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渋谷渋谷中学入試の作戦会議

はじめに

この記事では、渋谷教育学園渋谷中学校(渋渋)の入試を考えているご家庭に向け、入試・問題の分析と対策案についてご紹介します。同系列の渋谷教育学園幕張(渋幕)は1月入試ということで併願する人も多いと思いますが、入試問題の違いは意外に大きいと感じるので、渋幕入試の経験と記事作成時の分析から、渋幕の入試問題とも比較しながら見ていきたいと思います。

なお、このシリーズ全般に共通する内容として、どういう背景で情報提供しているのか、対象と想定しているのはどういう方かについて以下のページに記載していますので、最初にぜひご一読ください。

【更新履歴】
・2023年11月15日 公開


入試の分析

ではここから本題に入っていきます。まずは入試結果データを元に、渋渋の入試自体の分析をします。

難易度は年々上がっている

ここでわざわざ触れなくてもご存じだとは思いますが、渋渋は2000年代から徐々に人気が上がり始め、2010年代には女子は難関校の一角になり、男子はやや出遅れていたものの共学人気に乗り(乗ったというよりむしろ作り出してきた側だと思いますが)、ここ数年で共に最難関の一校として定着してきた感があります。

まずは偏差値の推移を見てみます。

データ元:各塾の入試結果偏差値表
(サピックスのみ翌年度の第1回志望校判定サピックスオープンによる予想偏差値)

第1回入試については、10年前はまだ二番手・三番手校といった位置付けでした。そこからほぼ一直線に上昇し、男女とももはや最難関の一角と言える位置まで上昇してきたのがわかります。

データ元:各塾の入試結果偏差値表
(サピックスのみ翌年度の第1回志望校判定サピックスオープンによる予想偏差値)

2月2日の第2回入試は、SAPIX偏差値で60あるなど以前から高めではありましたが、それでもじわじわと上昇して、完全に最難関校としての位置を確定させた感があります。

データ元:各塾の入試結果偏差値表
(サピックスのみ翌年度の第1回志望校判定サピックスオープンによる予想偏差値)

第3回入試は2月5日で定員も少ないので、あまり分析しても仕方ない回だと思いますが、まあ大体第2回と同じような動きだと言っていいでしょう。

全体を見て言えることは、ここ10年で男女ともに第1回が急速に難化し、今は回による偏差値の差はほとんどなくなってきているということかと思います。

続いて出願者・受験者・合格者の数と実質倍率を見てみます。

倍率は2020年に全ての回で一度落ち込んでいますが、その後は再び上昇を始めていて、2023年は受験者数・実質倍率ともに最高値を更新する勢いが見られます。特に2月2日の第2回入試の伸びが顕著で、近年で最大だったと思われる2022年の受験者数を2023年はあっさり抜いています。しかも合格者数は減少しているので、実質倍率は3.56倍と非常に厳しい入試になったと言えると思います。

女子の合格ハードルは高い

渋渋の入試については、男女の違いがあることは意識したいです。ただ募集要項を確認すると、募集人員は「第1学年(男‧女)計70名」という書き方をしているので、決して男女別定員というわけではありません。また、Q&Aにもこう記載があります。

Q 合格者の男女比率を考慮していますか?

A 基本的には成績順で男女比を考えずに合格者を決定します。
 ただし、合格者の男女比バランスが7対3、8対2などの場合、男女の合否ラインに差をつけることもあります。

渋谷教育学園渋谷中学高等学校 よくいただくご質問

しかし、入試結果を見る限り、どの入試回でも男女で合格最低点が異なっているのが実際です。直近7年の合格最低点を男女別で出してみたのが以下の表です。

2019年の第3回入試だけが例外的ですが、それ以外の全ての回で女子の方が合格最低点が高くなっています。第1回入試では常に女子の方が10点以上高い得点を必要としており、第2回入試も直近数年は2桁の差が開いている状態です。
第3回入試は年による差が激しい感じがありますが、これは入試を行う学校の少ない2月5日という日程であるため、他校も含めた入試結果により受験者層にブレが出ている影響なのではないかと推察できます。

出願者・受験者・合格者の数と実質倍率についても、各回ごと男女別に見てみます。まずは第1回から。

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