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日本が秘めるFintech 市場の可能性


前回のブログの中では、なぜ私たちが東南アジアに資本投下するのかに関して記述させていただきました。東南アジアの素晴らしさと、その成長速度が少しでも伝われば嬉しいです!

さて、私が経営しているFintech企業SYNQAはタイと日本に拠点を構えており、2020年には子会社Opn も設立しました。これまで東南アジアでの事業拡大にフォーカスしてきましたが、現在は日本事業も急成長させています。今回は、「なぜ日本の市場に力を入れているのか」に関して少しお話しできればと思っています。
そこにはいくつかの観点があります。一つずつ説明できればと思います。

1. 日本でのキャッシュレス化の加速
2. マーケットのEC化比率
3. 資本
4. ユニークなマーケット
5. 自分の強い思い

ではまず、1点目の「キャッシュレス化」の加速に関して述べたいと思います。

1. 日本でのキャッシュレス化の加速

日本のキャッシュレス化比率は他国と比べても大変低い状態です。クレジットカードや銀行システムが発達した日本で、なぜこれほどにキャッシュレスが発達しないのかというのにはいくつかの要因があります。

・日本はどこにでもATMがあり、現金にアクセスしやすい環境にある
・治安が良く、現金を持ち歩いていることのリスクが少ない
・キャッシュレス決済に抵抗感を持つ現金主義のの高齢者が多い

等々の理由が挙げられます。

しかし、コロナにより、より多くの人々がユーザーエクスペリエンスが良く、還元率の高いサービスが受けることのできるキャッシュレスソリューションへの需要が高まっています。他国と比べても、まだまだブルーオーシャンの部分が多々あります。

2. マーケットのEC化比率

日本は、EC化率においてもまだまだ伸長することのできる国と言えます。
B2Cにおける2019年の物販系分野のEC化率(B2Cの商取引の中で、ECでの購買が占める割合)は、6.76%(対前年度比0.54ポイント増)となっています。
世界で見た時にどの程度なのでしょうか?
同年の世界EC化率は14.1%、米国は11%、中国は36.6%です。(参照
つまり、世界のEC化率比べてみても半分にも到達していないのです。
GDP世界第3位の日本(5,048,690 百万USD)が、デジタライゼーションにおいては後進国となっているのです。

3. ユニークなマーケット

日本は、大変ユニークなマーケットです。
日本国内にいるとなかなか気付かないのですが、日本は総人口とGDPを見ても経済規模が大きく、そしてインフラやテクノロジーが発展しています。また、海外企業からすると言語カルチャー的な壁が分厚く参入しにくいため、他国と比べ国内の企業は海外の競合と戦わずして国内にある市場で十分に成長できてしまう国です。他国はそうした点で日本とは相違点が多く、他国展開や競合他社への意識等がとても高いです。逆にそうしないとなかなか生き残っていくことが難しい環境です。
その結果、プロダクトマーケットフィットやグロースに対する感覚が研ぎ済まれていきます。
日本は逆に、日本のエコシステムへの適応をきちんとしていくことで事業成長を見込むことができる特徴を持っています。日本市場はよくガラパゴス化していると言われ、日本は独自にテクノロジーが進化していく特殊なマーケットと言われています。
そんな特殊な市場を持つ日本ですが、これまでハードウェアの技術で世界をリードしてきました。しかし、ソフトウェアの進歩によりハードウェアは完全にコモディティ化してきてしまいました。ハードウェアはソフトウェアを動かすために必要な基盤でありますが、差別化がはかりにくく、ユーザーのニーズを満たせるのはソフトウェア側になってきています。
Netscape Navigator 等を開発したソフトウエア開発者、マーク・ローウェル・アンドリーセン が「ソフトウエアが世界を飲み込む( Software is eating the world)」 と発言していますが、実際にその流れは本当に大きく世界を変えてきました。世界Top10の企業が入れ替わり、日本企業の名前はどんどん見えなくなっていきました。
しかし、日本はNFCにおけるFelica高速通信基準の開発等、ソフトウエアを使う基盤としてのハードウェアは世界でも稀に見る成長を遂げている国であり、一度進み出すと他国を凌駕する速度を実現できるポテンシャルを持っています。

