「親友、伊織。」
俺は今日一日、ウキウキしていた。シャワーを浴びながら鼻歌は歌うし、テレビを見て大笑いもしていた。20時か、そろそろ、。
ピンポーン。
インターホンが鳴る、俺は足早に玄関に向かい、ドアノブを持って、ゆっくり開けた。
「、、、久しぶり。」
松田優作ばりのレンズの部分が開くサングラスをかけ、タバコを吸い、さらっと長い足で、抜群のルックス。親友のからし蓮根伊織だ。本当にこのまま飾りたいくらい絵になる男だ。大阪から仕事で来ていて、俺の家に寄ってくれたのだ。これがもう俺は楽しみでしょうがなかった。
「久しぶりだね!元気してた?」
「、、、、してたな。」
伊織君はとにかく寡黙だ。多くは語らない、常に寂しそうな目をしているが、俺みたいな男でも思うのだが、その目には本当に色気がある。2人でウイスキーをロックで乾杯した。
「、、トリスか。」
伊織君はトリスに目がない。俺はトリスにカッコいいイメージなんてまるでなかったが、伊織君が好きだと言い出してからは、トリスにカッコいいイメージがついた。トリスも伊織君にCMを頼んだらいいのに。
「今日はなんの仕事だったの?」
「、、、、笑い。」
伊織君はなんの仕事だったか聞いても必ず「笑い」としか答えない。これが俺はたまらなくかっこよく、大好きだ。その後も俺のなんの仕事だったかの質問に対して「笑い」と答える流れを1時間ほど続けた。本当に楽しい時間だ。
「、、、楽しいな。」
「うん!楽しいね!」
「じっちゃんさぁ。」
伊織君は俺のことをじっちゃんと呼ぶ。
「じっちゃんさぁ、恋してるだろ?」
「え!何で!今から言おうと思ったのに、何でわかったの?」
伊織君はニヤッと笑って、トリスを飲み干した。
「、、、顔。」
伊織君は大概のことが顔でわかる。おばたのお兄さんが浮気をしていた時も、顔を見て当てたことがあった。
「、、、藤田ニコル。」
「え!何で?言ってもないのにわかるの?」
「、、、顔。」
伊織君は大概のことが顔でわかる。おばたのお兄さんが浮気をしていた時も、顔を見て当てたことがあった。
「凄いなぁ〜、伊織君は、おばたくんの浮気を顔見ただけで当てたことがあったもんね!」
「あの男の話はやめろ!あんなに人相が悪いやつはいない、今も奥さんを騙し、世間を騙し、金儲けに勤しむ銭ゲバだよ。」
伊織君はおばたくんが嫌いだ。曲がった事が大嫌いで、お笑いを心から愛する伊織君からしたら、常に人道に反したことしかやらないおばたくんを嫌うのは当然のことだろう。
「あの野郎は今もとんでもないことをしている。俺にはわかる、顔を見れば、、あいつは酷すぎる男さ。」
「伊織君、、、」
「あ〜やめだやめだ!あの男の話をすると酒がまずくなる!じっちゃん!、、飲もう。」
俺は伊織君にトリスを注いだ。俺は気になっていることを聞いてみる。
「ねえ、藤田ニコルさんの顔はどう?」
伊織君は大概のことが顔でわかる。おばたのお兄さんが浮気をしていた時も、顔を見て当てたことがあった。俺はドキドキしていた。伊織君は眉間にしわを寄せて、トリスをグビッと一口飲んだ。
「、、、なにか過去に抱えているな。」
やはり天使は過去に何か抱えている。屋敷さんが言った通りだ。でも、まだ聞かない方がいいと屋敷さんに言われていた。
「でも今は聞かない方がいいかもなぁ。」
伊織君もそう言った。でも少しずつ紐解いていきたいと俺は思っていた。
「そうだなぁ、まずお兄さんに軽く聞いて見たらどうだ?」
少しずつ紐解いていきたいと思ったのも顔に出ていたのだろうか、、
「ん?お兄さんって、藤田ニコルさんのお兄さんのこと?そんなん言ったって、会ったこともないしなぁ。」
「会ったこともない??ふははは!」
伊織君が珍しく笑った。確かに天使のお兄さんに会って確信に迫らないまでも少し話を聞いてみたい。ただ会ったことはない!これは紛れも無い事実だ。
「会ったことないよ!おかしなこと言わないでよ!伊織君!」
「じっちゃん、、1番仲のいい先輩は?」
「そんなの知ってるだろ?ラフレクランのきょんさんだよ!」
一期上の17期の先輩であるラフレクランのきょんさんには普段から本当に可愛がって貰っていて、毎日電話する程のソウルメイトでもある。
「、、、会ってるじゃん。」
「は?伊織君!おかしなこと言わな、、あっ!」
きょんさんは芸名で、、本名は、
フジタキョウヘイ。
天使は、、
フジタニコル。
伊織君はにやけた顔で俺に言った。
「、、、点と点が線になった?」
俺は、、点と点が線になった。
続く。
これはフィクションです。
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