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【プログレッションメソッド】 徹底解説

こちらの記事を動画で視聴されたい方はこちらからどうぞ!↓

スペインの指導者学校では1つの科目として【TRメソッド理論】といった科目が存在します。

TRメソッドという言葉自体はよく聞く言葉かと思いますが、実際に何を指すのか?

簡潔に言うと、「どのようにトレーニングするべきか?」このHOWの部分を指します。

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つまり、いくら戦術の知識があっても、相手や自チームの分析ができても指導者としてこのTRメソッドの知識を蓄える、そして現場で実践しなければ彼らプレーヤーには何も伝わりません。

ということで今回の記事では、僕自身がこの8年間たくさんのスペイン人指導者のTRを観察する中でいわゆる「あ、この監督優秀だな...」「試合で現象として出てるな..」と思う指導者が共通して用いている1つのメソッド法を自分の中で整理してみましたのでぜひみなさんにとっても参考になればと思っています。

ただ、初めに話しておきますが今から紹介するメソッド法が絶対の正解ではありません。そもそも絶対に正解な魔法のメソッド法などは存在せず、我々指導者は指導をする選手の特徴、国籍、年齢...全てを考慮しながら適した方法を構築していく必要があります。

あくまでも今回紹介するものは、僕がスペイン人指導者から参考にしている1つのメソッド法に過ぎませんのであらかじめご理解ください。

-この記事を書いている人-

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プログレッションメソッドの定義とメリット

今回紹介するTRメソッドの名称は「プログレッション(前進)メソッド」となります。

名前からも想像できるかと思いますが、定義としては以下です↓

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複雑性の多いフットボールというスポーツにおいて、その複雑性をしっかりとステップを踏みながら、セッションの中に与えていこうといった考え方です。

ではなぜこのメソッドが有効なのか?

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今の時代、ストリートサッカーというものが昔に比べ激減し、”戦術”というものが”テクニック”に比べて日々のトレーニングの中でも優先されつつあります。

これらの傾向からして、現代のプレーヤーたちはマクロな視点(戦術的要素)は長けていてもミクロな視点(テクニック/個人戦術要素)が明らかに欠けているような状態を多々見ます。

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例えば、守備の局面においてスライドの動きといったグループ戦術はできても、いざボールを奪いにいく際に必要な個人戦術アクションであるマークの動きができないことや、テクニックアクションであるタックルができない選手も多いです。

もしくは、幅を取るといった戦術アクションは理解できていてもいざボールを受けた際に行う抜くドリブルができなかったりと、このような現象は多く見受けられるように思います。

これらの問題を解決すべく、扱われる1つの教授法がこのプログレッションメソッド法になるわけです。

プログレッションメソッドの特徴


次にプログレッションメソッドの一番の特徴は以下です↓

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指導者によっては、1つのセッションのなかに複数の異なった目的を導入してセッションを実行する指導者もいますが、そもそも人間というのは脳科学からしても1つのことにしか集中できません。

もちろん、1つのセッションの中で沢山の伝えたいことがあることは理解できますが、指導者として大事なことはその中でも優先順位を持ってセッションを行うことです。

ここでは、最大2つまでと書かれていますがその2つもしっかりとリンクしている必要があります。この後、その一例を見ていきます。

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先ほど、脳科学の話に触れましたがこちらの「一点集中術」という書籍は超おすすめです。フットボールとは直接的に全く関係はありませんが、TRメソッドを確立する際に役立つ知識が満載です!

プログレッションメソッドを用いた1日にセッション例

ではここから実際に、プログレッションメソッドを用いた1日のTR例を紹介していきます。

ここでは以下の2つの目的に沿ってTRをすると仮定します↓

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先ほども言いましたが、ご覧の通り2つの目的が延長線上になり、プレーにおいてリンクされていることがわかります。

実際に、セッションの紹介に入る前に1点抑えておきたいポイントがあります。

それが以下の3つのメニュータイプ↓

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各メニュータイプの特徴はこの後順番に紹介していきますが、これら3つのタイプを用いてプログレッションメソッドの特徴を考慮しながら1日のTRを構築していくイメージです。

3つのメニュータイプをどのようにプログレッションメソッドに適用していくか?

それでは順番に説明していきますが、まずはアナリティックメニューを用いたセッションからスタートです。

❶アナリティックメニュー

アナリティックメニューの特徴は以下↓

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反復メニュー/ドリルメニューとも表現されますが、ここで最も重要なポイントは「インテンシティー(強度)は高く、複雑性は少なく」という点です。

後に登場する、グローバルメニューにおいて必要となるテクニック要素や個人戦術要素の”成功体験”をできる限りたくさんさせてあげることが重要となります。

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スペイン語表記ではありますがここに丁度、先日僕がチームで行ったライン間でのサポートから前進までのTRメニューがりましたので紹介します。

背景を少し話すと、週末の対戦相手が1-4-1-4-1のラインカバーを用いるチームということで、図上の赤コーンは相手の中盤ライン4枚と仮定しています。

まだアナリティコの段階ですので、複雑性は少なめ、敵もなしです。

自チームは1-4-2-3-1でプレーしていますので、片方のボランチが相手の中間ポジションに立ち固定サポートを行い、もう片方のボランチが1ライン前でライン間で越えるサポートを行うといったメニューです。

※フットボールにおける6つのサポートについてはこちらの記事からどうぞ!↓

また、1つノルマとして逆サイドで準備をしている真ん中の選手がCB役を行い、ライン間でボランチがボールを受ける際にプレスに出るか、その場に留まるかを決定します(DFは奪うのは無しです)

このCBの動きをライン間で受けるボランチは認知して、自ら反転してボールを前進させるのか、3人目の動きを活用してもう片方のボランチに落としのパスをして前進するのかを決定します。

このメニューを通してはよりミクロな視点、2つのサポートのタイミング、体の向き、首を振る動作、見る、CBの縦ににつけるパスは遠くの足へ...etc などに趣を置いて行います。

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❷グループメニュー

次にグループメニューの紹介です。特徴は以下です↓

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先ほどのアナリティックメニューに比べて、徐々に複雑性を増加していきます。

設定した2つの目的はブレずに、敵を追加して判断材料も増やします。

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こちらも、TRメニューの例となりますが先ほどの延長線上のようなイメージです。

キーファクターは変わらず、変化したことは敵の設定と中央にボランチ1名しか入ることのできないゾーンを設定したこと。攻撃チームは、ライン間でボールを受けれればそこから反転をし、逆サイドに設置されているマーカーを通過すればポイント。DFチームは、一度ライン間にボールが通ればそこから後退して守備が可能となります。

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❸グローバル

最後に行うのがグローバルメニューです。特徴は以下↓

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より複雑性の多くなる設定となるので、現象として目的が出た場合はしっかりと評価してあげることが重要となります。

ここではメニュー図はないのですが、先ほどのグループメニューの延長線上で”条件付きの”ゲーム形式を用いるケースが多いです。

まとめ

これら、3つのメニュータイプの特徴からも分かるとおり、プレーの複雑性は徐々に上がっているイメージです。

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このメソッド法を扱うことによって得られるメリットは以下の2つです↓

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冒頭にも言いましたが、あくまでも1つの考え方です。

少しでも参考になることがあればという気持ちです!最後までご購読いただきありがとうございます!

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