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標高700mの分校カフェ

矢塚分校は、阿武隈高地の西南部ほぼ標高700mのところにある。塙町矢塚は鮫川水系で最も上流に位置する場所のひとつで、戦後の開拓集落。満州帰りの石川郡出身者などが山地を開拓してむらを作ってきた。緑がフロントガラスから溢れるような県道111号線を進むとたどり着く。

廃校になってしまった片貝小学校矢塚分校の校舎を使ったカフェが『ふるさとカフェ矢塚分校』。週末限定、地域のみんなが運営するカフェ。名物は手打ちのけんちんうどん。メニューはご覧のとおり職員室に書いてある。

付け合わせに出てくる旬のかぼちゃの煮付けとか、行くたびにおいしくレベルアップしている手作りパンとか、校庭で自由にトンボを捕まえている男の子とか、ここは廃校だけど、そういう風景がここにはある。

廃校利活用というと、その建築的な工程に注目が行きがちだけど、そこをなんとかしたいという地域の気持ちが一つに集まることもできるのが学校という空間なんだよなあと思う。

”地域”の定義はいくつもできるけども、私わたくしと公おおやけのあいだという定義もできる。

今年に入ってからは、りんごちゃんと一緒にここを何度か訪れることに。りんごちゃんがコーディネーターをしていた『ラジオ下神白』の話を聞いて、復興も支援も地域づくりも、もわたくしとおおやけの間に広がるものを見える化したり、残したりできるのではないかーーーそしてその過程こそ意味があることを発信したいなーーーと思っている。

先日は、他の地域で行われたアーカイブの手法を紹介するために、いくつかの本を分校に持ち込んで、みんなと話してみた。結構みんな写真が好きだということもわかった。

いまここにあるものを残しながら、誰かに伝える、ミュージアム”的”もしくはアーカイブ”的”(公的な館や歴史書ではないからね)な何か。残すんだけども、現在進行形のものを前向きに広げる何か。ちょっとまだ何かは輪郭が見えていないのでもう少しみんなと相談してみます。そんで毎週末カフェはやっているので、興味がある方いたらぜひ足を運んでみてください。


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