見出し画像

【2024入試】埼玉入試の出願・結果速報

埼玉を皮切りに首都圏の中学入試が本格スタートしました。

2024年の埼玉入試のトピックは何といっても開智グループですね。開智所沢中等教育学校の新規開校と、その開智所沢が開智入試を使って合格判定するということで、開智中学の出願者が激増しています。そしてその影響なのかはわかりませんが、埼玉入試全体が活況になっている印象があります。

ということで、埼玉上位の3校(栄東・開智・大宮開成)を中心に2024年の埼玉入試を見てみます。

まだ入試期間の真っ最中でもあり、結果発表後にこちらのデータも更新します。淑徳与野の動きも気になるので、ある程度出揃ったところで考察も追加します。


埼玉初日入試の出願者数


埼玉の解禁日となる1月10日(午前)は、1000人以上を集める大規模入試が以下の4校で実施されます。

データ出典:各模試の2023年入試偏差値表

ここでは、偏差値的にやや差のある埼玉栄を除く上位3校について集計します。

埼玉3校の出願者数

まず、栄東・開智・大宮開成の3校の出願者数を積み上げて見てみます。

データ出典:各校のWebサイト

2024年は、3校合計で1万人を超える規模となっています。2020年も近しい数字に見えますが、このときは栄東A日程が1日で実施されていたので、その分が大きく異なります。

実受験生数ではなくあくまで出願者数ではありますが、受験生の歩留まりはどの学校も95〜98%とかなので、それを踏まえれば、この3校だけでも1万人近くが実際に受験しているということになります。これだけの受験生が大宮近辺に集結していると考えるだけでも凄いことだなと思いますね。

今回の埼玉入試については、開智の伸びによって押し上げられたという分析はされると思いますが、それが開智(と開智所沢)だけに留まらず、栄東・大宮開成にも波及して3校全体の数字が大きく伸びているというのは考察しがいのある動きだと思います。

結局、開智所沢の開校によって開智が他校から受験生を奪ってきたというよりも、埼玉受験に目を向けさせる効果の方が大きかったということになるのではと思われます。

個別の学校についても見てみます。

栄東 A日程

栄東については別記事で詳細化しているので、グラフだけ再掲します。

出典:栄東中学・高等学校、過去データは進学情報誌さぴあより

ここ3年で急増しているのが見て取れます。詳しい考察はこちらへ↓

開智 第1回

開智は、2024年から先端1が第1回へと名称変更になりました。さいたまスーパーアリーナも会場になっている大規模入試です。結果も含めて表示します。

出典:開智中学・高等学校、過去データは進学情報誌さぴあより
2023年以前は先端1入試

冒頭で触れた通り、この開智の入試が爆増しています。昨年もやや増加していましたが、それよりさらに1.5倍増という激しい増え方になっています。

これは開智所沢の開校に伴い、開智と開智所沢を合同入試にしたことが最大の要因です。出願時に「開智中学校のみ判定」「開智所沢のみ判定」「両方判定」を選択し、1回の受験で両校の判定ができるという仕組みになっています。開智所沢単独での入試はないので、2校分が合体した入試ということで志願者が増えるのは当たり前と言えば当たり前ですが、元々規模の大きい開智ということで影響も大きいと考えられます。

結果を見ると、受験者増に伴って合格者も増えているので、実質倍率は前年と変わらずということになりました。後ほどこの辺りは考察したいです。

ちなみに開智と開智所沢でそれぞれデータが出ているので表にしてみます。

出典:開智中学・高等学校、開智所沢中等教育学校
開智は「開智中学校のみ判定」「両方判定」を選択された人数
開智所沢は「開智所沢のみ判定」「両方判定」を選択された人数

両校の合否判定をするのか、片方だけの合否判定にするのかを出願時に選択するようですが、特に追加コストがかかるわけでもなく絞るメリットもないので、両方判定を選んでいる人が多いのではないかと想像できます。

結果を見て特徴的なのは合格者の数ですね。母集団がほぼ同じとすると、合格者数が多い分だけ開智所沢の方が合格しやすかったということになるでしょう。この辺りが難易度(偏差値)の差として出てくるんだと思います。

大宮開成 第1回

大宮駅徒歩圏内の大宮開成でも、1月10日に第1回入試が行われています。こちらは以下の通りです。

出典:大宮開成中学・高等学校、過去データは進学情報誌さぴあより
*特待T合格の人数も含みます

大宮開成は2022年から大きく人気化して2000人を超える規模となりましたが、2024年はさらに200人ほど上積みされました。2000人規模の入試というのはほぼ定着したように見えます。

