見出し画像

急に #JapanXRFest に呼ばれたので

こんにちは、じゅんです。
Hokkaido MotionControl Network (#DoMCN)というHoloLens・VR技術好きの技術者コミュニティの勉強会を運営していて、開発者の知見の交流を促進しています。また、元・物性研究者として、研究機関に所属する若手研究者でxRに興味を持つ人を見つけてはHoloLensを被せに行き、開発者コミュニティへの橋渡しを行う事を続けています。これらを適切に表現する職名が無いので、勝手にScientist/Developer Relations と名乗っています。

 2/27(昨日)行われた、Japan XR Fest (神戸三宮/onlineハイブリッド)というイベントにて、地方コミュニティの運営に関するトークセッションを担当しましたので、その設計思想的なものを備忘録的に書くことにします。XRそのものの話は一切出ない、行動変容の設計の文書ですので、XRの技術を期待してガッカリすることなきよう願います。
 今回私が意識したのは3つのレイヤーです。
i) 会場参加の参加者になにか知見をお届けする(最低限)
ii) オンラインメインとなる登壇サイドでも普段と違う何かをする
iii) 会のそとに影響する何かをする
現場・運営の心・SNS上にそれぞれ何かを残せたら成功です。せっかくの遠隔登壇だし、そこだけで閉じないものをつくるぞと。

Japan XR Fest

 Japan XR Festは関西圏で毎年ペースで行われているXR関連の中規模イベントです。前回は梅田で行われていましたが今回は神戸に会場を移し、セミナー・体験会・アプリコンテスト決勝戦・ハッカソン成果物体験コーナーの複合イベントとなっています。私のチームは、地方開発者コミュニティの活動紹介ということで11:00からの30分を依頼されました。#神戸駆動開発 (#大阪駆動開発)つながりです。

コンセプトを決める

 運営からセッションに期待するものを訊いたところ、①オンラインで複数拠点をつなげつつ、各地のXR事情みたいな話をすることなど②アングラ化、空洞化とかも地域課題的な事でもあるので次に繋がるようなアプローチにできそうな感じであれば実情のお話も(要約)との事でした。
 ①と②を受けて、①はエンジニア向けの活動案内、②はコミュニティマネジャー向けの課題共有・行政サイドへの訴求と解釈し、セッションを組み立てる事にしました。
 ・神戸近隣のエンジニアが来る
 ・神戸市の協力イベントなので行政担当者が居る可能性がある
 ・コワーキングなのでスタートアップ系も居るかもしれない
という環境であることを考慮して、トーク全体のテーマとしては「地方コミュニティにとっての逆風と、それを克服しているコミュニティ運営者」という感じにしました(東京に依らないコミュニティ運営と表現していました)。あと②に比重を置く形を目指しました。理由としては、行政サイドが枠組みを闇雲に作っても開発者コミュニティって別に発展しないという所を見ているからです。開発者コミュニティが伸びる地域の共通点は、運営の主要メンバーが社会的立場的に安定していて、個として確立したうえで常時コミュニティとしての発信を切らしてないことだと私は捉えています。そして、発信それ自体を継続することを通じて運営者のキャリアがいい方向に伸びる例が実在することは伝えた方がよいと思っているからです(もちろんそれでも難しくなっていく例は知っているけど)。

 前回、「DevRel領域からXR領域へのオンボーディング」をパネルセッションで組み立てた時は、そもそも聴衆の大多数がDeveloper Relationsという発信することメインの人の集いだったので発信の重要性はそれほど伝えなくていいと判断しましたが、今回は発信の重要性の認知もまだ低そうなので改めて織り込む形にしました。

