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EM fly free ~ LLM時代のEngineering Management ~

どうも羽田 aka ジャンボです。

Engineering Manager Advent Calendar 2023の初日を担当させていただきます。レアジョブテクノロジーズというEdTech・英語教育を生業とする上場企業の子会社でCTOをやっております。立場的にはEMも兼務しているどころかPdMや管掌範囲としてはクリエイティブ組織も持っています。Engineering ManagerやCTOとしての自分が、昨今の「大LLM(Large language Models)時代」とどう向き合い何を為すべきかをずっと考えているので書いていこうと思います。
(書いて一晩寝かせてみたんですが、めちゃくちゃ当たり前の話を書いているだけなのですが自戒と振り返りまでに 🤘)

これまでのEMの仕事

今回のお題である、Engineering Managerという仕事。皆さんはどんな役割を持っていますでしょうか、ある会社のJob Descriptionを見てみましょう。

To sum up a Software Development Manager is a hybrid of a solution architect, people manager and a project manager. / 要約すると、ソフトウェア開発マネージャーは、ソリューション アーキテクト、人材マネージャー、プロジェクト マネージャーを組み合わせたものです。

https://www.amazon.jobs/en/teams/aws-sdm

Amazonでの定義を借りると、ソリューションをアーキテクトしながら、人材をマネージメントし、プロジェクトをマネージメントとして事業を推進する必要があると書いています。つまりはスーパーマンであることです。ここには書いてないですが、たぶん空も飛べなきゃダメです。・・・とはいいつつ、これはあくまでAmazonでの解釈であり、実際に設けられる期待値やJob Descriptionは企業や組織、事業のフェーズによって大きく異なります。一応言いますが、僕も空は飛べません。では空を飛ばない僕がEMとしてなんのバリューを発揮するかというと「責任を持って技術(エンジニアリング)と人(エンジニア)で事業を伸ばすこと」だと捉えています。
技術と人には様々な可能性があり、あらゆる課題を解決する可能性があります。まさにこれを利用して顧客課題や事業課題をなんとかする(manage)ことが我々のお仕事だと思います。その手段がソリューションをアーキテクトすることだったり、人材をマネージメントすることだったり、プロジェクトをマネージメントすることだったりします。
全部の領域で100点を叩き出す必要はないですし、空も飛べる必要はないんですがEMの職責を担っている人はこれらに対してある程度の点数を叩き出せたり、それを叩き出すための組織や仕組みを運営できていると思っています。会社にもよりますが、執行役員などの経営陣を除くとEMは部長やリーダーなど現場の実行責任を持つことが多いので、常に状況を見ながらエンジニアリングとエンジニアの両方をマネジメントする必要があります。これはすべてのEMに共通すると思っています。

LLM時代の到来

ChatGPTの登場以降、我々の環境は一変しました。業務は効率化され、エンジニアやコンサルに相談していたことはAIが解決してくれるようになりました。またエンジニア自身もコードをすべて書くことなく、プロダクトを実現するにあたり知っておくべきこと・常に記憶しておくべきことの量は大きく減ったように思います。これまでできなかったことを急にできるようになる人たちが増えました。まさに空を飛ぶためのツールが出たと思っていますAIはこれまでエンジニアリングの関心ごとであり、全てのエンジニアの関心ごとはなかったのですが、ChatGPTによってAIを利用するハードル・コストが一気に下がり、Github Copilotによってコーディングの領域でもこの便利なツールを扱う必要性が高まってきています。そのため、LLMはエンジニアリングとエンジニアの両方をマネジメントする我々にとっては切っても切り離せない関心ごとになってきています。

これからのLLM時代のEM

空飛べるツールことLLMが登場したことに伴い、各EM各位は日々空を飛ぶかのごとくLLMを扱うこと・知ることを求められていると思います。僕も「ChatGPTでなんかやって」という楽しいお題を日々もらいつつ苦悩しています。これまで慣れ親しんだ技術領域の平地で楽しくやっていたのに、急にLLMという翼が降ってきて崖に呼び出されて飛ぶことを強要されていることでしょう。僕らの職責は外部環境の変化により、これからは「責任を持って技術と人(注:LLMを当然のように使って)で事業を伸ばすこと」が求められる時代になりました。
ここにおいての私・私達の取り組みとしては下記のようなものがありました。

まず、一番に飛ぶ

DO it!

