愛し子よ-Epilog:SN2- サモンナイトU:X〈ユークロス〉 WEB限定短編連載【3】
お待たせ致しました。
『サモンナイトU:X〈ユークロス〉』完結後の後日談短編小説連載、その第三弾を公開させて頂きます。
※このシリーズは本編最終巻後のエピソードとなります。
『サモンナイトU:X〈ユークロス〉ー響界戦争ー』をお読みの上で楽しんで頂けますと幸いです。
それでは物語をお楽しみください。
愛し子よ -Epilog:SN2-
真夜中の森は静かだ。
だからこそ、些細な音でもよく響く。
ましてそれが、怒鳴り声なら尚更だ。
―――ネスのバカっ! もう知らないっ!!
寝ぼけ眼をこすって、マグナはベッドから起き上がる。
すでに目覚めていたアメルはカーディガンを羽織った姿で、隣家で今も続いている夫婦喧嘩に耳をそばだてていた。
はしたない行為ではあれど、とがめるわけにはいかない。
騒ぎは今日に限ったことではなく、日に日に激しくなっているのだから。
「いつからだい?」
「半時くらい前からです。あんなに怒鳴ったのは今が初めてだけど」
おさまるものなら手出しはしたくなかったのだろう。
でなければ隣同士とはいえ、わざわざ別の家で暮らしている意味がない。
ため息をつく彼女の背中に手を置いて、マグナは苦笑いでうながした。
「すぐに行ってあげて」
興奮したトリスを、上手くなだめられるのはアメルしかいない。
「もう一人のほうの面倒は、こっちで俺がみるからさ」
うなずき返すと、アメルは小走りで玄関へと駆けていった。
「さて、と……」
妻とお揃いのカーディガンを羽織ったマグナは、大きく伸びをしてから寝室を出ると、居間のランプに火を灯した。かまどの埋み火をおこし、お湯を沸かし始める。
(玄関口で今か今かと待ち構えてるのも、なんか違うしなあ)
やがて、薬缶の口からかすかに湯気が吹き始めた頃。
すまなさげなノックの音が聞こえてきた。
◆
「面目ない」
目を伏せたまま、そう言って、ネスティは深いため息をついた。
カップから立ちのぼる湯気が、その心境さながらに乱れ散っていく。
このところ、ずっとこんな有り様だ。
聡明で理知的な兄弟子であっても、夫婦生活という未知の領分では無力らしい。
いや、むしろ理知的であろうとすることが足を引っ張っているのか。
これに限ってはちょっぴり先輩であるマグナは、そう感じていた。
「で、心当たりくらいはあるんだろう?」
「―――“子供”についての話だよ」
やっぱりそうか、とマグナは胸の内で呟いた。
妻同士のネットワーク経由で、この件については耳にしていた。
愛する人の子を産み育てたい―――気持ちはよくわかるけれど、それだけで突っ走って進めるのはいいことじゃない―――普通とは違う形で生を受けたこともあり、マグナ自身はそう考えていた。アメルも彼の気持ちを理解し、今は機が熟すのを待ってくれている。
『でも、トリスは……きっと、不安なんだと思うんです―――』
アメルの推察はおそらく正しい。
偽りの父親の下で、使い捨て前提の“道具”として扱われてきた彼女は、愛情に対する飢えと怯えを併せもってしまっている。
惜しみないネスティの献身によって救われ、生涯の伴侶となった今でも。
捨てられるのがこわい。失ってしまうのがこわい。
だから、確たる証が欲しいのだろう。
それを歪みと断ずるのはたやすい。
けれど、トリスの必死な思いをないがしろにするなど、それこそ残酷ではないか。
まだ塞がりきっていない彼女の傷口をえぐるわけにはいかない。
ならば―――今は受け入れたうえで、少しずつ癒やしていくしかないだろう。彼女を深く愛しているネスティならば不可能ではないはずだ。
なのに、彼はそれを拒絶している。
わかっていないはずがないのに。だとすれば―――。
