International Sauvignon Blanc Day

 きょう日本では 5月6日ですね。毎年この日はソヴィニオン ブランの日ということになっています。業界が勝手に定めたものですから、「ワインなんて興味ない」という方にはまったく面白くない話題ですね。では一方、「ワイン大好き!」という方にとっては?それもまた全然面白くないかもしれません。
 というのは、僕の意見は決して主流ではありません。主流というのは日本ソムリエ協会のことですが、それとは一線を画した、多分まったく認められないだろう意見に過ぎないからですが。

 僕思うに、ワインは文学です。という言い方からしてすでに日本ソムリエ協会っぽくない言い方だと思うのですが、そのことを今日、僕は Sauvignon Blancを語ることで示したい、と思います。

 Sauvignon Blancというのはまず白ワインを作るぶどうの品種です。それはソヴィニオン ブランとは違います、ね?ソヴィニオン ブランは意味不明のカタカナが羅列された単語ですが、Sauvignon Blancと言う時、少なくとも Blanc(白という意味のフランス語)はわかる。そして Sauvignonという単語から Sauvageという単語を想起するものです。つまり「野生の」「自然発生の」という意味を含んだ単語です。ここから、白ワインとはもともとこういう風味ですよ、という匂いがしますね。残念ながらそういう香りは「ソヴィニオン ブラン」からは届きません。

 それで、そうなのです、ほとんど手を加えないで作られたソヴィニオン ブランは白ワイン本来の風味、硬質で新鮮、草を刈ったような匂いがする、あるいは野菜っぽい香りの、青リンゴのような、ライムのような、その他いろいろ、そんな言葉で表現されるようなワインなのですが、一方それでは受け入れられなかったという歴史もあって。

 1960年代のアメリカ、Sauvignon  Blancを白ワインの代表として紹介したものの、一般にはなかなか普及しない。それはそうですね、Sauvignonという単語をどのように発音すればいいか、ワインに疎い大方のアメリカ人には不明でした。それでもっと発音しやすい Chardonnay(シャルドネ)、Sauvignon Blandではなくて Chardonnay。シャルドネ品種からはフルーツの香りをたっぷり含んだワインが作られていました。市場はシャルドネに流れた。

 そこで出てくるのがナパ バレーの父と言われるロバート モンダヴィです。彼はソヴィニオン ブラン本来の力を信じた。しかし、市場の動向を見ることも忘れなかった。ロバート モンダヴィはワインメーカー、と言われたりしているようですが、違いますね。彼はまずビジネスマンです。スタンフォード大学の MBA称号を取得したビジネスマン、優秀です。その彼がアイデアを出したのは、市場に合わせるようにオーク(樫)の木から香りを得たソヴィニオン ブランに新たな呼び名を付けること、それが Fume Blanc(フュメ ブラン)です。これが当たりました。モンダヴィのフュメ ブランは市場に受け入れられ、それにつれて他のワイナリーもフュメ ブランを作り、こうしてソヴィニオン ブランが定着していきました。

 という具合に、何気なく飲んでいる白ワイン、あるいは赤ワイン、そこには多くの人が関わっています。そこに想いを致すことで、ワインの味は一層深くなることもある、だから僕はやっぱり「ワインは文学」だと思うのです。

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