FocusGold(平面ベクトル編)例題ポイント解説

私は、受験数学に強くなる方法を、格闘技が強くなる方法になぞらえると良いと考えています。格闘技が強くなり、実際に相手を倒すためには、以下のポイントが重要といえます。

① 試合のルールを覚える
② 技を習得する
③ 試合の運び方を学ぶ(相手の分析方法、攻め方、技を効果的に使うタイミングなど)

これら3つの基礎力について日頃からコツコツと勉強し、練習を繰り返すことで揺るぎない基盤を作り上げます。あとは、練習試合などを通じて、

④ ①~③で学んだことを試合で実行できるようにする

ということが大事です。これを数学に置き換えてみると、

① 数学用語・記号の意味を覚える
② 公式、定理を理解し、計算テクニック・典型問題の解法・その他定石を習得する
③ 問題の分析方法、問題に対する立ち向かい方・方針の決め方などを学ぶ

これら 3 つを日頃からコツコツと学び、使いこなせるように練習することが基礎力となり、揺るぎない数学力の基盤を作り上げます。あとは、模試などを活用して

④ ①~③を入試問題で実行できるようにする

ということです。

FocusGoldはどういう位置付けの参考書か?

FocusGoldは「試合のルールブック 兼 基本の技集」という位置付けになります。受験に必要な”技”が網羅されているという意味で、「網羅系参考書」とよばれることもありますね。

ただ、気を付けなければいけない点は、FocusGoldは、試合のルールは羅列されているだけの”ルールブック”でしかなく、技もある程度のポイント解説しかない”技集”でしかないところです。

ルールをどう解釈するか?技をどう使えば効果的か?という点、つまり”解説”が充実しているとはそれほどいえません。

もちろん、解説の充実と網羅性は両立されるべきではありませんから、FocusGoldを批判する意図は全くありません。網羅的に、コンパクトにルールと技がまとまっていることがFocusGoldのひとつの良い点なのです。解説の部分は、適宜、別の参考書を参照したら良いのです。

前置きが長くなってしまいましたが、格闘技では、見様見真似のなんとなくで技を習得するよりも、しっかりと経験者の指導を受けながら、重要なポイントを抑えながら習得する方が良いに決まっています。この記事では、FocusGold(ベクトル編)に掲載されている例題について、ポイントを簡単に解説してきます。

FocusGoldⅡ+B 4th Edition(ベクトル)ポイント解説

【例題326】ベクトルの作図と演算
有向線分とベクトルの違いをわかっていますか?また、ベクトルの加法、減法、実数倍、逆ベクトルの定義を抑えよう。

【例題327】ベクトルの和
1次独立な2つのベクトルの線形結合で、任意のベクトルを表せることを抑えよう。正六角形で、様々なベクトルを表す練習をしよう。

【例題328】ベクトルの和
327と似ていますが、ベクトルの基本変形2つをしっかり抑えよう。基本変形と内分・外分の公式を覚えよう。平行四辺形の任意のベクトルを機械的に計算できるようになります。

【例題329】ベクトルの成分と大きさ
成分表示されたベクトルの加法、減法、実数倍、大きさの求め方を確認しよう。また、単位ベクトルの定義を抑えよう。

【例題330】ベクトルの成分と大きさ
2次関数がわかっていれば大したことないでしょう。ただし、tの値を変化させたとき、ベクトルpの軌跡がどのようになっているか確認しよう。

【例題331】ベクトルの成分と分解
1次独立な2つのベクトルの線形結合で表されたベクトルは、ただひとつに決まるという感覚があれば、係数比較できることは問題ないでしょう。

【例題332】ベクトルの平行条件
3点OABに対して、ベクトルOA, ベクトルOBが平行になる条件は、「三角形OAB面積が0である」と考えるのも良いです。

【例題333】平行四辺形とベクトル
平行な辺が2組あるとき、平行四辺形ですから、定義を抑えていれば解けます。

【例題334】ベクトルの内積
内積の図形的意味も抑えよう。図形的な意味を抑えていれば、瞬殺です。

【例題335】内積の計算法則
展開公式のようなものがベクトルにも使えるなんて面白いな~という感覚がありますか?決して、これは当たり前のことではなく、ベクトルの定義がうまいこと決められているからです。

【例題336】2つのベクトルのなす角
ベクトルの大きさの2乗から計算をはじめる、というテクニックは初見では思いつきませんね。でも、常套手段なので、使いこなせるようになりましょう。

【例題337】ベクトルの垂直条件
垂直条件は有名すぎるので、サッとできる人も多いんじゃないでしょうか。

【例題338】ベクトルの不等式の証明
(32)を見たら、「三角不等式だ」と思えましたか?有名不等式なので、覚えておきましょう。証明の仕方も含めて、暗記するべきです。