トークゲストの人選と構成

 コンセプトを決めた段階で候補者はほぼ決まっていて、 #福岡XR部 のそいちろさんを中心に組むことを決めていました。#福岡XR部 では数名の運営担当者がそれぞれでイベント企画をconnpassで立てて協力しながら運営していて、その一人がそいちろさんです。Looking Glassや、ELF-SR1など裸眼立体視デバイスを触りたくなったら、福岡で体験会を運営している彼に相談するのが一番速そうです。福岡の地元会社所属のエンジニアながら、オープンにxRのコミュニティ活動を主体的に続けられている稀有な例ですので、どういう経緯でエンジニア→運営が無理なく続けられているポジションを得られたのかという話は神戸市の施策決定側にとっても有益な事例になると考えました。
 トークの中心を福岡ベースのそいちろさんに据えつつ、このコンセプトで最も効果のあるサブスピーカーを考えた時に、 #withAR ハッカソンを運営しているイワケンさんが最適だと考えました。「地方の」と銘打っておきながらあえて東京のイワケンさんを想起したちゃんとした理由があって、彼の運営するイベントは毎回違うコンセプトを先に決めた上でコラボ先を決めて運営している特徴があります。なのでイベント名が『〇〇〇(←コンセプト)with AR ハッカソン』という風になります。これはコミュニティマーケティングコミュニティ用語(#CMC_Meetup)でいう所の「関心軸」と呼ばれる軸での活動展開で、目的が決まったうえで誰でもウェルカムという建付けになっています。なので、地方に依らないのです(東京がオマケ要素になる)。オンラインイベント運営継続における、最も成長する要素「関心軸×オープン性」が担保されたイベントになっているので、これは広く知られるべきであるし、他の地方XRコミュ運営者にも刺激になると思ってお誘いしてみました。
 あとちょっとこれはパネルセッション運営上の実験ではあったのですが、私の代わりになる「質問役」という特殊ポジションを立ててみる事にしました。私は実際のところパネルセッションを観るのも聴くのも超苦手でして、ましてやパネルセッション進行役をしたことが今まで一度もないのです。一般的な方式のままではライブでうまく軽妙なやり取りを出来る自信が全くないので、補助輪的なツールが必要でした。そこで、話を整理してまとめつつ進行する機関としての私と、"とにかく分からん"をゲストに伝える質問役という二つの魂を用意して、現場では私が気楽に進行するという形の実験をしました。これも人選がものすごく重要になります。なにしろ私と似たような質問をできる必要があります(私が混乱するので)。
 「質問役」アシスタントとして、みゃおん∞さんを指名しました。彼は #バーチャルロボコン展示会 というイベントをcluster内で開催した学生さんで、高専のロボットコンテストガチ勢である以外にも、山口県内の教育施設でxRデバイス体験会を提供したりしています。私の観測圏内で、デバイス体験会を開く開く学生さん達は他にも相当数いらっしゃるのですが、みゃおんさんだけはアウトプット内容に特徴があって、地域に普及させるにあたり課題がたくさんあるとだいたい添えています(普通は「XR体験会実施しました~楽しかった~」で終わる)。また本人は地方エンジニアとしても様々な遠隔地ハッカソンなど参加していて、今後の社会人としてのキャリア展開にも熱意があるように外からは見えていました。なので、普及とキャリア両方の話題に対して今最も自分ゴト感をもって取り組める人物と判断しました。今まで直接の面識がありませんでしたがお誘いしてみました(本人ビックリしたと思います)。

 メンバーが無事一発で決まった(そいちろさんイワケンさんは半日で快諾、みゃおんさんはその二日後に打診して即日OK 速さは正義)ので、前回のDevRel/Japan Conference の時のようにメンバー全員にコンセプト・やりたいこと・受講後に期待する聴衆からのアクション・裏テーマをまとめたペラ1企画書を共有して、以降の準備に進みました。裏裏テーマは明かしてません。かくして混乱と困惑のパネルセッションは始まりましたw。

画像1

(以下、メンバーの既知アウトプット)

引き続き、準備に負担をかけない運営設計を採用した

 セッションメンバーの情報共有のスレッドを確保し、昨年11月のDevRel/Japan Conference 2021 のパネルセッションの準備の時の方式を踏襲して準備を進行しました。オンラインホワイトボードpetariを使って質問内容を空間的に整理できる非同期ワークショップ形式を今回もやりました。メンバー間での相互理解・共通点探しがしやすいように運営者の活動事例を私がぽんぽん投げ込むスタイルも継続しました。基本的には全部非同期なので、空き時間にちまちま出来、かつ作業するときの工数も見通しが立てやすいものです(私以外)。

