せっかく主義

 海辺で子ども達が遊んでいた。

小学生3人に6歳男、4歳男、2歳女。

その内の四人は兄妹。

そこに祖父母と両親に連れられた5歳の女児が来た。

 バケツに捕まえたカニを入れ、大騒ぎの子供たちを見て仲間に入りたそうな5歳女児。

 女児の様子に気が付いて子供たちのママが、

「一緒に遊ぼう、おいでよ」と誘った。

大喜びの女児、なかなか活発、みんなと遊ぶ。

すると、八の字眉の心配顔の女児のママが、

「ご迷惑だから、こっちに来て遊びなさい」と女児を呼ぶ。

「イヤ!」っと、女児。

「せっかく、おじいちゃんもおばあちゃんも来てくれているんだから、おじいちゃんとおばあちゃんと遊んだらいいでしょ」と無理矢理そこから連れて行った。

「イヤー、みんなと遊びたい!」と抵抗したが、そこから引き離され、女児はワンワン泣き出した。

ママは、しかめっ面で子供を無視。

 おばあちゃんが、困って孫を抱き背中をトントンしていると眠くなった様子でぐったり。

そのママは何を求めているのか?

(せっかく)祖父母が来てくれたん(だから)祖父母と遊んで欲しい?

 せっかく主義の人がここに居る。

私はせっかく主義が、嫌いだ。

 せっかく生まれてきたんだから、せっかく旅行に来たんだから、と、その後には、自分のペースでなく、上を目指して努力してより良くならねばならない。という形固定概念に囚われ、自分勝手な向上心に縛られる。

 せっかく主義者は、他人にもそれを強要する。

「せっかく女に生まれたんだから、少しはキレイにしなさい」と言う人が居たが、大きなお世話じゃ!

動物園で

「せっかく動物園に連れてきて(あげたんだから)動物見なさいよ!

ここへは何しに来たの!?

ほら、見てごらん、ほら、面白いでしょ!」とずっと怒鳴っている人が居た。

 誰かに何かを見せたかったら、人の前に立ちはだかるのをやめて、黙ってその人の横で自分が見たらいいんじゃないの?とムカつく。

 そしたら、「馬に水を飲ませたいと思ったら、先ず自分が飲め」という言葉を思い出した。

「何かを見せたかったら、自分が見ればいい」と同時に

 あ、そうか、私がこうやったら良いと思う事は、自分が行えばいい。

人の行いにムカつくのは、私の傲(おご)りであった。

と、気が付いた。

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