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シンデレラガール総選挙の面白さを書いてみる【デレマス】


●「シンデレラ」というおとぎ話には、二つの「奇跡」がある

「シンデレラ」というおとぎ話が魅力的なのは、「奇跡」が二回起こるからだと、私は思っています。

前提となる知識を共有するために、ニコニコ大百科から「シンデレラ」の記事を引用しておきます。

シンデレラ(英:Cinderella)とは、童話の一つまたはその主人公の名前。別名:「灰かぶり姫」「灰かぶり」「サンドリヨン(仏:Cendrillon)」

「シンデレラ」は、元々は古くから伝わる民間伝承。
その内容は著者によって様々なバージョンが存在する。共通の要素としては、「継母・姉によっていじめられる少女」「魔法による手助け」「靴によるテスト」「(身分を超えて)王子様との結婚」が含まれる。

・現在一般的に最も親しまれている物語
1.いじわるな継母と2人の姉と一緒に暮らす「シンデレラ」。
2.ある日継母と姉は「お城の舞踏会」へ。「シンデレラ」一人お留守番。
3.「魔法使い」が現れた!「魔法」の力で、かぼちゃは馬車に、ねずみは馬に、ボロの服は素敵なドレスへと変身!
4.12時には「魔法」がとけるからね!それまでに必ず帰ってくるんだよ!
5.「お城の舞踏会」に参加した「シンデレラ」。「あの美しい娘は誰だ」と王子様に見初められる。
6.響く12時の鐘。あわてて帰ろうとした「シンデレラ」は階段で『ガラスの靴』を落としてしまう。
7.王子様、「この『ガラスの靴』に合う足を持つ娘を捜し出せ」と国中にお触れ。
8.「シンデレラ」ただ一人がその『ガラスの靴』にぴったりと足が合う。
9.「シンデレラ」は王子様と結婚しました。めでたしめでたし。

以上のとおり、ファンタジー色が強いハッピーエンドなストーリーになっている。
フランスの童話作家シャルル・ペローが手掛けた「サンドリオン」がイメージとして定着しているが、作品によって「シンデレラ」を助ける「魔法」の力も異なる。

ニコニコ大百科より

・一つ目の「奇跡」

「魔法使い」が「シンデレラ」の目の前に現れ、「魔法」の力によって「シンデレラ」に「お城の舞踏会」へ参加できるチャンスを与えたことです。
ボロの服しか持たず、お城に行く手段もない「シンデレラ」にとって、「お城の舞踏会」への参加は「夢」のような出来事だと思います。

なぜ「魔法使い」がこんなことをしたのかは、色々な説があるようですが、私は「気まぐれ」(一興によるもの)ではないかと思っています。
力を持つ者が「気まぐれ」からサプライズで「夢」のような事をしてあげることは、よくあるからです。

・二つ目の「奇跡」

「シンデレラ」が『ガラスの靴』を履いてみせたことで、王子様と結婚する(「プリンセス」になる)ことです。
「魔法使い」による加護は失われても、「お城の舞踏会」に参加した「シンデレラ」であることを自分で証明してみせます。素敵な衣裳は「プリンセス」として寵愛する王子様があげたらいいと思います。

なぜ『ガラスの靴』だけ「魔法」がとけなかったのかは、色々な説があるようですが、これも「気まぐれ」ではないかと思っています。
そもそも12時に「魔法」がとけるように、「魔法使い」からすれば一夜限りの「夢」を与えただけです。12時までにお城を出て元の家に帰る(元の生活に戻る)よう、「シンデレラ」にも言っています。
しかし、「シンデレラ」自身に「プリンセス」になるだけの魅力があれば王子様が捜し出すだろうと思い、捜すための丁度いいヒントとして『ガラスの靴』を残してあげたのだと思います。

・気まぐれな「魔法使い」

なぜ「魔法使い」が数多いる女性の中から「シンデレラ」を選んだのかは、その「魔法使い」にしか分かりません。
健気で勤勉な性格に心打たれたのか、どこか自分に似ているところがあったのか、プリンセスになりうる美人であることを見抜いたのか、家の中での格差を見て境遇を知って同情したのか等、色々な理由が考えられます。

私は、このおとぎ話での「奇跡」の立役者である「魔法使い」を「気まぐれ」な存在と見ています。
「魔法使い」は、自分の「魔法」によって「シンデレラ」の将来がどうなるかについて責任を持ちません。
「魔法」を使った後「シンデレラ」が幸せになるかまで関知していないと思います。幸せにするのは王子様の役目で、王子様から「プリンセス」として寵愛を受けられるかどうかは、「魔法使い」ではどうにもできないことだからです。
ただ、「シンデレラ」の現状がひっくり返る光景を見れたら面白い(ご機嫌だな♪)と思い、自分が持っている「魔法」の力を気軽に使ってあげたのだと、私は考えています。

