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【11歳韓国人プレーヤーがスペインで苦しんだ話】 プレスに出る5つの意図解説

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三年前に、僕が所属するバルセロナの街クラブにとある11歳の韓国人プレーヤーが在籍していました。そのプレーヤーはまだバルセロナに着いたばかりでそれまでは韓国のクラブチームでプレー。長期留学でバルセロナに家族とわたり、シーズンを戦うためにチームに加入しました。※韓国人, 中国人のこのようなファミリーは近年特に増えてます

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日本人同様に、足元のテクニックは天下一品でコーディネーション能力も抜群。それらの長所は、すぐにスペイン人指導者の目にも止まりました。

しかし、蓋を開けばリーグ戦では常にベンチスタート。出場時間もスペイン人プレーヤーに比べても明らかに少ない状態でした。

なぜか?

のちに韓国人プレーヤーが所属していたチームの監督に起用方法の理由について質問をすると返ってきたアンサーに「守備戦術の理解に欠ける」がありました。そのプレーヤーはFWとしてプレーしていましたが、チームとしてのプレスの行方を左右するともいえるファーストプレスに出る際に正しく実行できていなかったのです。

ここ数シーズン、スペイン人プレーヤーをたくさん指導してきましたが守備戦術の中でも特にこのプレスに出る際の意図をプレー状況に応じてプレーヤーがしっかり理解し、チームとしてのプレッシングを行えているなと印象を受けます。

ということで、今回は集団戦術アクション【プレッシング】の中でも、ボール保持者に対して出ていく”個人プレス”にフォーカスし、その5つの意図について紹介します。

プレスと聞くと、=絶対にボールを奪わなければいけない ような試合中の指示をよく耳にしますが、この記事を読んでいただくと現在抱かれているプレスへのイメージや、行う目的の幅が増えるかと思いますのでぜひ最後までご購読ください^^

-この記事に書かれていること

・プレスとENTRADAの違い
・プレス 5つの意図
①邪魔をする
②予測する
③超えられない
④パス軌道に向かう
⑤相手の状況が悪いケース

-この記事を書いている人

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❶プレスとENTRADAの違い

まず初めに、個人プレス(プレスに出る)の定義から明確にしておきましょう。

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つまり、相手のボール保持者が当初持っていた意図から別の意図へと変更を余儀なくされるように、誘導するアクションのことを指します。

僕自身は、守備のテクニックアクションの1つとして定義をしていますが見方によっては、後方のプレーヤーとの関係性を重要視することから個人戦術アクションもしくはグループアクションと定義付けもできるかもしれません。

※こちら少し参考になるかもしれません↓

また、”テクニックアクション”の話が出たので少し触れておくと、バルセロナのコーチングスクールでも合計2つの守備テクニックアクションを習います。

❶ENTRADA / タックル
❷RECHACE / クリア

プレスと❶のタックルが少し混同するかもしれませんのでここで定義をはっきりさせましょう。

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ENTRADAとはスペイン語で”入口”を指しますが、先ほどのプレスと比べより”ボールを奪う”といった意図が強調されます。

定義の次に、個人プレスを行う主な目的も見ておきましょう。

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たくさんある目的の中で、特に重要だなと思う目的を3つピックアップしました。

2つ目と3つ目は似ていますが、プレスに出る選手の意図が明確でないと全体のプレッシングを左右することにもなります。プレスの方向性,スピードの強弱,体の向きなどから、後方のプレーヤーに合図を与えることが重要です。

❷プレス 5つの意図

それでは本題でもある、プレスに出る際の5つの意図を順番に見ていきます。結論からいうと以下の5つとなります。何度も言いますが、ここではプレスを”構える”プレーヤーではなく、プレスに”出る”プレーヤーを指して説明を行います。

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①邪魔をするためのプレス

1つ目は「邪魔をするプレス」です。聞きごごちは悪いですが、説明していきます。

プレスをかける際にスペイン人指導者が頻繁に発する言葉としてacosoがあります。直訳すると「いじめる/嫌がらせする」の意味を指しますがここでは「邪魔をする」と表現するとしましょう。

このタイプのプレスの目的は以下です↓

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ここでの目的は奪う〈 誘導する/前進を阻止する です。

バルセロナのコーチングスクールでは、集団戦術科目の授業でプレッシングの定義として以下のようにされています。

”ボールを奪うことではなく、相手の攻撃をこちらが意図する方向へと追い込む/誘導するアクション”

プレス=奪うといった絶対的な考えを捨てることが重要となります。

②予測するためのプレス

2つ目のタイプは「予測するためのプレス」です。

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ここで登場するのがインターセプト。少し触れておきましょう。

定義:守備の局面において相手にボールが渡ることを遮断するアクション

また、インターセプトの種類には以下の3つがあると考えます。

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種類というよりは、インターセプトをした後のアクションがこの3つに大きく分けられるのかなというイメージです。

③超えられないためのプレス

3つ目は「超えられないためのプレス」です。

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これまで2つのタイプはいずれも、ボールに対して”出ていく”タイプでしたがここでは、相手ボール保持者に対してボールにプレスに出るのではなく、自分の背後のスペースを狙って動き出しているプレーヤーに出ていくといったイメージです。

ここでも行う意図としては奪うではなく、前進を防ぐ/遅らせる が当てはまります。トランジションのモーメントの際によく見られるプレスタイプですね。

④パスの軌道に向かって行うプレス

次に4つ目が「パスの軌道に向かって行うプレス」です。

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少し前の試合ですが、こちらのロバートソンのプレスを覚えている方も多くいるのではないでしょうか?↓

ボール保持者が出すパスの軌道に向かってそのままプレスを行い続けることで、パスが来た方向とは逆方向へとプレスを誘導するのに非常に便利な手段でもあります。

⑤状態が悪い選手へのプレス

最後に5つ目は「状態が悪い選手へのプレス」です。

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こちらは非常にシンプルで、明らかに保持者の状況が悪い際に思いっきりボールに対してプレスを行い”ボールを奪う”を目的にプレスに出るタイプです。

こちらのシティ1点目もそうですね。

以上プレスに出る際の、5つの意図を紹介しました。相手のゴールキック,ビルドアップ時のファーストプレス/ディフェンダーのプレーヤーに対してのキーファクターとしても重ねて伝えられることだと思いますのでぜひ活用してみてください。

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