結果を見ると、受験者増の割に合格者数は増えなかったことから、実質倍率はやや上昇しています。

これ以外の学校

ということでこの3校だけでもざっと1万人規模の入試になったわけですが、この他の学校でも同日に入試を行なっているところはあります。

ということで上の3校以外について、とりあえず出願者数の増減だけ見ておきます。

データ出典:市進中学受験情報ナビ

増加は青学浦和ルーテルと埼玉栄、それ以外は減少だったようです。これを見ると、受験生を奪われたかたちに見える学校も多そうですが、規模の大きい埼玉栄でも増加しているということなので、埼玉全体として大きく増やした印象の方が大きいです。

なお、これらの学校も合わせ、埼玉の1月10日入試全体で集計するとこんな感じです。

データ出典:市進中学受験情報ナビ

全体で1500名程度の増加、前年比110%ということでした。中学受験生は昨年並みと予想されているので、そこからすれば埼玉入試の活況ぶりが伺えます。これまでよりも、お試し受験を超えて現実的な進学先として合格を確保しておきたい、という流れになってきているのかもしれません。

10〜12日の出願者数

1月11日〜12日にかけて、栄東・開智・大宮開成の3校はそれぞれ特待入試が行われます。10日からの日程はこんな感じです。

それぞれ出願数をグラフ化すると次の通りです。

データ出典:各校のWebサイト

3日間トータルでの出願者数を、過去数年分の推移で見ると次の通りです。

データ出典:各校のWebサイト

こうして見ると、栄東の規模の大きさがわかりますね。そして3校ともに規模を拡大していることもわかります。

特待入試

それぞれの特待入試についてもざっくり見てみます。なお栄東と開智には算数1科目入試もありますが、人数が少ないのもありここでは割愛します。

データ出典:各模試の2023年入試偏差値表

栄東 東大特待Ⅰ(1月12日)

栄東については別記事で詳細化しているので、グラフだけ再掲します。

データ出典:栄東中学・高等学校、過去データは進学情報誌さぴあより
*2022年の3年特待合格者には6年特待合格者も含みます

基本的に実質倍率2倍前後で推移してきていますが、2024年は受験者がやや減少し、2倍を切る倍率となりました。他の入試の活況と比べると、ここは比較的落ち着いた入試になったという印象です。
↓こちらで詳しく見ているので合わせてどうぞ。

開智 特待A/特待B

開智は、
・1月11日の特待A(合格者全員がS特待認定)
・1月12日の特待B
(合格者の半数がS特待・A特待・準特待認定)
・1月12日の算数特待
(合格者全員がS特待・A特待・準特待認定)
の3つの試験があります。

まずは特待A入試(1月11日)です。合格者全員がS特待認定ということで、名実ともに特待入試と言えるものです。

データ出典:開智中学・高等学校、過去データは進学情報誌さぴあより
2023年以前は先端特待入試

このところずっと減少を続けていましたが、2024年は2倍以上に増加する勢いです。開智所沢との合同判定は全ての入試回で行われるので、ここでもその影響を感じます。これは特待入試で見たとき、栄東とも大宮開成とも日程が被っておらず、併願日程が組みやすいというのも大きいと思われます。

結果を見ると昨年比では大幅上昇となりましたが、減少を続けていた中なので、大体2020年と同程度に戻したイメージの人数となりました。ただし、合格者はやや絞られたので、実質倍率は3.39倍と、近年では最も高倍率になりました。

次に特待B入試(1月12日)です。こちらは約半分が特待認定ということなので、実質的には一般入試と捉えた方がいいかと思います。ちなみに2023年まで先端Aと呼ばれていたものです。

データ出典:開智中学・高等学校、過去データは進学情報誌さぴあより
2023年以前は先端A入試
*各特待判定の人数は、より上位の特待分も含んだ人数です。

ここも開智所沢の影響が大きいと見え、志願者・受験者ともに大幅増になっています。ただ結果を見ると合格者も大きく増やしたので、実質倍率は1.61倍とここ数年では最も低くなりました。

受験者の学力帯がどうだったのかは偏差値の推移を見てみないと何とも言えませんが、S特待やA特待が大きく増えているところを見ると、それなりに上位層も増えたのではないのかなと予想できます。