これだから魔法使いはやめられん。
魔法の世界では天地がひっくり返ることもある。

葬送のフリーレン:ゼーリエの発言より


●「シンデレラガール総選挙」には、二つの「特徴」がある

さて、やっと本題に入りますが、「アイドルマスターシンデレラガールズ」(デレマス)というソシャゲは、「アイドルマスター」に、この「シンデレラ」というおとぎ話をモチーフとして加えたコンテンツです。

「アイドルマスター」は、プレイヤーが「プロデューサー」となって、事務所の駆け出し「アイドル」たちをトップアイドルにプロデュースしていくというシミュレーションゲームです。シリーズ化されていて、「デレマス」以外にも「ミリマス」や「シャニマス」などのブランドがあります。

「デレマス」で行われる「シンデレラガール総選挙」の結果には、「デレマス」にしかない「特徴」が2つあると、私は思っています。

・一つ目の「特徴」

「人気投票」のはずなのにボイスの無い「不人気」なキャラクターが上位にランクインすることです。
「AKB48」がやっていたような人気投票企画は他のソシャゲにもあります。「総選挙」企画自体も商品の宣伝のためによくされています(例えば、回転寿司の「スシロー」では「サーモン総選挙」がされてました)。
もっとも、「デレマス」の「シンデレラガール総選挙」は、キャラクターボイスの有る「アイドル」と無い「アイドル」を投票対象とし、ボイスの無い「アイドル」は上位に入れば楽曲参加できるのでボイス実装されるという、「アイドル」間の「格差」が前提にある人気投票企画です。
ボイスの有無という「格差」を前提としてキャラクターの人気投票を行うソシャゲは、他に見たことがありません。(ソシャゲ黎明期にサービス開始したという歴史的な経緯による副産物と言われています)

現象として近いのは、中途半端にアニメ化されたマンガのキャラクターの人気投票かなと思います。
アニメに登場するストーリー前半のキャラクターにはボイスがありますが、アニメに登場しなかったストーリー後半のキャラクターにはボイスがありません。
アニメに出ていないキャラクターでも、原作マンガでの人気が高いことはよくあります。マンガ自体に人気があれば、ゲーム化などの機会に、そういったキャラクターにもボイスが付いたりします。

なお、「デレマス」においては、ボイスの有る「アイドル」がボイスの無い「アイドル」よりも人気であるとは限らないことに注意しなければいけません。ボイス実装にも歴史的な経緯があり、人気があるからボイスが付いたとは言えないからです。逆に、ボイスが付いて人気になったケースもあると思います。
人気の実態は、SSRの枚数やグッズの売上などを総合的に考慮して判断する必要があると思います。

ボイスの無い「アイドル」は、普通に考えればゲーム内で「不人気」なので人気投票において勝ち目はありません。
「デレマス」は、ミュージックゲームアプリの「スターライトステージ」(デレステ)がメインです。ボイスの無い「アイドル」にキャラクターソング(ソロ曲)はなく、楽曲中心のイベントには参加できないことで露出自体も少ないため、なかなか「人気」を獲得しづらいです。

しかし、「シンデレラガール総選挙」において、ボイスの無い「アイドル」たちは、毎年複数名が必ず上位にランクインします(ボイスアイドルオーディションを並行した第10回などを除く)。
今回の第11回目の「シンデレラガール総選挙」は、予選方式を導入した「Stage for Cinderella」の形式で行われました(今日が「本選」の投票最終日です)。
4回の「予選」で「望月聖」「ライラ」「大石泉」が5位以内に入賞したことでボイス実装が確定し、「プレイオフ」では「イヴ・サンタクロース」が勝ち上がって「本選」での5位以内の入賞を目指しています。

なぜボイスの無い「アイドル」が「シンデレラガール総選挙」においては上位に入ることができるのでしょうか。
一般的には、「ボイス支援票」が「浮動票」として存在するからだと言われています。現象としては、そのとおりだと思います。
ただ、この現象が生じる理由を、私は、「プロデューサー」が「アイドル」たちの「魔法使い」になっているからだと捉えています。
「プロデューサー」が『ボイスの無い「アイドル」を総選挙上位にすることで素敵なボイスを付けて「デレステ」で曲を歌えるチャンスを与えよう』と思って投票していると、私は認識しています。
これは『「シンデレラ」に魔法をかけることで素敵なドレスを着せて「お城の舞踏会」に参加できるチャンスを与えよう』とした「魔法使い」と同じ行動だと思います。
「デレマス」では「アイドル」が「プロデューサー」を「魔法使い」と呼ぶことがありますが、そう呼ばれるに相応しい行動をしたことによる現象が「ボイス支援票」ではないかと、私は考えています。