「ちゃんとした理由があるんだろう?」
「………………」
「トリスには面と向かって言えないことなのかもしれないけどさ」
それでも自分には気持ちを伝えてほしい、とマグナは訴えかけた。
「でないと、俺……ネスのことを助けてあげられないから!」
幼い頃からずっと、陰日向に自分のことを守ってくれていた兄弟子。
互いの秘密を知り、気持ちをさらけ出しあって、たくさんの苦難を乗り越えてきた。
そうして辿り着いた今だからこそ、ためらうことなく手を差し伸べられる。
「頼ってくれよネス。頼りないかもしれないけどさ、俺は、君の力になりたいんだ」
「マグナ……」
不覚にも滲んでしまった涙をごまかすように、ネスティはそっと眼鏡の位置を直した。
◆
【融機人】は、生体と機械が入り混じった特異な種族である。
ゆえに【機界】では人工子宮を用いた体外受精で子孫を増やしていたという。妊娠における母体のリスクが極度に高いためだった。
「同族同士ですらそうなんだ。異種間における場合は―――計り知れない」
機械の部分を、母胎が異物として拒絶してしまうかもしれない。
それどころか侵蝕作用を起こせば、母子共に生命の危機に瀕しかねないのだ。
「トリスを失うかもしれない……僕は、それが……こわいんだ……ッ!」
打ち明けられた秘密の重さに、マグナもまた言葉を失った。
ネスティが隠していた理由が痛いほどわかった。
(最愛の人を傷つけたくないからこそ、その思いに応えてあげられないなんて……)
我が身に置き換えて考えただけで、泣きわめきたくなる地獄ではないか。
「そんな顔をしないでくれ、マグナ。君まで苦しめるつもりで話したわけじゃない」
「あ、ゴメン……っ」
「でも、聞いてもらえてよかったよ。不用意に告げるべきではないと再確認できた」
自嘲めかして笑った兄弟子に、マグナは胸が詰まる思いだった。
「でも、それだと二人の間に子供は―――」
方法がないわけじゃないんだよ、とネスティは言った。
「【響融化】によって界の垣根が取り払われた今、少しずつではあるけれど【機界】の科学技術もリィンバウムに受け入れられつつある。人工子宮を使うことができるようになれば、リスクを冒さず、僕たちも子供を授かれるだろうさ」
「そっか……」
ほっとした顔をするマグナと、肩をすくめてみせるネスティ。
でも、それはうわべだけだ。
二人は共に気づいている。それがいつになるかわからないことを。
そして、それを待つ間ずっと―――トリスは悩み苦しみ続けてしまうだろう、と。
わかっていても、どうにもできないことだった。
◆
それから数日後。
「よーう! 元気にイチャイチャしとるかね―――って、ゥボアッ!?」
軽薄なフォルテの挨拶と、それを半ばで黙らせるケイナの裏拳。
あの頃から何も変わっていない、懐かしくて嬉しい訪問者たち。
「フォルテさんっ、ケイナさんっ、お久しぶりです!」
「相も変わらず、落ち着きのない……」
「はははっ、元気そうで何よりだよ」
唐突に訪ねてきた仲間を前にして、マグナたちの表情はほころんでいた。
トリスだけはもじもじと、護衛獣の背中に隠れていたけれど。
「で―――義理のお兄さんとはきっちり話をつけたのかい?」
ネスの指摘に、うげっと舌を出してみせるフォルテ。
「全然っダメ! まるで認めてもらえなくてよ、ず~っと逃げ回ってる有り様だわ」
「ま、私は別にそれでもいいんだけどね」
「婿入りの試練があるだの、当然、【鬼妖界】に来て親神には挨拶してもらうだの、はっきり言ってメンドくさいことばっかでさあ。そーゆーのがイヤだったから、俺は王子の立場を放り出してフラフラしてたってーのになあ」
ちなみに聖王家のほうは、死んでるはずの王子に口は出さぬと、完全放置する構えらしい。こと色恋沙汰では偉そうなことは言えないのだろう。
