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Vol.9 イグアス国立公園

このままここで落ちて死ねたら幸せなのに、と思う場所がある。それがここ、イグアスの滝。
滝の世界遺産はいくつかあるが、その中でも多分一番美しくなく、激しく、残酷なまでの力を見せつけてくれるところだと思っている。

飲み込まれたい、そんな願望を叶えるためやってきたのはアルゼンチン。イグアスの滝はブラジルとアルゼンチンに跨って存在しており、両国それぞれで登録されている。

私がみたかったのは悪魔ののどぶえと呼ばれるスポット。激しい水量で濁った水が大量に流れ落ち、水飛沫で下が全く見えないこの景色。
決して優しい音じゃない。全然美しい景色じゃない。それを求めるなら他の滝に行く。
そうじゃなくてこの自然剥き出しの滝にこそ自然への畏怖を感じ鳥肌が立つのです。

自殺願望なんてこれっぽっちもないし、この中に落ちたらきっと骨なんかバッキバキになるだろし息もできなくてすんごい苦しそうだけど、それでもここに飲み込まれたら、帰るべきところに帰れるのでは、って思っちゃう。

ひたすら滝の音を聞き、目の前をとめどなく流れる水をただただ見つめているだけで、心が無になっていく。周りからは聞きなれないいろんな国の言葉が聞こえる。でも全ては滝の音にかき消されていくのも面白い

アッパートレイルにボートツアー、ここを楽しむ術はいろいろあるけど、やっぱり私はこの悪魔ののどぶえのを飛び出したい気持ちを抑えて見ているのが良いのだ。

イグアス国立公園
ブラジル、アルゼンチン
登録基準: ⑦、⑩
登録年: 1986年

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