本郷中学入試の作戦会議
はじめに
この記事では、本郷中学校の入試を考えているご家庭に向け、入試・問題の分析と対策案についてご紹介します。本郷は最難関クラスからの併願校とされることも多く、塾の志望校対策もあまりありませんが、近年は2月2日の第2回を中心に第1回も人気化(=難化)しているので、対策のし甲斐はあると思っています。
このシリーズ全般に共通する内容として、どういう背景で情報提供しているのか、対象と想定しているのはどういう方かについて以下のページに記載していますので、最初にぜひご一読ください。
入試の分析
ではここから本題に入っていきます。まずは入試結果データを元に、本郷の入試自体の分析をします。
まず前提として、次のタイミングで入試変更があったことはおさえておきます。
2014年:日程変更・2月1日午前入試を開始
第1回 2月2日→2月1日
第2回 2月3日→2月2日
第3回 2月5日(変わらず)2020年:高校入試の廃止による中学入試の定員増
第1回 80名→100名
第2回 120名→140名
第3回 40名(変わらず)
全ての回で偏差値は上昇中
まずは各塾の偏差値表から見ていきます。入試変更点も踏まえながら偏差値の推移を見てみます。
第1回入試は2014年にスタートしたあと、基本的に右肩上がり(この図だと左肩ですが)で推移してきているのがわかります(サピックスは2018年以前のデータがありませんが、49よりは低かったと思われます)。特に直近の3年が大きく上がってきています。
第2回入試も、2月1日入試に参入した2014年に大きく落ち込んでいますが、そこからは基本右肩(左肩)上がりになっています。2023年は全ての塾で上がっているので、はっきり難易度は上がったのだと思います。
ちなみに2011〜2014年にかけて下がっていた背景に何があったのかはよくわかりません。
第3回は日程も定員も変更のない回です。ここでも2012〜2014年あたりで一旦下降し、その後は上昇しています。まあそうは言っても、合格者が40〜50名しか出ない入試回なので80%判定の精度は疑わしく、偏差値は参考程度にして他の指標を見ていった方がいいと思います。
ちなみにこの偏差値の動きと大学合格実績との相関が面白いので見てみました。
見ての通り、偏差値が落ち込んでいた時期と合格実績がちょうどリンクしているように見えます。偏差値が大きく上昇したのは2015年で、このとき入学した生徒が卒業した2021年に大きく合格実績も伸びています。高校受験組もいるので完全に一致とは言えないと思いますが、興味深い動きだと思います。
さらに2024年卒業組からは高校入試がなくなり、中学入学組のみとなりました。東大合格者数だけで見ると14→13人(現役は11→10人)と微減となったのであまり注目されていませんが、卒業生の数が314→241人と大きく減少したことと、上のグラフを見れば全体の合格実績は結構伸びているというのがわかると思います。
また、この後の偏差値上昇(2024年はY60・S58)を考えれば、進学実績がさらに上向いてくる可能性も十分考えられるので、さらに人気が上がっても不思議はないと思います。
第1回が比較的高倍率
続いて出願者・受験者・合格者の数と実質倍率を見てみます。
第1回入試は2020年に定員が80→100名に変更になり、それに伴って合格者数も140名前後から170名前後へと増えています。ただそれ以上に受験者数が増えているので、実質倍率は2倍台後半に高止まりしてます。2023年はさらに上、3.5倍近い高倍率になりましたが、さすがに2024年は落ち着いた模様です。
第2回入試は併願日程ということもあり、合格者をたくさん出すので倍率もそこまで高くないです。ただ、2024年は前年の高倍率をそのまま維持していて、2023年に続き厳しい入試になったように見えます。
第3回入試は入学者数調整の面もあると思うので倍率はあてにしない方がいいと思いますが、ここ3年ではほとんど定員の数しか合格者が出ていないので、かなり狭き門だと言えるでしょう。
ちなみに合格者が実際に入学する割合を歩留まりとして出してみると次の通りです。
1回入試の学校だと8割、2回入試だと6割というのが大体の相場感で、4割というのは3回以上の巣鴨や世田谷学園あたりと同程度の数字です。併願としての受験も多く、合格者数が多く出るということでもあるので、志望度が高いのなら必要以上に恐れることなく、しっかり対策を練って向かっていきたいところです。
入試問題の分析
ここから実際の入試問題を見ながらの分析に入っていきますが、その前に、平均点などの数字を分析してみます。
平均点から難易度を見る
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