「ディミニエもしっかりシャムロックを捕まえてるし、別にいいんじゃね?」
「まあ、国の在り方そのものが変わりつつあるからな」
戦争の責任をとる形で帝国が解体され、諸悪の根源だった元老院の歴々と共に旧王国も瓦解し、血統主義を捨てると明言したことで聖王国も絶対性を失った。
今は【誓央連合】なる互助組織を基盤として、昔のように各都市国家がそれぞれ自治を行っている状態だ。一枚岩とまではいかないが、とりあえず世情は安定に向かっている。
「異界とのやりとりも元【派閥】の連中が中心になって対応してる。新しい召喚術についての研究も―――って、そっちはお前らのほうが詳しいか」
「【響命召喚術】のことなら、ここに2体同時に【命約】を結んだ規格外がいるな」
「どっちも【“仮”命約】だって! ハサハもバルレルも【響命石】を預かっているだけで、あいつらが別の誰かと【命約】を結びたくなった時には返すって約束してるし……」
「ハサハちゃんもバルレルくんも、そんなつもりはないと思うけどなあ」
「そうですよ! ちゃんとしてあげなくちゃ可哀想ですよ!」
「う……」
アメルのツッコミとレシィの猛抗議を受けて、たじたじになるマグナ。
そんなレシィは正式にトリスと【命約】を結び、家事手伝いとしての日々を満喫している。レオルドのほうはハサハと共に志願して、多忙極まるミニスたちを手伝うべく、今は外へと出ている。バルレルも久しぶりに【霊界】をぶらつくといって出かけたままであるが、いずれ帰ってくるだろうとほったらかしだ。それくらいの信頼関係は築けている。
それが許されるくらいには、平和な日々が続いているのだ。
「ま、小難しい話は置いとくとしてだ。せっかく顔を出したことだし、ここはひとつ勇者マグナさまに一手ご指南いただきたいと思ってるんだが……どうよ?」
「俺、戦闘訓練のほうはすっかりご無沙汰なんだけど……」
「ならなおのこと、ひと暴れして勘を取り戻したほうがいいって! わはははは!」
すっかりその気なフォルテは、マグナの襟首を掴んで引っ張っていく。
「じゃあ、私たちは女の子同士でおしゃべりしましょっか」
「いいですね! 昨日焼いておいたスイートポテトがあるんですよ」
「わーい!」
おやつに釣られたトリスを連れて、ケイナとアメルはお茶会を始めるらしい。その後ろをひょこひょことレシィがついて行く。
「えっと、僕は……」
「ヒマなら、ルウのとこに顔を出してやれよ。昨日泊めてもらった時、【派閥】から連絡が来てるって言ってたぜ」
ひとり流れから取り残されてしまったネスティに、思い出したようにフォルテはそう告げるのだった。
◆
「ハメられた……」
ルウの住処を訪ねたネスティは、今さらながら、あの二人がこうなるように誘導していたのだと気づいた。
「失礼ねえ。ちゃんと【派閥】から連絡役として来てるのよ、私は」
にんまり笑って彼を出迎えたのは、ミモザ・ジラール。
【蒼の派閥】における年長の先輩であり、今は夫となったギブソンと共に幹部を務める女傑だ。奔放でアクティブな性格なため、ネスティにとってはやりづらい相手だった。
「まだまだ育児で忙しいと聞いていましたが、大丈夫なんですか?」
「ミルクを飲む時期は終わったから今はギブソンに任せてるの。問題ないわ」
「そうですか」
ちらりと視線を横に動かせば、おそらくは場所代だと思われる巨大なケーキをパクついてるルウがいた。恨みがましい視線などものともせず、実に幸せそうだ。
「では早速、伝達事項のほうを―――」
「そっちは書類にまとめてきたから、あとでマグナたちと読めばいいわ」
「でしたら、僕はこれで―――」
「そうやって問題を先送りにしてたら、取り返しのつかないことになっちゃうわよぉ?」
「………………」
無視して立ち去れなかったのは、彼自身、そのことを自覚していたからだ。
