【SCA】COVID-19パンデミック期間中における変則カッピングプロトコル

元ページ:Modified SCA Cupping Protocol - Specialty Coffee Association (直接pdfのページに飛びます)

【前提として、コーヒーのテイスティングとしてカッピングではなくバッチブリューのコーヒーを使用したほうが、クロスコンタミネーション(二次汚染、相互汚染)のリスクは大幅に低下します。SCAのカッピングプロトコルを利用したコーヒーのグレーディングが必須であると判断される場合、この変則プロトコルを使用することを推奨します】


- カッピング準備に先がけて、参加する人数分のカッピングスプーンとショットグラスを用意する。このプロトコルにおいて、カッピングスプーンは口や給水用のコップに触れてはいけないものとする

- カッピングテーブルにサンプル、すすぎ用カップを用意する。注湯、ブレイク、クラストの除去まで通常のカッピングプロトコルと同様に行う。

- サンプルの入った容器からスプーンを用いてショットグラスにサンプルを移し、ショットグラスから直接テイスティングを行う。

- カッピングスプーンはサンプル容器から個々のショットグラスにサンプルを移す目的でのみ使用する。

- カッピングスプーンは個人の口、または給水用のコップには触れてはいけない。

- 熱湯とバケツを用意し、次のサンプルに移る際にショットグラスを湯ですすぐ。

- 次のサンプルに移る前にカッピングスプーンをすすぎ用カップですすぐ。カッピングスプーンはサンプル容器から個々のショットグラスにサンプルを移す目的でのみ使用する。

- カッピングスプーンが汚染された場合(口に触れてしまった、給水用のコップに触れてしまった等)に備えて予備のカッピングスプーンとすすぎ用カップを準備しておく。

- セッション終了時にカッピングテーブル表面を消毒する。

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この変則カッピングプロトコルは、COVID-19に対応するため、カッピングの専門家・専門機関の助言を元にSpecialty Coffee Expo Exchangeでの使用を目的として通常のSCAカッピングプロトコルを修正したものです。医療関係者やカッピングの専門家との協力を続け、さらにフィードバックを集めることでこの変則プロトコルをより進化させることを期待しています。
この変則プロトコルは、(SCAの通常のカッピングプロトコルでの)カッピング経験のある人にとって慣れるまで困難な可能性もあるため、カッピングの進行状況をモニターできるスタッフやボランティアを増やすことを推奨します。また、このプロトコルではサンプルを”二度移す”必要があり(サンプル容器からショットグラスへ、ショットグラスから口へ)サンプルの温度が通常より早く下がることが予想されるため、通常時より少ないサンプル数でセッションを行うことを推奨します。
カッピングそのものを避けたい場合、テイスティング用にバッチブリュー用の器具を用意しておくことが望ましいでしょう。最後に、この変則プロトコルではテイスティングしたコーヒーを”吐きださない”こと、その目的でカップを用意しないことが強く推奨されます。

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注釈:必要セッティングのまとめ
カッピングスプーン 参加人数分+予備数個
ショットグラス   参加人数分+予備数個

カッピングボウル(サンプル容器) サンプル数に応じて
すすぎ用カップ          サンプル数に応じて

給湯ポット
バケツ

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2020年3月12日付でSCAから変則カッピングプロトコルのVer.1.0が発表されています。このプロトコルはダウンロード(上記太字部がリンクになっています)可能ですが日本語版が出ていないのでここで訳しました。カッピングスプーンを口に触れさせず、サンプル容器から個人用の容器に移して飲むという形式がポイントです。
COVID-19の終息には年単位の時間がかかることが予測されており、今後はこうしたクロスコンタミネーション(人から物を介して感染・汚染が起きること)を防ぐカッピングプロトコルの重要性が世界的に増していくと考えられます。修正版、アップデート版が出たらまた翻訳します。