キャベツはどうした?
わたしは、特別養護老人ホームの厨房で調理師として働いている。
もう18年この業界に携わっている。今までに病院から老健から特養、一時期は保育園の厨房にもいた。
プロ野球選手で言えばもう引退してもおかしくない年頃に来ている。
実際ここ数年、毎年のように同年代の選手が引退していく。だからと言ってわたしが引退するのはまだまだ20年くらい先なので、この業界では中堅もいいところ。文字通り中間管理職で、上からも下からも日々何かしら言われ、辛い立場である。加えてお客さんとのやり取りもあるから、ストレスは溜まる一方である。
そんなわたしの今日の賄い食は、コロッケだった。
コロッケで思い出すのはいつも、わたしにとってはキテレツ大百科だ。子供の頃に必死になって見ていたアニメのひとつだ。先述した宗教的理由により、親に見ていいと許可されているアニメが限られていたため、それはそれは毎週テレビに噛りつくように見ていたものだ。
ちなみに、許されていたアニメは他に、サザエさん、ちびまる子ちゃん、アンパンマン、ドラえもん、マンガ日本昔ばなしくらいなもので、ガンダムやドラゴンボールなどの戦いもののアニメは一切許されていなかった。なのにわたしはドラゴンボールが大好きで、どうにか隠れて見られないか、毎週画策していた。
それでもよくカードダスや、キャラクターグッズなんかを隠れて持っているのが親にバレようものなら、容赦なくお尻を固いベルトで何発も叩かれたのだ。
話は戻してキテレツ大百科だが、何と言っても思い出すのがオープニングテーマの「お料理行進曲」だ。
コロちゃんが大好きなコロッケを作っていく行程を歌にしたもので、あれは未だに名曲だと思っている。
最後の歌詞で、オペラ風な男声で「キャベツはどうした?」で確か終わってたはずなんだけど、当時のわたしは、コロッケ自体にキャベツが入るものなんだと真剣に思っていた。
大人になってよく考えたら、あれは付け合わせの事だったんだと分かった。
今でこそキャベツ入りメンチやらキャベツ入りコロッケもあるのかもしれないけど、当時はなんでうちのコロッケにはキャベツが入っていないんだろう?と不思議に思っていたのを今日賄いを食べながら思い出していた。
コロッケと言えば、わたしはいつも前日に豚のしょうが焼きを作る。豚のしょうが焼きの残りとほくほくのじゃが芋と合わせて作るコロッケは我ながら絶品だと思っている。
良かったらぜひお試しあれ。
ちなみにヘッダーの写真は、本日の賄い食で、たまたま厨房が洗浄機が使えなかったために使い捨て食器で提供されてきたのだ。
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