 招集から日が空き、イワケンさんからミーティング希望もあり2/5にキックオフミーティングを開きました。そこで認識を再度すり合わせた後くらいから本格的に準備を進め始めました。といっても二月前半は #withAR , #HoloHack のハッカソン丸かぶり期間だったので、負担をかけないための全力放置を判断しました。ドキュメント残っとけば後で何とかなるやろ、の精神です。個人的な目的として裏裏テーマがあることも明かしました。

 というか、この雑談だけで二時間くらい喋っていてその時点でそれぞれのコミュニティの運営の工夫など知らないことが盛りだくさんでした。後日使えそうな一部を配信できるように録画をしていたのですが、私のポンコツ事案が発生してしまい、ノートPCに電源繋ぎ忘れて録画回し続けている間にバッテリー切れで落ちました。めっちゃもったいなかったですね。

 パネルディスカッションですがプレゼンパワポは作ることを決定していました。一般のパネルディスカッション超苦手な理由の一つで、参照資料なしに数人がしゃべっていると聴者としてどこに着地する論理的な話なのか全然わからない時があり、ものすごい苦痛です。自分自身のために、参加者への視覚情報は整備する事を決めています。
 どうつくるかという事に関してはイワケンさん提案の、google ドキュメントに全員編集可能なパワポを一個作成・そこにみんなで入れ込めるようにするという案を採用しました。これなら本番の時に私がめくっていけばいいので、それぞれのゲストにいちいち画面共有させる無駄時間を発生させずにスムーズ進行することができます。
 直近のとある会議をモデレートした時にまったく同じスタイルの司会進行をしたことが図らずも良い練習になっていたので良かったです。
 20日にテンプレを備えた原案パワポを作った後、ふたたび数日の放置期間があり(なんか忙しすぎた)、木曜日からガッと再開して仕上げました。
 本番のYoutube配信画面に話者の顔が映り込むことを考慮して、この顔画面でスライドが欠ける領域を非編集領域として全スライドに明示してありました。(その割には私がサブモニタ画面をzoom共有(後述)したときのwindowsツールバー隠し忘れて、下のスライド内容が欠けました。ポンコツすぎてすみません💦)

体験設計から逆算してスライド構成を決めていた

 本番当日に、視聴者に伝えるべきこと・視聴者から引き出したいアクションは、パネルメンバー決定時点ですでに決まって以下共有されていました。これらをどう達成していくかという所がパネルセッションモデレータの仕事です。
メッセージ
 ・ただ場があるだけでは地方コミュニティは持続しない
 ・継続できる人は、工夫をしたうえで環境との折り合いをつけて継続・発
  展してる
 ・意図を持った発信が大事
アクション
 ・他領域への勉強会へのエントリー
 ・運営者間の交流が起きる
 ・行政サイドがコミュニティ運営者に向けてやさしくなる
を具体的に達成するために、スライドの構成と進行を以下にしました。

①バトン受け取り~スライド表示するまで
・会場の人数を鈴木さんに訊く
多分様子を見せてくれるだろうと勝手に期待して訊くと、会場の様子を見せてくれました。スライド表示するまでの時間稼ぎの意味と、聴者側・話者側すべてに対する、「セッション司会が会場に関心があること」の意識づけの意味の二重の意味があります。これで聴衆のフレンドリー指数を上げます。

②スライド表示後すぐ
・自己紹介・コミュニティ紹介をすっ飛ばし、ターゲットと伝えたい内容の概略だけ宣言して次へ。
エンジニアの方にはロールモデル
行政側にはコミュニティ発展の内容であることを示唆しました。

・お願いスライドの採用

画像2

見た瞬間困ってる感の伝わるひときわダサいスライドに最速で到達し、発信のお願いをしました。左上のQRコードがもたらす結果(タグ付きつぶやき入力用リンク)を説明し、さらに引き続き左下のQRコードがもたらす結果(Slidoへのアクセス)と質問の仕方をリアルタイムで実演しました。

