国際コーヒー機関(ICO)による予測:景気後退によるコーヒー需要への影響
元記事:ICO Forecasts How a Global Recession Might Affect Coffee Demand - Daily Coffee News
COVID-19パンデミックにより、世界中の主要なコーヒー消費国において経済への影響が急激に発生し、消費者の行動の急激な変化等に伴い小売業での損失が拡大している。外出禁止令や都市封鎖(ロックダウン)によってパンデミックの拡大は鈍化傾向にあるが、すべての兆候は世界的な景気後退を示唆しており、元の状態に回復するまでにはさらに長い期間が必要とみられる。
昨日(注釈:元記事投稿時点。2020年4月14日)国際通貨基金(IMF)は、世界的都市封鎖による経済低迷は1930年代の世界恐慌以来最悪であり、第2四半期中においてウイルスの大幅な封じ込めに成功した場合、世界GDP(国内総生産)は2020年にマイナス3%、2021年にプラス5.8%の回復になるだろうと予測した。(2008・2009年のリーマンショックによる景気後退時における世界GDPはマイナス0.1%(IMF発表))
この「大規模なロックダウン」は世界的なコーヒーの需要にどのように影響するだろうか?
ICOは先週(注釈:元記事投稿時点)COVID-19パンデミックが世界的なコーヒーセクター与える影響を取りまとめた論文「コーヒーブレイク」シリーズの第一弾を発表した。
ICOは、小売店の売上が急激に減少したこと、家庭におけるコーヒーの需要が微増していることを認識した上で、「COVID-19パンデミックによる直接的・間接的な影響を原因とする世界的景気後退で、世界的なコーヒーの需要はより深刻な影響を受けることが予想される」と述べ、さらに「家計所得の減少はコーヒーの量的需要の減少につながりやすい上に、価格に敏感な消費者は価格の高いコーヒーから価格の低いコーヒーやブレンドに移り変わっていく可能性もある」と続けた。
ICOはさらに主要なコーヒー消費国20か国のデータに回帰分析を適用し世界GDPの推移とコーヒー消費量の間の相関関係の関連付けを試み、その結果
世界GDP成長率が1%減少するたびにコーヒーの消費量が0.95%減少する
ことがわかった。これを量に換算すると、
世界GDP成長率が1%減少するたびに世界のコーヒーの需要は160万袋(1袋60キロ計算)減少する
ことになる。IMFの保守的な見通しである”GDP成長率3%”が現実のものとなれば、この数字はさらに大きくなる可能性がある。
ICOは「このモデルでは、GDP成長率の大幅低下や世界的な景気後退の影響は、それに比例して大きくなると予測されている。年率2〜3%のペースで安定的に需要が増加していたコロナ禍以前と比較して、コーヒー消費レベルは停滞(または減少)するだろう」と述べ、またCOVID-19パンデミックは生産者にとって歴史的低価格が続いていたコーヒーセクターにさらなる課題をもたらし、世界的な長期的供給を脅かしていると指摘した。
記事をを書いている時点で(注釈:元記事投稿時点、2020年4月15日)2020年7月のアラビカ種コーヒー先物取引の基準価格(Cプライス)は1.293米ドルであり、コーヒー輸入部門の「買い溜め」が報じられた現時点でもまだ歴史的な低価格であることに変わりはない。
ICOは「コーヒーブレイク」シリーズの第二弾でコーヒーチェーンのおける供給側の状況を探ると述べている。