【2024入試】栄東の出願者数と結果情報
いよいよ2024年の中学入試がスタートです。ここでは、最大の受験者を集める栄東中学校のA日程と東大特待Ⅰ入試について、出願者数の推移を追いかけてみます。また、合格発表後には結果情報も更新し、今年の入試動向についても考察してみます。
栄東 A日程試験 出願者数
A日程試験の出願者数について、数年前からの推移をグラフにします。
数字はとりあえず1月6日時点で発表されているもので、確定値ではありません。日祝を挟んで更新されたらこちらもアップデートします。
【1月9日】確定版へ更新しました。
2020年までは1月10日の1日のみで6000人を集めていた試験ですが、2021年以降は新型コロナの影響で2日に分割されています。1月10日か11日のいずれか1日を選択することになっていて、両方の日程を受験することはできません。10日と11日では入試問題が異なりますが、同一基準で判定されることになっています。
分割初年度の2021年は6000人強ということでそれまでとほぼ同じ人数の出願者数でしたが、2022年度から毎年受験者を増やしていて、2024年はついに8000人を超える規模となりました。6000人でもダントツ人数の試験だったので、さらに2000人増ということで圧倒的な規模と言えるでしょう。
こうなってくると合格難易度も上がってしまうと心配になりますが、埼玉に関しては東京などからの前受け受験生が多いことから、受験生増に応じて合格者も増やすことが多いです。このあと結果情報も記載するので参照してもらえればと思いますが、増えた人数の割に倍率の方はそこまで上がっていないというのはおさえておきたい情報です。今年がどうなるかは蓋を開けてみないとわかりませんが、過度に不安視する必要はないでしょう。
なお、10日と11日のどちらを受験するかについては、10日の方が主流で、倍程度の人数というのが定着してきたようです。分割初年度である2021年は半々の人数だったのですが、これはこの年の1月10日が日曜日で塾の志望校別講座と被ったというイレギュラーな日程だったということのようです。
受験当日の心得
試験を迎える受験生に向けて、少しだけ心得というか安心材料になるものを提供しておきます。
8000人という空前の人数が受験する試験ということで、日程や会場が分散されているとはいえ、かなりの人数が集まる試験であることに変わりはありません。遠方からの受験生も多いと思います。そして最大の懸念は、東大宮駅まで湘南新宿ラインや上野東京ラインを使わなければいけないということです。馴染みがない方にはわからないかもしれませんが、この線は東京を縦貫していることもあって、遅延が非常に起こりやすいことで有名です。平日朝は遅延が起こるものだと想定した上で、余裕を持って移動するよう計画しておくことがまず第一です。早く着いて直前に見直すものを準備しておく、くらいの想定でちょうど良いでしょう。
その上でですが、遅延に巻き込まれて遅刻するような状況になった場合についても、焦らず騒がず、駅からの案内の方に従って落ち着いて学校へ向かいましょう。栄東については、遅延に対応することができる受験システムが構築されているので、心配しなくて良いと思います。詳細はこんな感じです。
受験当日で最も大事なのは、持っている力を最大限発揮することです。遅刻により焦りのある精神状態で迎える試験では、おおきなマイナスを抱えることにもなりかねません。その意味で、早めの行動はもちろんですが、万が一の場合でも、想定内として焦らず行動してもらえればと思います。
当日、全力を出し切れることを願っています。
栄東 A日程試験 結果情報
出願者数・受験者数・合格者数について、過去からの推移を確認します。2022年以降は特待合格の内数についても表示しています。
【1月12日】合格発表を受けて更新・追記しました。
受験者数は2023年度を超え(おそらく)過去最大規模となりました。昨年度も大幅増でしたが、それが一過性のものではなかったということになります。このまま8000人辺りで定着していくのか、反動減になるのか、さらに上を試すのかは来年度になってみないとわかりませんが、もう以前の6000人規模には戻らないのではとは感じますかね。
昨年に比べて受験者は増えた一方で合格者はやや減少しており、結果として倍率は1.63倍へと上昇しています。2022年のグラフとそれ以降を比べて見ると、合格者はほとんど増えておらず不合格者だけが増えているイメージになります。これだけを見れば難易度上昇かなと思いますが、昨年の偏差値表ではどこも変動なしだったので、必ずしも難化と直結しているわけではないようです。
平均点・合格基準点
受験者平均点と合格基準点は次の通りでした。昨年よりだいぶ難しい問題セットだったようです。
10日と11日で問題は異なるのですが、どちらも同じように平均点が昨年比で下がっているので、意図的に難しい問題にしたのだと考えられます。同じ基準で判定するというのは作問のハードルも高くなりそうなので、難易度を合わせて作れるというのは純粋にすごいなと思いますね。
そして10日より11日の方が平均点が低いというのは昨年と同じ傾向でした。合格基準点が同一というのも昨年と同様です。これはやはり受験者層が若干違うということなんでしょう。
それぞれのクラス合格のための基準点と得点割合も出したので、来年度以降の参考にしていただければと思います。
科目別平均点は次の通りです。