「マグナから聞いたんですか?」
それはゲスな勘ぐりね、とミモザは切って捨てた。
「キミが奥さんを泣かせてるってアメルから相談されたのよ。ハサハちゃん経由でね」
人の心を視るハサハの特性ゆえか、彼女の【響命石】に念話の力が備わっていることは彼も知っていた。だがまさか、それをホットラインにしてお膳立てされてしまうとは。
「マグナは完全に無関係よ。だから、私はキミたちのやりとりについては何も知らない」
そう言いながらも、彼女は当たり前のように、二人の間に隠し事があると見抜いている。でなければマグナが、真っ先になんとかしようと奔走しているはずだからだ。
「悪いけど、きっちり全部、話してもらうわよ」
「聞いてしまったら、きっとイヤな気分になりますよ」
上等よ、とミモザは眼鏡に手をやり、不敵な笑みを浮かべてみせる。
「こういう問題に関してはね、オンナのほうがオトコよりもタフなのよ」
◆
「はあ……」
ひとしきり事情を聞き終えたミモザもまた、深いため息をついた。
「尊敬してるだけあってほんっと似てるわよね。君とギブソンって」
「けなしてませんか?」
「呆れてるだけよ」
ムッとした顔のネスティをいなすように、冷めたお茶で喉を湿らせてから、ミモザは言った。
「あいつもそうだったもの。産まれてくる子供のためには計画性が大事とか、ゆとりのない状態ではその子の将来をダメにしてしまうとか、理屈ばかり先に立ててさ」
それは正しい。けれど、根っこの部分をないがしろにしている。
「それを望んでる私の気持ちをちっとも考えてくれてなかった」
「……っ!!」
呟かれたその言葉は威圧的ではないのに、ネスティを強く打ちのめした。
「好きな人との子供だから欲しいのであって、子供が欲しくて好きになったんじゃないの。そりゃあ逆の人もいるかもだけど、少なくとも私はそうじゃない。妊娠してた時は色々と大変だったし、育児しててもイラっとすることなんてしょっちゅうよ。自分で望んだことであろうと、やってられない気持ちになったりもするわ」
でも―――好きだから。
好きな人との子供のためだから、がんばっていられる。
「私が強引に押し通す形で踏み切ったわけだけどさ、無計画すぎるって渋り顔だった旦那も、今ではすっかり愛娘にデレデレよ? 私がのほほんとここに来てるのがその証拠」
無論、慎重な夫の考え方や気配りが日々を支えてくれたことも、彼女は自覚している。
結局はバランスなのだ。
最善を模索するのは大切だが、それではいつまでたっても前に進めない。
果敢に踏み出す勇気も、無謀を諫める冷静さも、どっちも大切であって。
「そうして補いあっていくから、長いこと一緒にいられるんじゃないかな?」
そうかもしれません、とネスティは認めた。
「でも、それは普通の夫婦の話です。僕たちはそうじゃない……彼女の命が危機にさらされると明確にわかっていて、それでもなお強要するなんて真似は僕にはできない!」
「だから、強要じゃないってば! どこまで自分本位なのよ、キミは!」
そもそもスタートラインにすら立ってないじゃない、とミモザは言い切った。
「トリスにちゃんと話しなさいって言ってるの! そのせいで今の関係が壊れてしまうんじゃないかとか先走って怯えてないで踏み出せって、私は、君に、言ってるの!!」
「あ……」
欠落していた部分めがけて、ずどんと叩きつけられた重い言葉。
「そうか……僕は、彼女が傷つかないようにすることばかり考えて……僕自身がすでに傷つき怯えきっていることに、無自覚だったというのか……」
仕方ないよ、と不意に傍観していたルウが口を開いた。
「それだけあの子のことが大切なんでしょ。側で見てればわかるもの」
ストレートすぎる物言いに、ネスティの顔が赤くなる。