大宮開成 特待生選抜

大宮開成は1月12日に特待生選抜入試があります。
この入試では、得点により「6年特待合格」「3年特待合格」「T合格」「S合格」の順に選抜されます。

データ出典:大宮開成中学・高等学校、過去データは進学情報誌さぴあより
*T合格には3年特待合格と6年特待合格、3年特待合格には6年特待合格の人数も含みます

2024年は昨年と比べ、受験者数が増加した一方で全体の合格者数は絞られたため、実質倍率は2.03倍へと上昇しました。ただここ数年の動きで見れば、逆に2023年が低かったのが元に戻った、という見方の方が正しいような気がします。

内訳では3年特待合格がやや増えているので、上位層、というか東京など遠方からの受験生が増えたのかなと想像します。

最後のページでは、医進特別入試を新設した淑徳与野が気になるので、それを含めた女子校2校について軽く見てみます。

埼玉入試その他のトピック

2024年の埼玉入試で気になるもうひとつのトピックは、淑徳与野が新設した医進特別入試です。

淑徳与野の医進特別入試

淑徳与野は元々2回入試(1月13日、2月4日)でしたが、2024年から医進コースを新設し、1月11日に医進特別入試が導入されました。

埼玉入試のスケジュールは前ページまでで見た通り、1月10日に超大規模な入試があるのと、1月12日に特待入試が集中している状態です。1月11日は開智特待Aくらいしか主だったものがなく、偏差値上位層にとっては穴場日程となっているように見えます。

でそこを埋めるかのように、淑徳与野が医進特別入試をハメ込んできたというのが今回です。栄東の東大特待Ⅰ入試の前日ということで宿泊しての連戦も可能で、上手いこと設定してきているなという印象を受けます。

で結果ですが、こんな感じでした。

定員:25
出願者数:525
受験者数:508
合格者数:208
実質倍率:2.44倍
出典:淑徳与野中学校

第1回入試の受験者が1700人前後なので、その1/3程度の規模となります。偏差値がどの程度で出てくるのかは気になりますが、女子で医進に絞ったコースとしては上々じゃないかと個人的には感じます。第1回入試の実質倍率は1.9倍とかなので、そこよりは絞ってきたイメージです。

偏差値上位の女子受験生が集まる入試として、これまでは浦和明の星が存在していましたが(いますが)、そこと並び立つような位置付けになってもおかしくないかもしれません。埼京線や京浜東北線などが使える立地の良さがあり、今後の進学実績次第ではかなりの可能性を感じるので、要注目じゃないかと思います。

浦和明の星 第1回入試

せっかくなので浦和明の星についても触れてみます。出願者数の推移はこんな感じです。

直近2・3年だけ切り取ればやや下降気味かなとも思えますが、もう少し長く見ると緩やかな波の中の小さな上下でしかない感じですね。まあ2000名前後で安定、というところだと思います。

総括

現時点(1月14日)では埼玉入試の後半戦突入という段階(まさに浦和明の星の入試日)だったりしますが、前半の大きな波はひとまず終了といったところで、勝手な総括をしてみます。

印象としては、これまで以上に盛り上がっていたという感じが強いです。これは開智所沢の開校が最も大きいんでしょう。単に新設校ができたというだけでなく、さすが開智というか、合同入試という斬新な入試制度を作ることによって開智中学の入試が大きく伸び、結果として埼玉入試全体を持ち上げる力になったのではと思います。

いま埼玉入試全体と言った直後で何ですが、もう少し細かく見れば大宮を中心とした埼玉エリアという言い方の方が正しい気がします。大きく伸ばしているのは浦和から大宮にかけて、京浜東北線や埼京線、湘南新宿ラインなどの縦ラインで都内からアクセスできる地域です。上野東京ラインの開通などもあり、大宮エリアという立地が非常に重要なんだろうと思います。

背景には、以前のようなただのお試し受験ではなく、現実的に通うことのできる学校で合格をもらっておきたいという受験生の動きがあると考えられます。とすると今後は、力試しのため偏差値に合わせて受けるとかではなく、教育内容や進学実績などより現実的な学校選びをされた上での受験が増えていくのかなと思います。

まあとはいえ現状ではまだお試し的な受験の色も濃く、受験者数も合格者数もケタ違いに多いというのは、入試の傾向としてはおさえておきたいところです。定員の数十倍もの合格者を出すので、ちょっとしたことでブレが出やすいということもあります。そういう傾向の違いも頭に入れておきたいです。

また点数や順位が出るところが多く参考にもできますが、順位や立ち位置よりも、点の取り方やミスの仕方など問題に絡むところや試験環境などを見直して、この先の準備にしていくという姿勢も重要かなと思います。

この先入試が続いていく人も多いと思うので、この経験を次に繋げていってほしいと思います。

以上、2024年度の埼玉入試についてお伝えしました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?