
海城中学入試の作戦会議
【更新履歴】
・2022年12月9日 公開
・2023年8月2日 2023年の入試結果・内容を反映した記事に更新
・2023年11月21日 入試分析中心の記事にリニューアル
はじめに
こんにちは、中学受験ウォッチというサイトを運営している受験生親です。そっちのサイトでは、世の中に出回っている公開情報を基本として、塾や学校の横比較や役立ちそうな情報、2022年に息子が中学受験したときの経験談などを中心に、受験生親子のサポートになればと情報発信をしています。
こちらのnoteでは、読み手のターゲットを絞って、個別の学校の入試問題を詳細に
分析し、対策・戦略について深く考えていくための材料をご提供しようと思っています。息子の入試の際に一度分析した内容をベースとしながら、改めて最新の過去問を使って他校との横比較もしながら分析し直し、戦略や対策について本気で検討しました。
この記事では、海城中学校の入試を考えているご家庭に向けた内容をご紹介します。一度、自らの経験を中心に書いた内容で公開しましたが、改めて分析と対策を中心とした内容に書き換えたので、より多くの人に有益な情報にすることができたのではと考えています。
海城については難易度の割に塾の志望校別コースが充実しているとは言いがたく、特に社会科論述については他校と明らかに違っている割に対策が手薄な印象があります。我が家でも過去問を中心に対策していきましたが、受験直前の冬休みに気付いて急遽対策したことがありました。その辺りを熱望者にお伝えできればと思います。(完全に私見ではありますが、無対策で受けに来た子を落とす仕組みがあると思っています)
この記事は個別の学校の入試対策まで踏み込んだ内容なので、本当に必要な人にだけに届けるべきとの思いもあり有料記事にさせていただいています。対象にマッチする方、信頼や価値を感じていただける方にご購読いただければと思っています。
我が家の背景情報
そうは言われてもいきなり信用はできないと思うので、まずは背景情報として我が家の話に触れておきます。
本番入試結果と成績情報
学習スタイル・成績帯等について、細かなことは下のリンクを見ていただければと思いますが、ざっくり言うと、今なら四谷大塚の進学くらぶが近いスタイルです。塾なしと表現することもありますが、塾という物理的な空間で授業を受けないというだけで、四谷大塚カリキュラムでの学習という意味では四谷系の塾生と大きな違いはないと思っています。
受験結果と持ち偏差値は↑に書いています。
偏差値と合否結果がリンクしていないのですが、それこそが志望校対策の成果だと考えています。栄東と海城は80%判定を取れていましたが、渋幕の80%判定に達したことは一度もなく、最終回のサピックスオープンに至っては偏差値マイナス10以上となり、その結果からすれば逆転合格という見方もできます。栄東の東大特待は80%判定が出ていたので、そこからすれば逆転不合格ということにもなります。
これらの経験から、入試において偏差値は目安にはなっても最重要指標ではない、最も重要なのは志望校対策だという思いを強くし、せっかくならそれを必要な方へも届けられないかということで、このシリーズ記事の提供に至ったという次第です。
対象読者の設定
とはいえ、こういう記事は送り手と受け手の想定が違ってしまうと意味をなさなくなってしまうので、私が対象と考える読者想定は明確にしておきたいと思います。
基本的に次から挙げる2点の両方に当てはまる方が想定となります。
1. 偏差値が対象の範囲内である
6年生後期の模試偏差値(持ち偏差値)を対象とし、学校の80偏差値マイナス7・8くらいからプラス2くらいまで、合否判定で言うと30%〜80%に入るところと考えます。これは志望校対策によって合否が大きく影響される範囲、つまり勝負の範囲がこの辺りという考えからになります。
過去に50%判定が合否ラインという記事(50%偏差値表って何につかうの?)を書いたので参考にしていただければと思いますが、普通に分布すれば、50%判定を中心に合格・不合格がひしめき合っているのがこの辺りのラインです。別に80%に達しなければ合格できないわけでもないし、逆に80%だから安泰というわけでもありません。
普通に受験すれば当日のデキに左右されるところでしょうが、その可能性を最大限上げるために取り組むのが志望校対策だと考えています。
2. 親子で一緒に作戦を考える
塾や家庭教師などに受験戦略を一任しているのであれば、かえって混乱するかもしれないので不要だと思います。これまであまり子供や受験に関わってこなかった方も、急に色々言い始めると親子関係を壊すかもしれないのでお勧めできません。通塾のありなしは関係ありませんが、基本的には親御さんも一緒に考えサポートしていける方に向けた情報だと思っています。
ご提供するのは入試や問題の詳細な分析と、それを元にした戦略の考え方や対策案です。お子さんの状況はひとりひとり異なるはずなので、具体的な対策はそれぞれの状況に合わせて考えていく必要があります。これを読めば合格できるとかそんな類の情報ではないので、ここでの情報を元にご自身で思考していただきたいです。
誤解のないように少しだけフォローすると、親御さん自身が難問を解いて教えることは想定しません。過去問は可能であれば(全てでなくていいので)一緒に解いてほしいと思いますが、それは教えるためではなく共感し作戦を考えるためです。せっかく親子で取り組むことのできる中学受験だからこそ、自ら考えて試行錯誤する
経験をしてみるのはいかがかなと思います。この記事での分析や我が家の事例はそのガイドになると思います。(ちなみに過去問を深く見ていくと学校が求める生徒像が何となくわかってきます)
私としては、合格の可能性アップに向けて自ら出来ることはやり尽くしたい、と考える方に向けて情報提供したいと思っています。親子でベストを尽くしたと思える受験にぜひしてほしいという気持ちから、この記事をお届けします。
【ご購読いただいた方で、ご質問やお悩みがあれば個別にご相談に乗っています。ただnote上で直接のやり取りはできない仕組みになっているので、メールかSNSメッセージ上でお問い合わせいただくかたちになる点はご了承ください。】
なお、この情報を元にした二次配信は行わないようお願いいたします。また、購入後のキャンセルもできませんので慎重にご判断いただければと思います。
入試の分析
前置きが長くなりましたが、ここから本題に入っていきます。まずは入試結果データを元に、海城の入試自体の分析をします。
第1回の偏差値が上昇中
まずは分かりやすいところで各塾の偏差値表から見ていきます。
全体感で言うと、2014年〜2016年あたりまでで一度難化のピークをつけたあと、2018年前後で一旦調整に入り、2021年あたりから再度上昇に入った感じと見ることができます。

