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大谷翔平選手の得点圏打率が、ほぼ無意味な議論であることについて。

ドジャースの大谷翔平選手が、打率、安打数でリーグ1位という文句のない成績にも関わらず、得点圏打率が低いということで、いろいろ話題になっております。

先に結論を書きますと、「得点圏打率は年度間相関が極めて弱いので、ほぼ無意味な指標である」というのが、セイバーメトリクス界隈では常識となっています。

記事を書いているマスコミも、これは知っているはずなのですけど、ちょっとセンセーショナルなタイトルを書けるものだから、架空といってもいい指標を持ち出して、あれこれいっている。

説明します(タイムボカンかな)。

年度間相関というのは、ある年の数値が、別の年の数値と近いか遠いかの相関関係を示す尺度のことです。年度間相関の弱い指標は、実力ではなく運の要素が大きいと判断されます。

イチロー選手でも内川選手でも誰でもよいのですが、ある程度長く活躍した選手の毎年の成績を見ていくと、三振・四球・本塁打は大体似通ったものになります。大勢の選手の、年度間の差をまとめれば、さらに似通ってくるでしょう。それを年度間相関が強い、と言います。

得点圏打率はそれが極めて弱いということがデータ解析で明らかになっています。つまり、得点機に打てたかどうかは、運にすぎないということです。

長く試合に出続けた選手の生涯得点圏打率は、生涯打率に限りなく近づいていきます。大事な試合、大事なところで打てば印象に残るので、あの選手はチャンスに強いなどということになりますが、選手に大金を払うMLBでは再現性のない幻想にお金を払うわけにはいきません。

だからMLBは日本よりデータ解析が進んでいます。松井秀喜選手がワールドシリーズMVPの直後にトレードになったのは、そういうことです。

また、得点圏打率はそもそもサンプル数が少ないのです。全打席数の4分の1くらい。そして今、シーズンの5分の1を消化したかしないかというところです。つまり、大谷翔平の20分の1だけを見て、あれこれ言っている状態です。

わずかなサンプルで幻想を抱いて勝負強いの弱いのと言うのは、ファンの楽しみ方としてはありと思いますが、メディアがわかっていてそれをやるのは、ちょっと良くないなと思うので、おたくな文章を書いてしまいました。

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