寄せ書き


わが子を亡くした後、その友達を殺したという母親の生い立ちについてテレビで

放映していた。

彼女は、小学校から高校卒業まで苛めにあっていたという。

そして、卒業文集の寄せ書きで彼女に寄せられた言葉が出た。

「故里にまた、帰ってくる」という彼女の言葉に対して

「もう帰って来るな」「顔も見たくない」「ずっと一緒でウザカッタ」

「俺たちが苛めてやったから、少しはましになったべ。俺たちに感謝しな」

「あの変な声で男引っ掛けんなよ」と寄せ書きには、下品な言葉が続く。

それを、見た瞬間、この学校は何を考えどういう教育指導を行っていたのだろうと

唖然とした。

先ず最初に、それを書かれた彼女の気持ちを思った。

つぎに、そんな言葉を寄せ書きで残した学校と教師の教育指導力のなさに腹が立った。

そして、無礼千万な同級生に悲しくなった。

そこには思いやりの 欠片もなかった。


人は、侮辱され続けると誇りを失う。

そして、自分を認められなくなる。


苛めをする者は、それをすることで、

自らを貶(おとし)めているということに 気付かないでいる。


周りに

苛められてもあなたの素晴しさにはなんの遜色もないと 教えるモノがいない不幸

苛めは それをしているモノが一番汚れ穢い

と教えるモノがいない 不幸


彼女が将来なるであろう予想には、殺人者、詐欺師、自殺などと続く。

それを書いた者は、彼女が良くなることも幸せになることも願ってはいない。

それどころか彼女が破綻することを 望んでいる。

そこには 憎しみと嫌悪しか見えない。


あれを書いた者たちは、現在、父や母になっているのだろうか?

自分の子供に、自分が書いたことを書かれたら、どう思い、どう感じるのだろうか?

自分がしたことを、自分の子がされたら、どうするのだろうか?


人は、本当に愛するモノを持って、初めて 大事なことに気付く。

なのに、自分が本当に愛されていると実感しないと、愛することが出来ない。


人間の尊厳を冒すことは、誰にも出来ない。

それは 例え自分であろうとも…

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