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ムーアの法則

今現在、マイクロプロセッサはその始まりから、一体どれぐらい進歩しているのだろう。
ふとしたことから、確かめてみたくなりました。そして、マイクロプロセッサの進歩と切っても切れないのが「ムーアの法則」です。

ムーアの法則とは「集積回路上のトランジスタ数は1.5年の間に倍になる(※)」というもので、急速なコンピュータの進歩を予見したもの。1965年当時に雑誌インタビューとして初めて世に出、その後、半導体技術の進歩の指標として定着しました。果たして、これは今でも有効な法則なのでしょうか。

1971年、最初のマイクロプロセッサの一つ、intel4004のチップ上のトランジスタ数は2,300個で、動作周波数740kHzで駆動した時の計算性能は92kIPS(1秒当たり計算回数9万2千回)でした。

それから約半世紀。さて、どうなっていると思いますか。

AMD社のマイクロプロセッサ "Ryzen 9 3950X" (2019年11月出荷開始)は、192億個のトランジスタを集積し、動作周波数4.6GHz時になんと749,070MIPS(1秒当たり計算回数7,490億回)を叩き出すまでになっています。
これはintel4004に比べると、トランジスタ集積数で約835万倍、計算回数で814万倍となります。

データ元:
https://en.wikipedia.org/wiki/Instructions_per_second

コンピュータの性能は様々な要素(メモリの速度とかソフトウェアの処理内容)が関連するものなので、現在のPCは当時のマイクロコンピュータの800万倍の性能があるとは単純には言えません。しかし、ひとつの目安にはなるでしょう。

そしてintel4004を起点にした場合のムーアの法則でのトランジスタ数の予測値は、49年後の2020年が約68億個、2021年に約108億個、2022年に約172億個となりますから、少なくともPC向けマイクロプロセッサは、現時点でムーアの法則通り、もしくはそれを超えて進歩していると言えなくもありません。

これは考えてみれば凄いことです。50年以上前にムーア叔父さんが、多分こうなると思うんだよね、と何気なく言った言葉が、いまだにマイクロプロセッサを進歩させるエネルギーになっているのですから。

ムーアの法則には上限というものがありません。1.5年で2倍!(当然性能も2倍だよな?)と言うだけです。ムーア自身も50年通用するとは思っていなかったでしょう。いずれは壁にぶつかるはずだ、と。しかし技術者達はそれをチャレンジングな目標と捉えて、法則を守るため技術革新を行い、壁を越え続けてきたのです。

もし「ムーアの法則」がなかったら。
技術的な壁にぶつかった時に、これでいいや、仕方ない、限界なのだから、と諦めてマイクロプロセッサの進歩はどこかで停滞していたかもしれません。
1.5年で2倍。できるはずだ。進歩し続けよ。ムーア叔父さんは今も叱咤し続けています。

マイクロプロセッサが素晴らしい進歩を続けていることが確かめられて嬉しくもあり、また、なんと目標設定というものは重要なんだろう、そう思わずにはいられなかったのでした。(了)

(※) 2年で2倍、と言う場合もあるようです。本文では1.5年(18ヶ月)毎に2倍としています。

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