画像3

・QRコードお試し時間の確保とハードル下げ
実際に自分がやって見せている間の時間を使って視聴者がスマホを取り出せるようにしました。Slidoの場合は質問投稿といいね機能が用意されているので、そちらも丁寧に説明しました。「お願い」の文字が長く映り込んでる方がフレンドリー指数が上がるかと思って実演をこちらに繰り上げました。

画像4

説明終了後に、このセッションはインタラクションを必要とするセッションであることを宣言して、視聴者参加型である事をイヤというほど刷り込んでいきます。3種類の参加方法がある事で、その中で一番精神的ハードルの低そうな選択をしてくれます(罠)。ここまでをミスると誰も質問してくれなくなるので、巻き込み型パネルディスカッションを企画したわたしの最大の山場でした。

画像5

Youtube視聴者用のためのSlido直リンクを講演開始前に配信会場に貼りに行く作戦も周到に実施したはずなのに、肝心のURLを貼り忘れる失敗をしました。なぜ…。永劫に残るポンコツを晒してしまいました。

コミュニティ紹介
ここは適当です。DoMCNの現在の戦略としてのコラボ志向と、「外に知ってもらう」コミュであることだけさっと伝えて、メインゲスト #福岡XR部#withAR の説明へ。#バーチャルロボコン展示会 の説明は当日病欠のみゃおんさんに代わり私がやりました。

画像6

・役割と属性の明示
そしてその後ようやく自己紹介、をさせずに運営人紹介をしました。
今回のトークセッションにおける全員の立ち位置を質問者(私とみゃおんさん)、回答者(いわけんさんとそいちろさん)として紹介しました。
今回のセッションは、後半がいわゆるDevelper Relations (#DevRel)の技術領域のお話でもありますので、私の自己紹介に繰り込んで表現しました。

課題感の提示とそこに対する質疑応答①

画像7

これは最後まで構成(位置)が定まらずに直前まで唸っていたところなんですが、地方のコミュニティでほぼ必ず起きる現象(↑)について、なるべく早めに提示することにしました。
自然現象として提示して、それに立ち向かうための運営上の工夫として、ゲストに質問をして美点を引き出すよう努めました。

画像8

・ライブ質問役の代替案として事前貼り
さて、みゃおんさんは前日のダウンにより当日の「ライブ質問役」としての現場補佐ができなくなりました。ということで、すべての質問をライブで取り扱う事を諦め、文脈上うまくコメントを引き出せそうな既存質問の中から予めパワポスライドに貼っておいたものを使ってトークを展開することにしました。petariのコメント分布からそれぞれの設問の予め回答されやすさが分かっているので質問と深掘り質問をしやすかったです。病み上がりのみゃおんさんには無理をさせず、聴講者と同じ立場をとってもらってスクショなど挙げてもらいました。結果的にいい判断だったと思います。

画像9

・質問フォームを再度活用
Slidoに追加された質問への回答タイムのスライドは、右側白紙のスライドに、Slidoを開いたウインドウをオーバーレイさせて、リアルタイムでの現況から判断するようにしました。①ノリが伝わらず質問がいまいち出ていなかった場合は、新しいのを取り上げると伝達して次の出番に備える②上手く質問が出ていたらそれをそのまま採用してゲストに訊く、という二択のうち①を選びました。

後半の課題提示とディスカッション

画像10
後半はコミュニティ運営者の活動戦略についての議論に移りました。ここが聴衆に一番伝えたかった内容だったので、とびきりネガティブなスライドを作って見せながら、ビジネスと結びつき始めるまでの話をイワケンさんに訊く&地元の福岡エンジニアカフェのサポートによって活動ハードルが下がっている事をそいちろさんに訊く、というネガポジのバランス取りをしました。前日の打ち合わせでのイワケンさんからのアイデアを元に思いつきました(ありがとうございます)。

画像11

・イワケンさんが一番輝くスライドなのでスライドフォーマットを除外
 コミュニティ参加者→コミュニティ運営者→社会実装のプレイヤーへと順にポジションが変わっていったイワケンさんが非常に象徴的なスライドを公開されていました。これはガッツリ説明してもらいたいと思いましたので、真っ白スライドのまますべてのフォーマットを抜いて統一的な見た目からの視覚的な変化を入れました。

