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父のこと②

こないだの父の話のつづき。

愛人、浮気相手と、何人いたのかわからなかった父。

ただ、家庭には持ち込まなかった。女性の勘なのか私が末っ子だったせいか、父に女がいることは私は知っていた気がする。

母は、愛人を可哀想だと泣き、姉は「女なんか作りやがって」と激怒。

でも、うちは、不思議と離婚という言葉は出なかった。姉は怒っていたけれど、愛人がいようが、ぴちぴちの女がいようとも、父と母は、一生私たちの両親だと信じていた。

離婚はだれも考えていなかった。

一度姉が、噛みつきすぎて「くそじじい、出ていけ」と父と大げんかになった。そしたら、父が「出ていくよ、何だ親に向かって」と怒鳴っていた。

姉が怒る意味もわからなかった。父が出て行っても、いなかったころと同じ、お金はきちんと入れてくれて、毎日電話してくる。生真面目なのだ。

そう思って信じていた。父は、あまり話さない、末っ子の私が好きだったようだ。姉は意地悪で、嫌なことをわざと言ってくる、宿敵のようになってしまった。

母は、自分の趣味と買い物と友達と遊んでいた。前と変わらない。

あるとき、父が私に言った。「パパがあの人と結婚するって言ったら付いてきてくれるか?」と。

「あの人って、あの人?」あの、世話焼き愛人だ。

母は、全く世話を焼かない。放っておいてくれるタイプ。家で世話焼き役は父。

「あたしは、ママが綺麗で好きだし、世話焼きの人は嫌いだな」と言った。

それに、ママと同じ土俵なのか?と思ったら、腹が立ったからだ。

一緒にするな。母は私たち子どもの憧れの母だ。自慢の母なのだ。

代わりになれる人などいらない。通じたか通じないかわからなかったけど、

父は「あっちゃん(姉)がもううんざりなんだよ、もう、顔も見たくない」と言った。

私は上辺でしか判断できない父に「ぱぱとあっちゃんって似ているからね、怒ってもそっくりじゃん。でもさ、ママもあたしも怒らないのはなんでだと思う?考えたんだけど、パパのこと好きなのはあっちゃんだけなんじゃないかなぁ???」

まぁね、私たちは嫁に行くから、いつか。あのおばさんと2人で出てっても良いと思うけど、私のこれからの夢の溢れる幸せな人生の足だけは引っ張らないで欲しいなと思った。

離婚していると、良家と結婚できないからね。まぁ、帰ってこなくてもいいよ、おばあちゃんちでも、彼女の家にでもいればいいじゃん。と言った。

父はショックだったそうだ。母にそのことをあとで言っている。

頼られてなかった、パパはショックだった。あっちゃんは、うるさいから会いたくない、さっちゃんはパパを好きだったんじゃないのか???と。

ママは「さっちゃん(あたし)はだれのこともどうでもよいのよ、あたしのことも、あっちゃんのことも、パパのことも」と言ったらしい。

というのも私は、幼稚園から小学校、ずっと自閉症だったから。

人に興味がなかった。今も。

愛人と浮気女がゴロゴロゴロゴロ出てきたころの話は、陳腐でつまらない。

ただ、あの愛人がママに、告白した意味は何だったのだろう。と思った。

そして、聞きそびれたのが、愛人の娘が父の娘なのではないか?ということ。

まぁ。顔見て名前見たらわかるけどね。

ってことで、外では亭主関白で、家では掃除から洗濯まで全部世話してやっていた父。

その後、何年か後に愛人の人と別れたようだ。彼女は一人で何でもできるけれど、あたしたち家族は、パパがいなければ生きていけないと。

彼女は甲府へ帰った。毎年美味しいブドウが届いた。

美味しかった。姉は何と戦っているのか、絶対に食べない。

父も「こんなもの送ってきて、迷惑だ」と嘯いていた。

喜んで食べたのは母と私だ。

家族崩壊、って浮気では有り得ない。うちの場合はね。

土俵が違う。そして、タイプが違うことに気づいた。

無い物ねだりなのだ。ふぅぅぅん。

きんも。

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