めちゃくちゃいい時代です。まだ新しい技術によって様々な領域での正解が定義されていない、これまでレッドオーシャンだった市場すら摩周湖くらいの透明さになるくらいの状況です。正解なんてクソもないので、とりあえず様々なトライをしていきましょう。誰も怒りません。EMとして、どうしても手を動かす時間もないことでしょうが、人はされたことあるマネジメントしか基本はできないことが多いので、とっとと手を動かして背中を見せましょう
僕らも英語教育において様々なトライをしていますが、まだまだ正解を模索しているところです。世に出せてない失敗もあります。ただ踏み出したことで見えてくる課題もめちゃくちゃあります。トライをボトムアップで自然発生することを期待するのではなく、失敗を恐れず、無邪気に楽しく、我々が飛ぶことで後に続く人を作りましょう。EM fly free!(これが言いたかった)

飛べる場所を作る・飛び方を教える

弊社でも高く飛ぶためのトライが増えてきています。

・OpenAI APIのお試し用・検証用のapikeyの発行、取得手順公開
・社内向けのLLM利用ガイドラインの準備・公開
・社員向けのprivate LLMの準備(Amazon Bedrock
・相談用のchannel作成、アイデア募集
・working groupの発足
・管掌組織としてのCTO室の発足
・R&Dの推進、プロジェクト化
・Github copilotの導入
etc…

などを実施しています。必ずしも僕自身が ザ・パーフェクト・マスター・オブ・LLM になる必要はないと思っていて、LLMを活用した新しい価値やトライを生む出しやすくするための仕組みやトライ、支援するための投資ををすべきだという気持ちです。弊社でも下記のWordWizのようなトライや、先月実施した合宿で行われたハッカソンでも各チームからLLMを使ったプロダクトがたくさん生まれました。EMとしてどうしても絶対量自分が手を動かして技術を学ぶのがどうしても難しくなっています。なのでチームやメンバー、プロダクトからこれを学べるようにとにかくみんなに成長してもらうことを目指しています。

バランスをとる

とはいえまだまだ「もう全部LLMでいいじゃん」とはなってくれません(なってほしい)。これまでの業務も当たり前に進むし、要求もきます。LLMも便利だが、万能ではないので、どこで何のために使うかをこれまで以上に向き合う必要があります。人がやるべきこと・AIがやるべきことを再定義しながら、エンジニア・エンジニアリングに対してどこまでLLMを活用できるかを日々考え続けなければいけないなと思っています。
ChatGPTが登場して1年近く経つ中で、似たようなソリューション、OSS、取り組み、チャレンジが多くある中で、今の自分たちの組織やプロダクトに必要なものを選定し、必要なユースケースで導入してリスクヘッジもちゃんとやるのは結構大変なので、自分一人じゃなく社内を巻き込みながらバランスを取りましょう。

まだ難しいと思うこと

EMの役割の中でも対人における評価や1on1のようなピープルマネジメントの領域でのLLM活用は個人的には難しいと思っています。コミュニケーションや成長の課題は本人との対話と機会でしか生まれないので、自分to誰か、誰かto誰かの課題はまだ人間が頑張らなければいけないところだし、ここはまだAIが代替しにくいところです。EMとしてのツラミやメンタルコストの高い部分・・・代替されにくいからこそ、踏ん張る部分であり、陳腐化しにくい価値やスキル領域であるよなと思うようにしています。

最後に

とはいいつつも、LLMも手段の一つですし、使わないという制約を持って自身の力を培うのも一つの手ではありますが、さすがにあんまりにも便利なので個人としてもチームとしても使えたほうが絶対良いです。
私も無邪気にやっていたことでCTO2年目にして今生の夢の一つが叶ってしまったりしたので、何が起きるかわかりません。私の推しは Amazon Bedrock です!

私もまだまだ知らないことや、知りたいこともたくさんありますので、X(旧Twitter)Pittaでのカジュアル雑談レアジョブテクノロジーズでの採用の応募などお待ちしています!また都内であればどこでも酒飲みに行くので誘ってください。対ありでした!

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