その意味で、「予選」方式を導入した今回の「シンデレラガール総選挙」の名称を「Stage for Cinderella」(シンデレラのためのステージ)としたのは秀逸だと思います。「予選」を通過した「アイドル」は、総選挙曲の参加メンバーになって歌うことができます。「お城の舞踏会」に参加できるということです。
「デレマス」は「誰もがシンデレラ」なので、ボイスを持たず曲を歌うことのできない「アイドル」でも、いつか「お城の舞踏会」へ行けるチャンスはやってくると思います。

ずっと圏外にいた「アイドル」が躍進したことによってステージのスポットライトが当たる光景は、現状がひっくり返るようで面白いと、私は思います。
ボイスは、「魔法使い」が「魔法」をとかずに残した『ガラスの靴』です。その後「プリンセス」になれるかまで、「魔法使い」は関知しません。「ボイス支援票」は「浮動票」であり続けます。


・二つ目の「特徴」

「人気投票」のはずなのに1位を連覇するキャラクターが出ないことです。
普通の人気投票企画だと順位が毎年動くのは稀で、1位は不動だったりします。どうせ投票しても1位は結局アレだということで、投票のモチベーションが下がってしまうため、連覇した状態のまま放置すると企画倒れになります。そこで、「殿堂入り」扱いで投票対象から除外したり、新キャラクターを毎年登場させたり、企画倒れにならないための対応をとることが多いと思います。
「AKB48」だと総選挙を活性化させるために「卒業」という対応をとっていましたが、「アイドル」とともに「卒業」するファンが出てしまって、本末転倒な結果になりました。(今は総選挙をやってません)

なぜ1位を連覇する「アイドル」が「シンデレラガール総選挙」においては出ないのでしょうか。
一般的には、総選挙1位のシンデレラガール(CG)になるまでの競争が熾烈であるため、CGになった次年度以降は選挙疲れ(課金疲れ)によって順位が落ちるからと言われています。
ただ、この要因だけでは、10回やってきた中で1位に2度なった「アイドル」は一人もいない理由として不十分ではないかと思います。
私は、「CG支援票」が「浮動票」として存在しているからではないかと考えています。
そして、この現象の理由を、私は、「プロデューサー」が「アイドル」たちでそれぞれのシンデレラ・ストーリーを完成させたいからだと捉えています。
「シンデレラ」というおとぎ話は、「魔法使い」の力で「お城の舞踏会」に行っただけではストーリーが完成しません。「魔法」がとけた後『ガラスの靴』を履いて「プリンセス」になることで完成します。
総選挙1位になればCGとして特別待遇になり、専用のSSRも作られます。「プリンセス」として認められたようなものです。
連覇を目指しても、「プロデューサー」がその「アイドル」で作ったシンデレラ・ストーリーはすでに完成しているため、「CG支援票」はありません。
どの「アイドル」が支援対象になるかは、総選挙の上位層の有力候補の中で、シンデレラ・ストーリーとして「物語性」を持つ「アイドル」ではないかと思います。自分が何もしなくても誰か一人がCGになる中で、シンデレラ・ストーリーを完成させたい「アイドル」を対象にしているのではないでしょうか。
「シンデレラ」の内容は「著者」によって様々なバージョンが存在するそうなので、「プロデューサー」が作る「アイドル」ごとのシンデレラ・ストーリーがあると思います。

今回の「Stage for Cinderella」の形式は、総選挙によるボイス実装後に「ボイス支援票」がなくなって圏外に落ちたアイドルでも、「予選」でランクインしやすい形式だと思います。
『ガラスの靴』を階段で落としてからの道のりは長いですが、その「アイドル」でシンデレラ・ストーリーを完成させたいのなら、「CG支援票」が入るほどの有力候補になれるよう進むしかありません。

●「シンデレラガール総選挙」の面白さは何にあるか

以上の私の考えをまとめると、
①「シンデレラガール総選挙」には、他の人気投票企画にはない「特徴」が二つある
②この二つの「特徴」は、「シンデレラ」のおとぎ話のように、ユーザー(プロデューサー)が「ボイス支援票」や「CG支援票」といった「浮動票」を投じることでもたらしたもの
ということです。
ぜひ気軽に「浮動票」を投じましょう。「シンデレラガール総選挙」の面白さは、シンデレラ・ストーリーをもたらす「浮動票」にあると、私は考えています。

他の「人気投票」とは違う「特徴」を持つ「シンデレラガール総選挙」が起こしてきた結果は、「キセキの証」です。「浮動票」が多いほど、その「奇跡」は大きくなると、私は思います。

解き放て 今 心に宿した火を
舞い上げ走れば  明日が変わるはず
君といるこの世界  二度と離さずに
君と共に行く

瞼を閉じても想い出すあの日を
打ちのめされても  
焦がれた未来を
いつの日か君に捧げてみせよう

解き放たれた心に宿した火よ
舞い上げ、まとえ  今  夜明けの向こうへ
君がいたこの世界  もう一度愛せるまで
我が命 果てようとも
繋げていくよ
絆が紡いで 生まれた
奇跡を


長文なうえに、妄想多めの駄文になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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