画像12

・無事質問が増えたのでちゃんと扱う
それまでの時間でいろいろ頑張って質問を募っていた結果が出て、こちらに意見が寄せられていました。本当にありがとうございます。ちょうどいい質問が出ていたので、定期開催に関する質問を拾い、#福岡XR部 で定期的に行われているマンスリーミートアップのお話を新たに引き出すことができました。

画像13

画像14

ということで上手くいっている理想的な模式図の中心に居るゲストをロールモデルとして印象付けて、地方コミュニティの維持は消去法でのフワッとした図を示してトーク本編を閉めました。

画像16

クロージングではセッション後のアクションを提示してそれぞれ誘導

画像15

・アクションを引き出すための伏線とイベントのおしらせ
 まとめのスライドで強調したのは本編の内容ではなく、発信共有でした。これは(効くかどうかわからないけど)次の行動を引き出すための伏線でした(冒頭からずっと誘導してたのもこれのため)。
 話を聴いて面白そうと思ってくれた人のためにすぐできるアクションを提示しました。質問タイムで話題に出した福岡のマンスリーミートアップ(3/2開催)と、このセッションの反省会をするためのtwitter space(イワケンさんが前日に立ててくれた)を紹介して、次の動線としました。当日中であれば関心も揮発してないと思いますので、当夜の開催はとてもよいタイミングでした。現地の展示組だった方も来ていただけました。


画像17

 短期で出来る交流の後は、長期で出来る非同期な交流の紹介も入れました。Slidoで答えきれなかった質問に関しては空き時間に答えていくことを言っておきました。また、会が終わった後にtogetterのツイートまとめを放流すること、ブログ(←今の記事)などを公開する事を告知しました。

セッション終了後に登壇資料と準備用の資料の一部を公開

 自分の登壇資料を公開するのはいつもの事ですが、今回は準備段階の時にメンバーのスレッドで共有し続けていた勉強会事例やその関連アウトプット(ブログとか)もまとめて共有しました。どういう事をやっているのかとかを持ち時間では網羅しきれていないので、持ち時間の外にコンテンツを逃がす施策の一環で試してみました。というわけで、ここに発表資料も置いておきます。

全体を通じての工夫

①まずすべてのスライドに視聴者発信用のショートカットQRコードを付けました。今回、ハイブリッド開催だったので、PCを持たない神戸会場の方も手軽に参加できるようにするために、スライド自体に常時表示されるようにしていました。こうしておけばyoutube参加の人もいちいちQRコードに戻る必要もないです。
②質疑パートは必ず回答者にもう一言私から何か言って深掘りをしました。ここが懸念していたところで一番難しかったです。初見の観客と同じ、まっさらな脳みそと、コミュニティ事例を満載した脳みそを自分の中に用意して臨むイメージでした。まだトークの場に出てきていない材料を冷静に見ながら、既存事例とかを臨機応変に引っ張り出して次の展開用のコメントを引き出すということをしていました。ちなみに採用される質問は当日まで謎にされたうえ、引き出し先も事前打ち合わせなしなので全員アドリブです。リアルタイム感すごかったでしょ。もう二度とやりたくないww
③自分以外がしゃべってるときにマイクオフしないで絶対相槌入れるマンに徹していました。これもリアルタイム感の演出面でした。作られてる感(オンラインパネル特有になりがち)のない進行に見えたんじゃないでしょうか。会に関する関心があるということを話者側からずっと示し続けることで、聴者側からも関心を呼びやすく出来ると思っています。
④最初から持ち時間をオーバーするつもりで手元のストップウォッチを回していました。禁じ手だと思いますが、事前に登壇資料とトーク内容を運営に共有したうえで、10分のオーバー可能性を告知していました。事前に後ろ倒しの余地があることを運営から確認したうえであえて破りにいっています。冒頭で鈴木さんに会場の様子を訊く出だしでスタート時刻をわざとあいまいにした後(ひどすぎる)、ちゃんと12時ピッタリに着地してキリよくしました。顔見知りの運営だからこそできる禁じ手で、これを他の会場でやらかしたら二度呼ばれることはないでしょう。

