所変われば品変わる。あなたはどっちのエスプレッソ?ブラックorレッド

趣味で、様々な国のコーヒーメールマガジンを購読しています。
国ごとに取り上げる内容や問題に対しての目の向け方が違っているので、コーヒー業界や飲食業界の情報を多方面からカバーするのに助かりますし、時には直接的にはコーヒーと関係ないけれど面白い情報を見つけることもあります。

皆さんは「レッド・エスプレッソ Red Espresso」という飲み物をご存知でしょうか?私はその存在をごく最近に知りました。

数年前から、インスタグラムを中心にカラーラテアートをよく見かけるようになったと思います。食用色素を使用しただけのものや、調味を整えた粉末を使い「ターメリック・ラテ」=ターメリックの鮮やかな黄色のラテ、「ビートルート・ラテ」=ビートルートという真っ赤なカブの色を生かしたラテ、さらには「チャコール・ラテ」=炭パウダーを使った真っ黒なラテ、チョウマメという青い花の絞り汁を利用した青色の「バタフライピー・ラテ」なんてものまであります。
日本には、おなじみ緑色の抹茶ラテや黒ごまペーストを使用した黒いラテもありますし、ラテアートを描けるコントラストがあれば何でも利用して描いてしまう、ラテアートの世界は広いなあとつくづく感心します。


で、「レッド・エスプレッソ」です。年明け頃から南アフリカ共和国の Coffee Magazine 誌のメールマガジンを購読するようになったのですが、週に1度ほど、コーヒーの最新ニュースや新しいカフェのオープン情報などを送ってくれます。そこに「レッド・エスプレッソ」の広告が入っていたのです。
最初は新しいカラーラテアートかとも思ったのですが、クレマの色は通常のエスプレッソの色とほとんど同じです。気になってリンクをクリックしてみたところ、レッド・エスプレッソとは、世界中で南アフリカ共和国の一部のみにしか自生しない植物から作るお茶、ルイボスティーから作ったエスプレッソだということがわかりました。レッド・エスプレッソは同時にこの商品を扱う会社名でもあります。


ルイボスティーはその名の通り、ルイボスという植物の葉を乾燥させて作られます。湯で抽出すると紅茶の色をさらに赤っぽく鮮やかにしたような色になり、独特の風味がありますがカフェインを含みません。一般的にはストレートで飲むことが多いものの、現地では牛や羊の乳と砂糖またはハチミツを入れてミルクティーにして飲むことが多いようです。

そのような背景があったためか、2005 年に南アフリカ共和国でレッド・エスプレッソ社が設立され、「ルイボスティーを使って作ったエスプレッソ、カプチーノ、カフェラテ」が新しい飲み方として広まりやすい素地が元々あったのかもしれません(日本には緑茶を濃く入れて牛乳と砂糖を入れて飲む文化はないですよね。抹茶に牛乳を入れるのはもはや一つの文化になりましたが。抹茶ラテっていつごろから普及してきた文化なんですかね?)


このルイボスティー・エスプレッソの面白いところは、ちゃんとそれなりにクレマができること(なのでラテアートも比較的描きやすい)、細かく挽いてある専用茶葉さえ仕入れれば特別なバスケットがなくても抽出ができるところだと思います。また国内向けには Nespresso のマシンで使えるコーヒーカプセル家庭用エスプレッソマシンで使えるカフェポッドインスタントのルイボスカプチーノパウダーなどもラインナップとして用意されており、カフェのみならずスーパーマーケットやコンビニでも販売がされているようです。2008 年には当時の SCAA でベスト・ニュー・プロダクト、スペシャルティーべバレッジ部門を受賞しています。2008 年ですよ!ここから私が情報を得るまでに干支が一周しているのです…もっとアンテナ張らないと。。


このレッド・エスプレッソ、南アフリカ共和国を拠点として世界21か国で取り扱われているようですが、日本ではまだ取り扱っているところはないようです。Google で検索してみた所ヒット数はたったの約 22 件、そのうちルイボスティーのエスプレッソとして扱っているページは 5 件しかありませんでした。

まだまだ日本ではルイボスティー自体がメジャーではないからだと思いますが、ルイボスティーの唯一の生産地である南アフリカ共和国でこのようなプロダクトが生み出され、広く普及しているのは土地柄が現れていてとても素晴らしいなあと思いました。

Red Espresso社のホームページはこちら

junko