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22. パラチからブジオスへ

 これまでは、パラチという村で過ごしてきました。ここは、リオから海岸沿いに、バスで5時間ほど西に走った所にありました。これから同じ道を辿ってリオデジャネイロに戻ります。そして、そのままリオを素通りして、次の地へ向かいましょう。次はブジオスという、これも海岸の町です。リオから、およそ3時間ほどのところ、北東に位置しています。

リオのずっと東にある海辺の町です。この辺りは岬が複雑に入り組んだ土地で、小さな湾があちこちにビーチを広げており、海水浴にもってこいです。多くの湾には、こじんまりとした、ひなびた漁村が散見されます。そしてここブジオスも1960年代までは同様でした。ところが、急にブジオスに人気が出た。それは何故か。

実は、BrigitteブリジッドBardotバルドーが避暑地としてここに別荘を建てたのです。1960年代に世界中の男性を悩殺したフランスの BB、周囲がうるさくて仕方がない、時には静かな場所でゆっくりしたい、というわけで各地に人知れぬ静かな場所を探し、白羽の矢を立てたのが、このブジオスだったわけです。

しかし、世間は面白いですねぇ、このニュースを聞いて、小さな漁村だった村にはワンサカと人が寄ってきて、お金持ちの別荘が海辺に並び、それまでは舟に乗って魚を捕っていた若者たちがレストランやバーを開業し、海岸をぶらぶらしていた娘さんがブティックを始め、というわけで商業は増殖し、ちょっとしたリゾートができあがりました。

小さな港があって、その港を巡る小道に、ベンチに腰掛けたB・Bの銅像がありました。その横に座って記念写真などを撮るように、との配慮なんでしょうかね。ジーンズで T シャツ姿のB・Bは、ほっそりしてて、あんまり本人に似ていなかったけれども、似ていなくても名前が優先しているので、決して誤解されることはありません。観光客は記念写真を撮るのですが、両腿の上が腰掛けやすくて、そこがテラテラ、それから鼻の頭と唇もテラテラと光っていました。

もちろん、もうB・Bはブジオスには来ません。その代わり「Brigitteブリジット」という自称インターナショナルなレストランが繁盛し、物置のような小屋が「Bardotバルドー」という看板を掲げて、村の青年のための一杯飲み屋をほそぼそと開いていました。(下の写真)


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