいて非常に重要な要素で、本名で呼ばれても気づかず、アペリードで呼ばれないと振り向かないカポエイリスタまでいると聞く。
カポエイラの流派にもよるがバチザドと呼ばれる昇段式※でメストレ(師範)からカポエイリスタとして1本目の帯を授与される際に、その人の性質・特徴に由来するアペリードをつけてもらうことが多い。
※カポエイラは柔道やカラテなどと同様、段位により色の異なる帯を授与される。カポエイラ団体にもよるが昇段式は1年に1回開催されるケースが多い。

師(センセイ/メストレ)の立会いの下、実力が認められたものに新たな位階と名(カイデン・ネーム/アペリード)を授ける。

ニンジャのハナミ儀式とカポエイラのバチザドには奇妙なほどの相似がある。私ははっきりとカポエイラにニンジャのミームを感じとった。

ビゾウロ・マンガンガの死

無敵を誇ったビゾウロだが、彼は29歳という若さで命を落とす。彼の頑強な体は刃物や銃弾を通さなかったが、魔法の力が宿るチクンという木で作られたナイフで刺されたことがその死因になったという。
おそらくはカラテ・エンハンスメントされたナイフで刺された、あるいは極限までに研ぎ澄まされたチョップで貫かれたことがモータルの間でこのように伝わったのだろう。これはニンジャの仕業に違いない。
しかし、カポエイラ・カラテの他、ムテキ・アティチュードとカブトムシへの変化のジツを使いこなす彼ほどのニンジャを爆発四散させるとは。そのニンジャとは一体何者だったのであろうか。
当時の状況を示す資料は散逸し、今回の調査では彼を殺したであろうニンジャを特定するに至らなかった。

危険な調査になるのかもしれない。だが私は今後もカポエイラ史・カポエイラ文化を注意深くニンジャ研究していきたい。

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