ここまですべてが体験設計から逆算の構成
長すぎる工夫の解説だったのでみんな忘れたと思いますので当初のKPIをもう一度掲げます。
アクション
 ・他領域への勉強会へのエントリー
 ・運営者間の交流が起きる
 ・行政サイドがコミュニティ運営者に向けてやさしくなる

結果① 交流の場が外にできた

よかったです。まず、前日までの打ち合わせの時点で、イワケンさんが作ってくれたアフタートーク会場が、まさに運営者間の交流の場でした。作ってほしいと頼んだわけではなく、準備のあれこれの中で、どうしても話し足りないという共通認識が形成された結果のアクションでした。30分の本番トークに加え、約3時間のアフタートーク。こっちも実況してくれるまつこさんも居たりして、非常に楽しい交流会になりました。

結果② #福岡XR部 も福岡外からのエントリー増

これも良かったです。spaceでお互い雰囲気の知られる事のなかったコミュニティイベントへの理解が深まり、相互乗り入れの雰囲気が高まりました。2日(明日)に開催される 福岡XR部 Monthly Meetupに他地域から参加する人が続出して、定員数が開催までに埋まりました。もともと運営に負担のあるイベントではないミートアップなので、しばらくにぎやかになる事でしょう。

ここまでがメンバー決定時に決まった表・裏テーマに対する結果になります。

裏裏テーマに対する成果①

画像18

 こちらも短期・長期的に生きるものをそれぞれ残せたんじゃないかと思います。コミュニティ運営の難しさに関して真正面からxRの領域で語られることはあまりなくて、前回担当の11月のDevRel/Japan Conferenceの構成でも外した話題でした。そういう意味で今回の配信内容は後にも参照されうる内容になっていたんじゃないかと思います。運営負担を減らすエッセンスだとか、コミュイベント参加者の人生を長期でエスコートするエッセンスだとかは時流に関わらず価値があります。
 地方の開発コミュニティマネジャーの当面での理想形は、東京から見た時の水先案内人としての機能を十全に果たせている事かなと思っています。このポジションは東京からのお仕事の情報も地方のエンジニアのスキルも把握していることになり、しかも本人が居なくなるとコミュニティごと消滅しうるということになるため、価値は今後あがると考えています。おちんぎん的な価値の上昇は見込めていませんが、それでもこれを言語化・スライド化できて良かったです。
 こっそりスライドにDevRelという言葉を混ぜ込んだりして、ハッシュタグでも一瞬だけミーム汚染をしました。「なんか呼び名がわかんないけどイベント運営とか体験会とかしている人」がxR業界にはいっぱいいてイベント運営をバラバラに試行錯誤している現状です。きわめて近い技術領域のDeveloper Relations の基本スキルから得られる良い結果も多いため、取り入れてみる雰囲気づくりを継続してやってみようと思います。

裏裏テーマの成果② XRコミュニティ運営者のためのコミュニティが出来た

 自身の運営する勉強会イベントを内部に告知したり、知人の運営イベントをお知らせするためのツイッター用コミュニティがspaceでの会話のまさに最中に爆誕しました。今のところ、内部での交流は規定されていませんが、イベントの共有を通じたコミュニケーションが出来る場になると考えています(あの人は遠隔転送の勉強会ばっかり共有するからきっとそういうのが好きなんだな、とか)。ここでイベント共有しておけば運営者自身のスケジュール管理をするにも楽だし、他の人と同質なイベントを立ててしまって効果をそれぞれ半減させてしまうリスクも減らせます。

 これも自然に生まれました。とはいえ伏線はすでにばら撒いてあり、
・XRコミュニティ運営者同士のコミュニケーションの場が実はないことが打ち合わせなどで共通認識化してニーズ化していた事
・2月のイベント被りが実際にものすごくひどい様子を、準備用チャットスレッドに投下していたイベントの山で可視化していた事
などが裏で働いていたと思われます。イワケンさんの施策で↑の課題が一発で解決に向かうような気はします。今後の運営と展開に期待です。
 コミュニティ機能の協働モデレータに指定していただいたので、このコミュニティのメンテナンスももちろん協力させていただきます。ずっと大事だと言っていた、「発信」と「共有」の概念がこういい感じに具現化したので、とても嬉しいです。(イワケンさんが持つ意図汲み取り力の高さがここまでとは思わなかったです やっぱりDevRel向き)。

