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新潟の海でキツネ石を拾った話し


昨年の大型連休に、河口でヒスイを拾おうと出かけた。
あいにくの小雨の降る、肌寒い日だった。
その少し前に、TVで【ヒスイで一攫千金⁈】と放送していたのを録画して見て、予習もバッチリだ。

日本海側の海は荒い。
知ってはいたけど、本当に波が荒い。
湘南の海が優男なら、こちらは荒くれ者だ。
(でも、水も石もキレイ…本当は貴方って綺麗な…)

アブナイと分かっているのに、ついつい深追いしたくなる。

〝もう少し波打ち際なら、見つかるかもしれない…“

濡れたくないなぁと、遠目から見ているつもりが
突然 どっパ〜ン!どっパ〜ン!と波が来るのだ。

砂浜の海岸と違い、足元は全て石の不安定な傾斜
なので、もし波に襲われても踏ん張って駆け出すことは不可能に近い。
帽子も被れないほどの、台風並みの風も吹いている。
早々に切り上げないと、体力も奪われそうだし
雨もひどくなりそうだった。

石は水に濡れると 全般的に綺麗に見える。
好みの問題もあるが、自分はしっとりまったりとした、名古屋辺りの外郎(ういろう)に似ている質感の石が好みで、目に留まることが多い。
色は白か緑・青系かモノトーンで、主に単色。

カラフルな朱色系には手は出さない。

次々と専用のバケツに入れて、後でゆっくり
選別式を行う。
家に持ち帰るのは、5〜6個までと決めている。

その中で 1つ翡翠らしきのもがあった。

縦2 cm×横3cmくらいの大きさ。
ん?うっす〜いけど…全体的にいわゆるヒスイ色だ。
白い部分もあるけれど、他の石の白とは
違う白だった。

……綺麗だけど…分からん……

見れば見るほどわからない。
持つと、ズンと重い気も、しなくもなくも、無いような…

その日は暗くなり始めたため、早々に宿に戻った。
翌日、別の海岸に出かけ、もう少し探した。


糸魚川市には

石の博物館
  フォッサマグナミュージアム 
がある
ここに立ち寄った時、「石の鑑別無料体験」を
開催中だった。
ラッキーな事で、昨日拾った石の幾つかを教えて頂くことができた。


自分が好きな外郎(ういろう)系の石は
⚫︎軟玉(ネフライトNephrite)
 
変成岩 たまにある
粒の柔らかい透(とう)せん石を、見た目の質感がやわらかいので軟玉と呼びます。北京オリンピックのメダルにも利用されました。弱い磁性があります。
       ーFossa Magna Museum—より


もう一つ拾った似た様な白いカクカクした石は
⚫︎流紋岩(Rhyolite)
 
火成岩(火山岩)ごく普通にある
二酸化ケイ素が多いマグマが地表で固まってできたものです。石英や長石が含まれています。
        ー同ー

  …ふむふむ。


そしていよいよ、薄いヒスイ色の石を見ていただくと…

なにやらじっと見られたあと、近くにいた関係者の方にも確認をとり始めた。

俄かに活気付く鑑定会場。ザワザワ……ザワザワ

おぉ⁈なに⁈出ちゃうんですか、本物のヒスイ!


「ちょっと裏で確認をしてきて良いですか?」

えぇ〜⁈  どうぞ どうぞ宜しく頼みます、
 拾った石ですけど!

どんな顔をして待てば良いのか良く分からず、期待しないのも失礼だし、し過ぎてガッカリするのも疲れるし、微妙な笑顔を保ちつつ数分。

重さを計り戻られ、はっきり仰った。

「キツネ石ですね🦊」 コ〜ン♡

ヒスイにそっくりな石のことを
通称 キツネ石(変成岩)と言うのだ。

「キレイなキツネ🦊石ですね。」 コ〜ン♡


「コ〜ン♡」とは仰っていない。
自分の頭に響いているだけだ。
しかし、コレだけプロの方を惑わすキツネ石。
なかなかなのではないか?

聞けば、キツネ石自体も、あまり出てこないそうだ。
その中でも綺麗だと仰ってくださった。
もうコレは、自分的にはヒスイでOKにしたい。


ひとしきり説明をして頂き、数人の方の手に渡ったあとで自分の手に戻って来たキツネ🦊石。
もうコレは大事に持って帰って一等席に飾ってあげよう。
いいではないか、ヒスイじゃなくても。
立派な🦊石ですとも。


今、この🦊石が、照明付きのガラスケースの
1番前に鎮座しているのは言うまでもない。






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