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渋谷幕張中学入試の作戦会議

はじめに

この記事では、渋谷教育学園幕張中学校(渋幕)の入試を考えているご家庭に向け、入試・問題の分析と対策案についてご紹介します。

渋幕は対策がしづらいとか、偏差値があてにならず合否が読みづらいとか言われることが多いようですが、これは単に塾が向いている方向性(主に御三家)とズレているからそう言われているだけだと思っています。分析していけば傾向はハッキリあるし、渋幕にフォーカスして対策していけば、他の人が手薄ならば逆転の余地は十分にあると思います。

なお、このシリーズ全般に共通する内容として、どういう背景で情報提供しているのか、対象と想定しているのはどういう方かについて以下のページに記載していますので、最初にぜひご一読ください。

【更新履歴】
・2022年12月9日 公開
・2023年8月2日 2023年の入試結果・内容を反映した記事に更新
・2023年11月15日 入試分析中心の記事にリニューアル


入試の分析

ではここから本題に入っていきます。まずは入試結果データを元に、渋幕の入試自体の分析をします。

難易度はまだ上昇している

もう何年も前から共学最難関とされ、1月の一次入試では最上位層がこぞって受験すると言われる渋幕ですが、よく見るとまだ難易度は上昇しているようです。

まずは分かりやすいところで偏差値の推移を見てみると次の通りです。

データ元:各塾の入試結果80%偏差値表
(サピックスのみ翌年度の第1回志望校判定サピックスオープンによる予想偏差値)

パッと見、もう最高値で張り付いてるじゃんと感じますが、サピックス偏差値を見るとここ数年でもまだ上昇しているのが分かります。四谷大塚や日能研だと母集団の学力差が大きいため最上位の動きは出づらいので、ここではサピックスが一番実態を反映していると思われます。サピックスの巨大化によって上位校の偏差値が全体的に上がっている可能性もありますが、二次入試と比べて見ても、少なくとも一次入試はまだ上昇していると見た方がよいと思います。

続いて出願者・受験者・合格者の数と実質倍率を見てみます。

一次試験の受験者数は概ね2000人、合格者数は700人前後で、実質倍率は3倍弱となっています。2020年は合格者数が100人以上絞られ渋幕ショックと呼ばれた年で、実質倍率も3倍を超えて大きく跳ねましたが、翌年はその反動+コロナ禍で受験者数が大きく減少し、倍率も近年では最も下げて入りやすくなりました。その2年がやや例外的で、その後の2022年以降は元の水準に戻った感じです。

同レベル帯の他校を見てみると、開成2.8倍、麻布2.4倍、桜蔭2.1倍、女子学院2.3倍(共に2023年入試)という感じなので、それらと比べて倍率は高めです。千葉入試で比べると、市川①2.5倍、東邦大東邦(前)2.2倍よりもだいぶ高く、受験者数に対し合格者数が少ないということになります。何より、最上位層を集めた上での3倍という倍率は、見た目以上に厳しい入試だと思った方がいいでしょう。

二次試験は倍率がエグいです。おそらく一次試験の入学手続きの歩留まりによって合格者数を調整していると思われますが、ほとんど定員と同程度の人数しか合格を出していません。そのため倍率は10倍近くになっているので、狙える入試ではないというか、おそらく体調など何らかの理由で一次試験に失敗した人のリベンジチャンスと捉えるべき入試でしょう。

ちなみに一次試験の合格者数が700名前後とそこそこの数を出していますが、前受け校でもあると考えるとだいぶ少ないと感じます。人気の上昇によって合格者の歩留まりが上がっているんだろうということで、調べてみました。

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