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妻に死んで欲しいと言われた僕のアンサーソング

妻がニヤニヤしながら「最後はほのぼのした心温まる文章にしたよ」と言うので読んでみたら、タイトルからどえらい感じで、僕は平静を装いつつも内心、冷や汗が出た。友人からも心配されて電話が掛かってきた。
このまま僕が何も言わなければ、皆様あらぬ方向へイメージを膨らませてしまうのではと焦りを感じたままに、このアンサーソングを書こうと決意した訳で。

実際の所、僕と妻は毎日毎日よく喋る。14年前にカフェを開く前もこんな風に毎日話した。だんだんヒートアップして熱い話はついつい長くなってしまうのだが、僕はその時間が好きなのだ。(嫁がどう思っているかは知らないけど。)
車の中で経営やブランディングの話をしながら、娘たちを乗せてイオンモールへ向かう。広告やマーケティングの話しでは、時折、娘が会話に割って入ったりしてくるので、密かに将来を楽しみにしている。

話は逸れたが、夫婦で会社を経営者している人にはなかなかにリアルな部分が含まれていたのは確かで、僕の事を心配して電話を掛けてきてくれた同級生もやはり「うちの嫁さんにはあの記事見せるの怖い」と言っていた。

しかしながら、女性からの反応はなかなか良かったそうで、ちゃんとハッピーエンドな話として伝わっていたようだ。良かった。ふー…。

僕らは約14年間営んだ今の店舗から、新しく生まれ変わるために現在は2階建てのビルを建築中だ。
当初は今の店舗も残して、2箇所に拠点を設けようというのが計画もあった。
お客さんの流れやコスト、スタッフ配置や店舗デザインなどを詰める内に、今の店舗は閉めて、完全に新しい場所に移転する事にした。
最後の決め手となったのは妻が「夫婦、同じ建物で仕事したい」と小さな声で呟いたからだ。

僕は密かにすごく嬉しくて墓場までその言葉を抱いていきたいと思っている。

こちらが建築中のJAMビル

僕は新しい建物の名前は「JAMビル」に決めた。美味しいアイデアを沢山煮詰めて閉じ込めたようなビル。小さいけれどワクワクするビル。もちろん僕ら夫婦共にジュディマリのファンであるのだけれど。

Jun(妻) and Master(僕)のビルやで。
妻にそう伝えると、彼女はクスッと笑った。
嬉しそうに見えたけれど、失笑しただけかもしれない。

僕は死にましぇん。
このビルで沢山の人の笑顔が見たいから。
すっかり可愛いお婆ちゃんになった妻に笑顔で看取られるその日まで、僕は死にません。

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