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2024年4月の記事一覧

『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』所感: アドラー心理学という技術

3日前にくらいに、『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』を読了した。 劇薬ではあったが、かなりためになった。 新しい概念を猛烈に浴びまくったのに加え、強烈に感化された部分と違和感を感じた部分が両方あったため、しばらく頭の中で色々な概念が喧嘩しあっていた。 少し寝かせたことでだんだん整理されてきたので、忘れないうちに書き留めておく。 自分のための超雑まとめ幸せになるためには、「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」に向き合う必要がある (仕事は割愛) 交友では、相手

『ガザに地下鉄が走る日』を読んで: 無関心という暴力

岡真理さんの『ガザに地下鉄が走る日』を読んだ。 この本を読んで、イスラエルのパレスチナに対する80年間にわたる占領、破壊、虐殺、そしてこれらによる人間性の剥奪を今、ようやく知ることとなった。 2023年10月7日、ハマスがイスラエルに対し大規模な越境攻撃を行った。以来、ニュースではガザでの凄惨な状況が日々報道され、イスラエル=パレスチナ問題やガザの現状に関心を持つ人も増えたように思われる。僕もその一人である。 けれど、それまでは遠い世界の話だった。2009年、2014

『暇と退屈の倫理学』を読んで: どのように「浪費」へと向かうべきか。

所感先日國分功一郎 氏の『暇と退屈の倫理学』を読み終えた。 本書の内容は、超ざっくりまとめると以下のようなものである。 === 日常の中に潜む、よく分からないぼんやりとした、しかしどうにも深刻であるように思える「退屈」というものに対し、まず「退屈とはそもそも何か」「退屈とどう向き合うべきか」という問いを立てる。 そして、人類史、社会学(「消費社会」との関係)、哲学などのさまざまな分野を横断することで解像度を高めていき、哲学者達の退屈に対する議論を批判的に検討しながら持論へと展