(サピックスのみ翌年度の第1回志望校判定サピックスオープンによる予想偏差値)
この中で、第1回のサピックス偏差値はずっと右肩上がり(このグラフだと左肩ですが)で、2011年が54だったものが2023年には60にまで到達したのが目立ちます。ちなみに海城は2011年に高校募集を停止し帰国生募集を始めたので、その辺りで一度上昇していて、一旦落ち着いたあとまた再上昇を始めた感じです。
四谷大塚や日能研は母集団が大きすぎるので、上位校はサピックス偏差値が一番実態を反映していると考えられ、その意味で難易度は再上昇していると見た方がいいかなと思います。
四谷大塚については50%偏差値も公開されているのでそちらも見てみます。

上位層の不合格に左右される80%よりも50%偏差値の方が難易度をより反映していると考えていますが、2021年で50偏差値が2ポイント上がり、1ポイント上昇だった80偏差値との差が縮まっています。この辺のカラクリは内部事情を知らないのでよくわかりませんが、とりあえず2021年から難易度が上昇しているであろうことはここからも判断できると思います。
倍率も上昇中
続いて出願者・受験者・合格者の数と実質倍率を見てみます。

倍率は一貫して上がり続けているのがわかります。2022年に3倍を超えたあと、2023年は3.4倍ということでかなり厳しい入試になったことが言えるでしょう。この期間で合格者数はほとんど変わらないので、単純に受験者数が増えた分だけ倍率が上がるという構図になっているのがわかります。
第2回も見てみます。

こちらも一貫して上昇を続けています。こちらは2019年に3倍を超えてからずっと上がりっぱなしという感じです。受験者数の伸びが非常に大きく、それでも合格者数は増えていないので、こちらも単純に受験者数の伸びがそのまま倍率上昇になっているイメージです。
ただよく見ると2022・2023年と微妙に合格者数は増えていて、300名を超えています。第2回は併願日程なので合格者数は多めに出るはずで、上位組の受験者数が増えれば多少は合格者も増えていいと思いますが、まあ微妙な上昇ですね。
このあたり、実際の入学者はどうなんだろうということで、合格者の実際の入学割合を歩留まりとして出してみました。

(入学者数は進学情報誌さぴあの中1生の人数を使用)
この数字だけ見たところで多いのか少ないのかよくわからないんで、同レベル帯の他校も出してみたところ、開成74%・麻布82%・駒東84%・武蔵97%・聖光63%・早稲田63%という感じでした(直近3年間の平均)。1回入試の学校はさすがに高いですが、2回入試の聖光・早稲田とはほぼ揃って同じくらいなので、まあ特別多いわけでも少ないわけでもなさそうです。(それにしても武蔵の97%ってのはちょっと高すぎる感じです。繰り上げが多い可能性も考えられ、だとすると他校も含め公開されている合格者数で色々考えてもあまり意味がないのかも。。。)
難易度の推移
もうひとつ、受験者平均点と合格者平均点を取り、合格最低点がどのあたりに位置するかで難易度の推移を判断してみます。このとき、合格最低点がグラフの右側に近くなれば、合格者平均点近くを取らないと合格に至らないということで難易度が高い、逆に左側にいけば受験者平均点近くでも合格できるということで難易度が低いと判断します。正確には受験者全体の学力レベルが変わると前提も変わってしまうので、一応偏差値も見ながらの推測にはなりますが。


偏差値で見たときも2016〜2018年あたりに難易度低下を感じましたが、それはここでも見られます。第1回は2017年、第2回は2018年を底に難化していると思われます。特に直近2年は偏差値も上がっているので、点数以上に難化している可能性も考えられます。
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