イベント運営に際し目指しているものはそれぞれの「参加してよかった」感を作る事

 前半、イベントの視聴者の体験設計について長々と書いていましたが、それとは別に、セッション登壇者の体験設計についても配慮して進めていました。「登壇して損した」と言われないように常に考えています。
 基本的に、イベントを経て、参加前より今が良くなっていれば「参加してよかった」なので、今回はセッション登壇者間の交流を増強する方針で種々の作戦を決めました。また、良かった体験を共有という形で発信すると、チャンスが巡ってきやすくなるという原則は運営者自身にも当てはまりますので、このアクションが引き出せれば、私自身のトクにもなり、今回の私の仕事は大成功でした。

 たまたまロングレンジ志向のイワケンさんと思考の波長が合ったのか、様々な面で成功へのアシストをしていただきました。本当に誘ってよかったです。(私の抱える闇の面ももしかしたら似てるんじゃないかな…言わなかったけど)

 みゃおんさんは同時に参加していた #あぷこん の最優秀賞も受賞し、3部門トリプルという快挙も成し遂げていました(それもチームイワケンラボ)。そいちろさんはワクチン打った後の副反応に耐えながらもスペースにも参加していただけて、やはりなにか価値を見出してもらえたのかなと思っています。petariの上での意見整理が楽しかったとコメントも頂けました。

まとめ

 今回はJapan XR Festという神戸のイベントにお呼ばれした事を契機に、ちょっと試してみたかったことてんこ盛りでチャレンジしてみました。当然上手くいかなかった部分も多かったんですが、うまくいった部分で十分お釣りの来る出来だったと思います。オンラインでのグルーブ感をどう出していくか?というテーマでmuumu蔵岡さんと以前議論してみたこともあるのですが、一応形には出来たのではないでしょうか。
 こう、「次へ、次へ」という現象には久しぶりにあったので私自身が楽しかったです(本番はあまりの心配で胃が痛くなりすぎたのと、睡眠が2時間取れなかった)。日頃「次から、次へと」に追われている場面の方がちょっと多くて、疲れていましたがリフレッシュになりました(ヘトヘトだけど)。
 一緒に取り組んでみてビックリしたことが準備面です。今回時間が無かったこともあり、準備用のチャットスレはほぼ放置でしたので、進行の打ち合わせなどはほぼ無のまま前日まで過ぎていきました。それでも適切なタイミングでキックオフがあったりスライド埋めが始まったりしていたので、キラーパスしか場に出ていないような中でも準備進行が出来て、改めてコミュニティ運営イベント勢の練度の高さを思い知りました。
#神戸駆動開発 の皆さんイベント運営お疲れさまでした。運営には真意を一切明かさないままやっていたのでちょっとドキドキしたと思いますが、これ説明するの大変なので独断で試してみました。現地のオペレーションも大変な中呼んでいただきありがとうございました。札幌から出来る最大限のサポートをさせてもらいました。
 また何か考えて実験します。実験が科学者の最大のスキルです。

おまけ

 今回、パネルセッションのモデレーターとしての登場だったので、北海道はどうなの?という話は一切省きました。今回の発表は、#NT札幌 、#DevRel /Japan conference, #JapanXRFest の三部作のつもりでした。
 地方においてコミュニティ活動をうまく続けるためのエッセンスがあって(NT札幌)、各地のコミュニティとつながった結果オンボーディングをテーマにパネルセッションが組めたりするようになって(DevRel/Japan Conf.)、最近は小さな技術コミュニティの"起こり"を捉えていろんな方法で成長・連結をサポートする、というのが今のDoMCNです。
 時流がすごい勢いで二転三転するので対応を考えるのに必死ですが、参加者・登壇者・運営全員が(やって/頼んで)よかったと思えるように作戦を考えています。地方運営なんもわからん。。

(2022/2/28 15507字 600 min
 2022/3/7 本文微修正、おまけセクション追加)