全体の平均点はある程度揃った感じですが、科目別ではちょっとバラつきが出てしまっています。国語は10日が10点以上低く、算数は逆に10点以上高い結果になりました。
これを見ると、今年に関しては、10日と11日で有利不利が出た可能性があるんじゃないでしょうか。平均点が低い科目では差を付けやすいということから考えると、10日は国語が得意な子に、11日は算数が得意な子に有利になったかもしれません。ただ平均点が50点を下回るということは難しすぎた可能性もあり、それだとトップ層を除けば皆ができないので逆に差がつかないことも考えられます。いずれにせよ、科目ごとの当たり外れがあったとは言えるでしょう。
実際のところは受験生によって異なるので個別に見直しすべきだと思いますが、仮に今回ダメだった受験生も、色んな要因は考えられるので、単純に落胆するのではなくしっかり分析して次へと繋げていってほしいと思います。
ちなみにリベンジするのであれば、栄東B日程では複数回受験生はプラス30点のゲタを履くことができるので、自信を持って臨んでほしいと思います。
栄東 東大特待Ⅰ試験 出願者数
東大特待Ⅰ試験の出願者数について、数年前からの推移をグラフにします。
4教科型は、前年より100人ほど減少し上昇一服という感じですかね。12日の入試という点で見ると、開智(特待B・旧先端A)と大宮開成(特待生選抜)とも日程が被っていて、この2校は人数を増やしているようなので多少の影響はあったかもしれません。
この辺りはこちら↓でデータを出しているので、合わせてご覧ください。
算数1教科型入試は微増という感じですが、絶対数が少ないので傾向というほどの感じはありません。そもそも合格者は30人くらいしか出ないし、サピックス偏差値も61ということでかなり狭き門でもあり、算数猛者の頂上決戦みたいなイメージなのかなと思います。
栄東 東大特待Ⅰ試験 結果情報
出願者数・受験者数・合格者数について、過去からの推移を確認します。2022年以降は3年特待合格の内数についても表示しています。
2024年は前年に比べて受験者は100名弱の減少、ただその割に合格者は6人しか減っていないということで、実質倍率は1.92倍へと下がりました。似たような受験者数だった2020年や2022年と比べても合格者は多く、ここ5年ではもっとも低い倍率だったことになります。A日程の人数増に比べるとだいぶ落ち着いた入試になった印象です。
合格者が相対的に増えているということは、東京など遠方からの受験者が多かった(つまり手続き率は上がらないと読んでいる)と分析できるのかなと思います。この入試は首都圏入試の上位層による戦いなので、ここから無理繰り上位層の動向分析するとすれば、昨年と同程度の合格者数だったことを踏まえると、昨年並みの競争は維持されるだろうということになりますかね。
次に算数1教科型入試です。
母集団が小さいのでなんとも微妙ではありますが、こちらの入試は減少傾向ではあります。
栄東で合格を取りたいならA日程でも良いし、特待入試でも4教科の方が人数も多く安定して結果を出しやすいはずです。
そんな中でも敢えてこの入試を選んでくるのは、算数1本槍で4教科ではやや不足する感じの子か、算数の頂上決戦に挑んでくる子かのいずれかだと考えられます。で、勝手な想像ですが、合格を勝ち取っていくのはこの後者のタイプなんだろうなと思っています。
これは男女比を見ると顕著で、今年で言えば女子の受験者はわずか15名、さらに合格者はなんとゼロでした。ということで、男子に多いであろう算数小僧(リスペクトを込めて表現してます)の頂点を争う入試と見ればいいのかなと思います。
平均点・合格基準点
4教科型の平均点と合格基準点は以下の通りでした。
前年と比較すると、算数と理科の得点が高く、4科平均点も12.8点の上昇となっています。ちなみ合格基準点の方はそこまで上がっておらず、もしかすると基準が下がったのかもしれません(母集団の違いもあるので実際は何とも言えませんが)。
とりあえず受験者平均点プラス1点で合格点へ到達なので(2023年はプラス5点ですが)、まずは受験者平均点を取れるというのが、来年以降の受験生が意識すべきラインでしょう。
続いて算数1科目型です。
こちらは平均点が4.5点の上昇でした。それに対し、3年間特待合格の基準点は8点の上昇、1年間特待合格は逆に3点のマイナスになっています。これだとさすがに、1年間特待合格の基準は下がったと言えるのではないでしょうか。
ただ3年間特待合格は、基準点が上がった割に合格者は4名→9名へと大幅に増えているので、最上位の子はむしろ多かったということですかね。まあいずれにせよ、異次元の世界の話と個人的には思っています。
総括
2024年の栄東入試は(前半戦だけですが)以上の通りでした。
A日程は昨年・一昨年からの増加の流れを引き継ぐかたちで、以前よりもさらに大規模な入試になっています。開智所沢の開校に伴う開智の受験者増というビッグイベントがあった2024年の埼玉入試ですが、開智に取られるのではなく逆に埼玉に受験生を集める結果になったのは、非常に面白い動きだと個人的には感じました。
首都圏の中上位層の緒戦を一手に引き受ける入試として、栄東はその地位を盤石にしてきている感があります。
埼玉入試はまだ後半日程がありますし、千葉・東京・神奈川はいよいよこれから本番ということで、何かしらお役立ていただけるデータになっていればと思っています。また、次年度以降の受験生の参考情報としてもご活用ください。
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