【例題339】内積とベクトルの大きさ
またベクトルの大きさの2乗から始める問題ですね。そこから内積だけ取り出すという流れは常套手段なので、使いこなせるようにしましょう。

【例題340】内積とベクトルの大きさ
(1)ベクトルの大きさの2乗から作った式は、余弦定理そのものであるということには気づいていますか?そのことを利用して、内積を求める問題です。
(2)共線条件(3点が同一直線上にある条件)は、3つかけますか?それがわかっていれば、瞬殺。
(3)2次関数の問題です。

【例題341】内積とベクトルの大きさ ★
与えられた条件をどう使うかがポイントです。置き換えない方法でも解けますが、ベクトルをうまく置き換えることで問題を解きやすくなるので、解法テクニックのひとつとして覚えておきましょう。

【例題342】内積とベクトルの大きさ
2x+3yを(2, 3)・(x, y)という内積とみるというテクニックです。受験数学で重要な解法のテクニックのひとつです。

【例題343】内積とベクトルの大きさ ★
これもpu+qvを内積とみるというテクニックですね。内積とみることで、図形的に最大値・最小値が求められます。

【例題344】内積と三角形の面積
面積公式の証明です。これはいつでもできるように。

【例題345】三角形の形状
定石「条件が与えられたら、一文字消去」
定石「三角形の形状決定は辺の長さに持ち込む」
がわかっていれば、定石に従って計算するだけです。

【例題346】分点と重心の位置ベクトル
位置ベクトルとは、ある基準点からどのように移動した場所であるかをベクトル a, b, c を用いて表すという概念です。分点と重心の公式を抑えておきましょう。

【例題347】点Pの位置ベクトル
加重重心がテーマの問題です。点Pが三角形の外部にある場合です。

【例題348】点Pの位置ベクトル
加重重心がテーマの問題です。点Pが三角形の内部にある場合です。面積比率は公式として覚えておきましょう。

【例題349】ベクトルと軌跡
無理してやらなくても良い問題な気が・・・

【例題350】交点の位置ベクトル
有名問題です。
・内分点の公式をふたつ作り、係数比較
・内分点の公式、共線条件を使う
・チェバの定理、メネラウスの定理を使う
・面積比を使う
・斜行座標を使う
などの方法が考えられます。いろいろな解法で解けるようにしておきましょう。

【例題351】交点の位置ベクトル
上と同じです。

【例題352】交点の位置ベクトル
上と同じです。数学Aの図形の知識との融合。

【例題353】角の二等分線のベクトル
数学Aの図形の知識との融合分点の公式と垂直条件を立式して位置ベクトルを求める問題。問題文で与えられた条件を素直に立式しよう。二等分線といえば、単位ベクトルを使う方法もありますね。

【例題354】内心の位置ベクトル
数学Aの図形の知識との融合問題。重心、内心、外心、垂心、傍心を五心という。それぞれ、位置ベクトルを求められるようにしておこう。

五心の位置ベクトルとオイラー線に関する話は一般論としてまとめ、体系的に抑えておこう。関連動画も付けておきます。↓↓↓


【例題355】外心の位置ベクトル
数学Aの図形の知識との融合問題。重心、内心、外心、垂心、傍心を五心という。それぞれ、位置ベクトルを求められるようにしておこう。

【例題356】垂心の位置ベクトル
数学Aの図形の知識との融合問題。重心、内心、外心、垂心、傍心を五心という。それぞれ、位置ベクトルを求められるようにしておこう。

【例題357】オイラー線
数学Aの図形の知識との融合問題。重心、内心、外心、垂心、傍心を五心という。それぞれ、位置ベクトルを求められるようにしておこう。外心、垂心、重心は一直線に並ぶことが知られています。その直線をオイラー線といいます。

【例題358】対称な点の位置ベクトル
ここから、図形と方程式色が強くなる。正射影ベクトルを使いこなせるとスムーズに解けますね。

【例題359】直線と円の方程式
図形と方程式ですね。

【例題360】直線のベクトル方程式
図形と方程式ですね。

【例題361】直線のベクトル方程式
ベクトル方程式って名前がなんだかな・・・法線ベクトルの定義を抑えましょう。(2)は正射影ベクトルを使おう。

【例題362】2直線のなす角
図形と方程式ですね。法線ベクトルのなす角を考えるのは常套手段。

【例題363】円のベクトル方程式
図形と方程式ですね。円を表すベクトルとして、2つの形を覚えておこう。

【例題364】円のベクトル方程式
図形と方程式ですね。円を表すベクトルとして、2つの形を覚えておこう。

【例題365】円の接線、線分の垂直二等分線のベクトル
図形と方程式ですね。単位ベクトルを使って二等分線が表せるのと、正射影ベクトルをうまく使おう。

【例題366,7,8】条件を満たす点の動く範囲
斜行座標を使えばサッと解けますね。


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