4. 資本

日本は、他国と比べても稀に見る「預金」が大変多い国です。
しかし、その巨大な資本を運用するという点ではまだまだ浸透していません。「ローリスク、ローリターン」「ハイリスク、ハイリターン」という原則がありますが、基本的に国民性の故か堅実に貯めていくという傾向があります。株式投資、国債、信託、株式、FX、不動産、REIT、暗号資産、色々な投資商品がある中でも実際にそれを活用している人はまだまだ少ないという現状があります。実際、金融資産残高は、日本はどんどん増幅しています。すでに2000兆円を超えていますが、それ自体を素晴らしい事と捉えるのは間違っています。(参照

米国との比較を見ると実際に知ることができます。
日本は、金融商品を利用して「運用」するという事に関してはあまり長けていません。アメリカでは、S&P500に投資しているだけで年間5~8%のリターンを得ることができる可能性があります。つまり1000万円預けていると年利で80万円増えるわけです。それが10万世帯いることを考えてみてください。どれほど、日本の資本が増えていく可能性があるか。こうした部分にも日本にはまだまだ伸長の余地があります。2000兆円を実際に動かす事で、日本は大きな進化を遂げていく可能性があるのです。Fintechには、そうした運用方法を簡単に提供することのできる可能性を秘めています。
欧米には、Robinhood、Cash (Square)、eToro 等 消費者が簡単に投資運用を行うことができるアプリがたくさん存在しています。
また、暗号資産においてもCeFiモデルを用いて確実に増えていく Blockfi / Celcius等の運用プラットフォームも台頭しています。
情報の不足が与えている影響も大きいと思いますが、最適なユーザーエクスペリエンスを提供しているFintechプラットフォームもまだまだ足りていないというのが現状だとみています。

5. 自分の強い思い

日本という、安定成長しておりハードウェア産業で世界に「Made in Japan」を知らしめてきた日本ですが、前述で取り上げたようにソフトウェアの台頭によりその素晴らしい産業技術は段々と影が薄まってきてしまっています。それは世界からも過小評価され、実際にその価値意識が株式に反映されおり、日本の企業の企業価値は世界で正しく評価されきれていないというのも事実です。
自分としては、素晴らしい技術が存在している日本がソフトウェアで台頭できない大きな理由にインターネットによって消えた「文化」「言語」「国境」の壁を超えてサービスを提供するという点で日本が後進国になってしまっていることにあると思っています。
シリコンバレーのプレイヤーがどんどん東南アジアに資本と技術を持って進出してくる中で、日本のサービスを見ることはほぼありません。(ソフトバンクの巨大投資ぐらいでしょうか...)
私は、起業初期から必ずグローバルカンパニーになるという強い決意を持ち東南アジアの全方位と日本をブリッジすることを皮切りに、さらにサービス地域拡大を進めていきたいとVisionを描いてきました。
日本は技術力で負けているのではありません。多くのハードウェアはApple製品やTeslaに利用されております。
しかしソフトウェアにおいてはまだまだその技術力は知られていません。
そのきっかけを作り、日本がまた世界でソフトウェア、とりわけ私の場合は巨大な資本が動いていくことで世界に大きなインパクトを与えることのできるサービスを提供できると思っています。
私たち、SYNQAはソフトウェア会社でもありますが、分野としてはFintechであり、あらゆる事業にFintechを浸透させていきたいと思っています。

A16Zの他のブログの中に、「なぜすべての企業は FinTech 企業になるのか(Why Every Company Will Be a Fintech Company)」について書かれています。全ての企業がFintech企業になっていくという考えです。実際に、最近ではEmbedded Fintechという分野が注目されており、弊社はまさしく2015年からずっとEmbbeded Fintech事業を行なってきています。
日本においても、弊社がこれから出していくプロダクトはEmbedded Fintechをより簡単に実現するプロダクト群です。またユーザーエクスペリエンスに徹底的にこだわっているのも特徴です。SYNQAは、キャッシュレスネイティブなリープフロッグを遂げた東南アジアで吸収したノウハウを日本でも活かし、新たなプロダクトを本年度末より投入して日本におけるキャッシュレス化を加速していく予定です。(参照)
そして、非常に大きな可能性を秘めている日本の資本をもっと動かしていくことのできる、新たなプロダクトも弊社からリリースしていく予定です。世界TOP10に日本のソフトウェア企業が台頭できることを証明していければと思っています。

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