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直島・地中美術館:ミニマルが凝縮された現代アートを体感する


島ぜんぶアート。瀬戸内海に浮かぶ直島で、その真髄とも言える地中美術館に行ってきました。


安藤忠雄が手がけた地中美術館は、その名の通り地中に位置する美術館。瀬戸内国立公園内にあることから、その景観を損なわないよう、建物部分が地下に隠されています。


チケットセンターから本館に向かうまでの「地中の庭」からしてステキ。水辺に生い茂る緑の側を歩けば、まるでモネの絵画の中に入ったかのようです。ここだけでもうっとり。


地中=暗い。なんてイメージを抱いてしまいますが、光を巧みに利用した作品が展示されています。


ジェームズ・タレルの「オープン・スカイ」はピラミッドを逆さまにしたような壁に、天井に正方形が切り抜かれただけのシンプルな部屋。部屋の1角に光が五角形に浮かび上がります。日の差し込む角度によって、形が変わるのかな? 光そのものをアートとして見る。一切の無駄がないシンプルさに、時が経つのも忘れて見入ってしまいます。



なかでも感動したのは、ウォルター・デ・マリアの「タイム/タイムレス/ノー・タイム」。コンクリートの階段の真ん中に巨大な花崗岩の球体がドーン! ツヤツヤの黒い球体に、コンクリートの階段、金箔が貼られた木のオブジェ、そして天窓からのぞく青空が映り込み、神聖な空気で空間を満たしていました。SF映画にでも出できそう。


球体だから凸面であるのは理解しているのですが、自分の周りの空間が球体の中に閉じ込められているようにも見えるんです。空間認識能力能力をグニグニねじれていくよう。直線と球体というミニマルな要素で構成されているのに、それがもたらす効果は実に複雑でずっと見つめてしまいました。


この美術館、なにがすごいって、展示スペースが5つプラス建物自体と非常に少ないこと。スタッフの案内も丁寧で、ひとつひとつの作品としっかり向き合えるので、少ないと思うどころか、たっぷり見られた充実感で満たされます。


安藤忠雄のコンクリートとガラスと石の直線的な建築と、光をテーマにした作品群。ミニマルで、シンプルで、明快。作品の中にに身を置くことで、自然と湧き上がる感情や感覚。エンゲージ力の高いアートは、体験してこそ真価がわかります。


■今回訪れたのは…
地中美術館
http://benesse-artsite.jp/art/chichu.html



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