「そこはそのままでいいけど、大切なことは二人でちゃんと向かい合って決めなさいって、ミモザは言ってるんだと思うな」
「……解説ありがと、ルウ」
そう結んだミモザの頬も、ちょっぴり赤くなっていた。
そんな様子にはお構いなく、三個目のケーキに手をつけながらルウは続ける。
「“普通じゃない”って言い方、ルウはあんまり好きじゃないな。“呪い”みたいで」
はっとして、ネスティとミモザは伏せていた視線を上げた。
「ずっと森の奥で暮らしてたルウだって、町で暮らしてる人から見れば“普通じゃない”んだろうけど、ルウにとってはそれが普通だったし、そんなに困ってなかったし」
美味しいケーキにありつけないのは困るけど―――と、にかっと笑うルウ。
「人それぞれで当人次第。その程度でいいんだよ。それにね」
“普通じゃない”のは”特別”なことでもあるのだから。
「そのあたりを上手く使っちゃってもいいんじゃないかな?」
◆
「へえ―――そんなことがあったのか」
事の顛末を聞かされて、マグナはようやく腑に落ちた。
知らぬところでいつの間にか問題が解決していたことに、やきもきしていたのだ。
あの夜と同じテーブルを挟んで、男二人だけでの会話である。
「似たようなことで悩んでたんだね、ってトリスには笑われたよ」
吹っ切れたネスティの表情は穏やかで、とても優しい。
「自分も普通に命を授かったわけじゃないから、いつ消えてしまってもおかしくないから、つなぎとめてほしかった。君と一緒に子供を育てていくことで、確かなものをひとつでも多く増やしていきたかったの―――ってね」
引け目があったのもまた、お互いさまだったのだ。
それを知ったからこそ、彼は決断した。
「リスクをゼロにはできない。けれどゼロに近づける努力はできる。僕たちにはハンデがあるのかもしれないけれど、それを自覚し、そのうえで周りに頼れ―――」
「……オギャアッ! オギャアッ、オギャアァッ!!」
理屈はもういいとばかりに、高らかに響き渡る産声。
この瞬間。しっかり父親になったネスティは、椅子を蹴立てて奥の間に駆けていく。
そんな彼を出迎えたのは、ミモザの指示のもとで助産を手伝っていたアメルとルウだ。
「元気な女の子ですよ」
「がんばったトリスのこと、褒めてあげてね」
何度もうなずき、そそくさと家族の待つ部屋の中に入っていくネスティ。
聞こえてくる涙混じりの笑い声。伝わってくる幸せな空気。
勇気を出して踏みこんだ二人が手に入れた、このうえなく大切な授かり物。
◆
「アメルも、ルウも、本当にお疲れさま」
ひと息ついた女性たちを、温かいお茶でねぎらうマグナ。
「無事に産まれてくれて本当によかったよ」
「当然でしょ。なんてったってあのコには、産まれる前から守護天使がついてくれてたんだもの」
「あははは……」
類い稀なる癒やしの力を持ち、豊穣を司る天使アルミネ。
その生まれ変わりである彼女が、親友のためにつきっきりで世話を焼いてきたのだ。
運命のいたずらなんて、これっぽっちも許さないぞという意気込みで。
「その間、マグナのことは、ちょっとほったらかし気味になっちゃってましたけど……」
ごめんねと詫びる妻を、むしろマグナは賞賛する。
彼女がいてくれたからこそ、自分たちはこうして笑顔でいられるのだと。
「ま。そのぶんは、これからイチャイチャしていけばいいんじゃない?」
にひっと笑って、ルウが言う。
「歳の近い友達がいたほうがあのコも楽しいだろうし、赤ちゃんのこと可愛い可愛いって、アメルもすっごくはしゃいでたみたいだし……ね?」
「あ……えっと……うん……」
期待に満ちた眼差しを向けられて。
勇者は、ひどく赤面した。
<Epilog:SN2 END>
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