ワシが中学生だった時、女の体育教師が居た。

好きだった柔の精神を、その人に感じた。

毅然と自分を諌め、黙って為すべきことを行う。

授業は厳しかったが、それが心地よく先生の指導に従った。

靴は揃えて置く。

それまでは遅れがちだった自分が、早く準備して校庭に出た。

靴は、端に直角に揃えて置いた。

授業が始まり、靴の点検があった。

靴が揃ってないものは、校庭を一周ということだった。

ワシの靴は、後から来た誰かに踏まれたのか蹴られたのか、乱れていた。

自分は揃えました。と言ったが、校庭を走る事になった。

その人への尊敬は、失望に変わった。


それから30年経って同窓会があった。

その教師は歳をとっていたが、凛とした感じは変わっていなかった。

挨拶で

自分ももう歳をとりました。今までの教師生活で、自分の思い込みであなた達を傷つけたことがあったかもしれません。いや、あるでしょう。許して下さい。

そして、これからの人生は人を教えたり指導したりせず、自分を楽しんで行きたいと望んでいます。

と、言った。

あれから25年経つ。


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